System Monitoring Column ＜システム監視コラム＞Pandora FMS を使った差分データ監視

サーバーやネットワーク機器の監視では、さまざまな種類の監視項目があります。CPU使用率、メモリ使用量、ネットワークトラフィックといったシステ ムのリソースに関わるものや、httpdプロセスの存在、httpの応答など特定のプロセスの存在やその応答に関するもの、システムやアプリケーションが出力するログ情報などです。それぞれの監視項目に応じて、OK/NG を表現するだけの情報や、任意の数値情報、文字列情報などさまざまです。

監視ツールである Pandora FMS では、このような監視項目に応じたさまざまなデータタイプを扱えるように作られていますが、ここでは2015年10月にリリースされたバージョン6.0 より新たに追加された(バージョン5.1の最新サービスパックにも追加されています)データタイプの利用方法について紹介したいと思います。

Pandora FMS 6.0 コンソール

Pandora FMS では、監視項目を “モジュール” という呼び方をしますが、データタイプに応じてモジュールのタイプを設定できます。主なものを以下の表に示します。

全モジュール一覧は、Pandora FMS コンソールの「モジュールタイプ」メニューから参照できます。

モジュールタイプ一覧

数値を表現するモジュールタイプのうち、差分データを扱うものが2種類存在することがわかります。このうち、generic_data_inc_abs は、Pandora FMS 6.0 から新たに追加されたモジュールタイプです。

以前から存在していた generic_data_inc は主にネットワークトラフィックのデータ保存に使われるタイプです。サーバーやネットワーク機器のネットワークトラフィックは、SNMP を使うと IfInOctets/IfOutOctets で取得できますが、この値は常にカウントアップされていく値です。前回取得した値との差分から単位時間(監視間隔)あたりの通信速度を計算して保存するモ ジュールタイプです。おそらく多くの方があまり気にせずに利用しているのではないかと思いますが、これによりネットワークトラフィックを見やすい形で Pandora FMS 上で確認することができるようになっています。

では、 generic_data_inc に対して、generic_data_inc_abs は何が違うかというと、差分データを単位時間(監視間隔)で割る処理を行わないという点です。純粋に差分データが保存されていきます。たとえば、独自のプ ログラム等で、”1,2,4,9,13…” というように増加する数値データを出力するようなものがあったとした場合、モジュールタイプで generic_data_inc_abs を選択すると、次のようにデータが扱われます。

単純に増加しつづける数値データの差分を扱いたい場合に便利です。このようなデータを出力するようなアプリケーションだけでなく、たとえば、ログファイルの行数をカウントするような場面にも応用ができます。普段ほとんど何も出力されないログファイルに何か差分が発生したらアラートを発生させる、など。

generic_data_inc_abs タイプはネットワークサーバーモジュール以外で利用できます。モジュール作成画面からは “Generic numeric incrimental (absolute)” を選択します。

generic_data_inc_abs タイプのモジュール作成

使い方の応用はいろいろとできますので、差分を扱うモジュールをうまく活用してみると良いでしょう。