目次
分散環境でセキュアなアプリケーション開発を実現するには?Azureでの解決策を解説
近年、クラウド上でのアプリケーション開発が急速に拡大しています。クラウドアプリケーション開発において、アプリケーション構成の一元管理や一貫性の確保、機密情報の保護が大きな課題となっており、クラウドネイティブなアプリケーション構成管理サービスが注目を集めています。
Microsoft Azure で提供される Azure App Configuration は、構成情報を一元管理することで、構成情報の一貫性の確保と、設定情報の保護などを行うことができます。本記事では、クラウドアプリケーション開発の課題と、 Azure App Configuration の概要、メリット、使用方法について解説していきます。
1. クラウドアプリケーション開発の課題
クラウドの利用により、アプリケーションの開発効率が大幅に向上しています。しかし、クラウド上でのアプリケーション開発には大きな課題が伴います。まず、クラウドにおけるアプリケーションの開発や管理に関する課題について、紹介していきます。
アプリケーション構成の分散管理に伴う課題
構成情報は通常、アプリケーションのコードとは分離された設定ファイルや環境変数に格納します。多くの場合、これらの構成情報は、複数のアプリケーションや環境で共有されますが、構成情報を分散して管理することで、各アプリケーションや環境で設定の不整合が生じるリスクがあります。
また、構成情報の変更が必要な場合、各アプリケーションや環境で個別に変更を加える必要があり、管理が煩雑化し、作業漏れ・ミス等による構成情報の一貫性が確保できない恐れもあります。
このように、構成情報を分散管理することにより、アプリケーション全体の一貫性、整合性が保たれず、また、運用管理も複雑になることが課題視されています。
セキュリティに関する課題
クラウド上でアプリケーションの構成や設定情報を分散管理する場合、それらを適切に保護することが重要です。しかし、構成情報を分散して管理する場合、不正アクセスにより、個別のアプリケーションや環境で構成情報や設定情報が漏洩する可能性があります。構成情報や設定情報には機密性の高い情報が含まれることがあるため、漏洩時の影響が大きくなる可能性があります。
2. Azure App Configurationとは
マイクロソフトでは、クラウドネイティブなアプリケーション構成管理サービス、 Azure App Configuration を提供しています。ここでは、概要と料金体系、使用するメリットについて解説します。
Azure App Configuration の概要

図版出典:Azure App Configurationを.NET6のサンプルで試してみる。
Azure App Configuration は、 Microsoft Azure で提供される、クラウド上でアプリケーションの構成情報を一元管理するためのサービスです。アプリケーションの構成情報とは、例えば接続文字列や API キー、設定値などの機密情報や、言語やテーマなどのユーザーが変更できる設定など、アプリケーションの動作に必要な設定のことを指します。
構成情報は、環境ごとに管理することができます。開発環境と本番環境、ステージング環境で設定値を変えて設定・管理することが可能です。 App Configuration を利用することで、アプリケーションの設定変更を効率的に行うことができ、設定の一元管理や変更履歴の管理など、アプリケーションの運用管理を効率化することができます。
Azure App Configurationの料金体系
Azure App Configuration の料金体系は、無料版と Standard の 2 通りのオプションが用意されています。無料版は料金がかかりませんが、使用できる機能やリクエスト数が低く制限されています。 Standard は、ストア、レプリカ単位の要求数に応じた従量課金制となっています。
料金体系の詳細については Microsoft Azure 公式サイト(※ 1 )をご参照ください。
- 参考記事:
- App Configuration の価格
Azure App Configuration のメリット
Azure App Configuration を利用するメリットは下記の通りです。
- 設定値の一元管理による開発効率化
- セキュリティの向上
- 高いスケーラビリティ
設定値の一元管理による開発効率化
クラウド上でアプリケーションの構成情報を一元管理できるため、設定値の変更やバージョン管理、環境ごとの異なる設定などを容易に行うことができます。分散管理に伴う一貫性の確保が用意になり、開発や保守が効率化されます。
セキュリティの向上
構成情報が暗号化されて保存されるため、ファイルに直接記述するよりも機密情報の保護が確保されます。また、アクセス制御を設定することで、不正なアクセスを防止できます。
その他にも、 Azure Active Directory との統合など、セキュアに利用するための機能が提供されています。
高いスケーラビリティ
Azure のクラウド上で動作するサービスとして提供されます。そのため、スケーラビリティが高く、必要に応じて自動的にスケールアップやスケールダウンが行われ、負荷に合わせた柔軟な対応が可能です。大規模なアプリケーションにも容易に対応することができます。
3. Azure App Configurationの使用方法
Azure App Configuration を導入することで、セキュアで効率的なアプリケーション開発環境を構築することができます。ここでは、 Azure App Configuration の具体的な使用方法について解説します。
Azure App Configuration サービスの作成

図版出典:Microsoft 公式サイト
最初に、 Azure App Configuration サービスを作成します。 Azure ポータルにサインインし、リソースの作成画面から、 App Configuration サービスを検索し、必要な情報を入力します。必要な情報の入力が完了したら、「作成」ボタンをクリックして構成ストアを作成します。作成が完了すると、構成ストアの詳細情報が表示されます。
App Configuration 構成ストアの作成
App Configuration 構成ストアは、アプリケーションの構成情報を格納する場所です。構成ストアは、 Azure App Configuration を開き、左側のメニューから「構成ストア」を選択することで作成可能です。
構成情報をApp Configuration構成ストアへ登録
アプリケーションを作成し、 App Configuration 構成ストアへ登録します。 Azure App Configuration は、さまざまな方法で構成情報を管理できます。例えば、 REST API や. NET ライブラリ、 PowerShell 、 Azure CLI などがあります。また、 Azure App Configuration の Web UI を使用して、手動で構成情報を追加することも可能です。構成情報を管理する
Azure App Configuration を使用すると、構成情報を動的に管理することができます。たとえばアプリケーションの設定を更新することが可能です。アプリケーションの停止なしに設定の変更を反映することができるようになります。
4. まとめ
本記事では、クラウド上におけるアプリケーション開発の課題と、その対策として、マイクロソフトが Azure 上で提供する Azure App Configuration の概要、メリット、使用方法ついて解説しました。 Azure App Configuration を導入することで、クラウド上におけるアプリケーション開発をセキュアで効率的なものにすることができます。ぜひ専門家の支援を受けながら、導入を検討してみてください。
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