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Azure Confidential Computingについて概要、仕組み、メリットについて解説
DX 時代においてデータ管理は企業や組織にとって極めて重要な課題です。特に近年ではクラウドコンピューティングの普及により、データをクラウド上で処理することが一般的となりました。利便性は向上する一方で、厳格なセキュリティ対策が求められるようになっています。
そこで注目されているのが、 Azure Confidential Computing です。 Azure Confidential Computing は、データを暗号化しながら効率的なデータ処理を実現するための進化したセキュリティ技術です。
本記事では、 Azure Confidential Computing について概要、仕組み、メリットについて解説します。
1. Confidential Computingとは?
Confidential Computing とは、直訳すると「機密性コンピューティング」です。暗号化とセキュアな実行環境を組み合わせることで、データのプライバシーとセキュリティを高い水準で保護することができるコンピューターを指します。
通常のデータ処理では、データは暗号化された状態で保存され、必要に応じて復号化されて処理されます。データが処理される際に一時的に復号化されるため、そのタイミングでデータが漏洩してしまう可能性があります。
Confidential Computing では、特殊なハードウェアやソフトウェアの技術を使用して、データが処理される間も常に暗号化された状態を維持することができます。これにより、データ漏洩のリスクを大幅に低減することが可能となります。
Confidential Computingが求められる背景
ではなぜこのような徹底した「機密性」にフォーカスしたコンピューターが求められるのでしょうか?関連する時代背景について解説します。
データの重要性とセキュリティの脅威
DX 時代の企業や組織にとって現代のビジネス環境では、データが企業や組織にとって最も貴重な資産の一つとなっています。しかもデータ漏洩やサイバー攻撃の脅威も増加しており、セキュリティの確保がますます重要な経営課題となりつつあります。
クラウドコンピューティングの普及
データの処理や保存をクラウド上で行うことが一般的となりました。利便性が向上する半面、データがクラウド上のサードパーティによって処理される際に、漏洩や消失のリスクが発生します。またベンダーとの責任分界点もあり、ユーザー側にとってクラウド上のシステム仕様がブラックボックスな部分があるのもリスクと言えるでしょう。
プライバシーと規制の強化
近年、ヨーロッパを中心に個人情報保護の観点から、個人データや顧客情報の取り扱いに対する規制が非常に強化されています。また、一部の業界では厳格なコンプライアンス要件が求められており、データの保護とプライバシーへの配慮がビジネスにおいても重要な要素となっています。
機密性を保ったデータ処理の需要
特定の業界や用途では、データ処理を行う際にも高い機密性が求められます。特に機密性の高いデータ、知的財産、または機密ビジネスロジックを含む処理において、安全な環境でのデータ処理は不可欠です。
このように現代においてインターネットは人々の社会生活を支える重要なライフラインとなりました。セキュリティ事故は人々の生命、財産、または国益を損ない、紛争に発展する可能性もることから、 Confidential Computing のように機密性にフォーカスしたコンピューター通信は極めて重要なインフラの構成要素と言えるでしょう。
2. Azure Confidential Computingとは?
Azure 環境における Confidential Computingについて解説します。Azure Confidential Computingの概要
Azure Confidential Computing は、前項で紹介したような機密性がフォーカスされる時代背景において、クラウド環境に対応するために開発されました。パブリッククラウド上でもデータを暗号化しながらの処理を実現することで、機密性を確保し、プライバシーやコンプライアンス要件に対応することが可能となるサービスです。
さらに「データ保護」の領域においては、これまでのセキュリティ対策における「保存時」、「転送時」の保護と暗号化に加え、「処理時」の保護と暗号化を前提としたコンピューティングです。メモリや CPU 上で「データを暗号化した状態」で演算処理することで、より高いレベルでデータを保護することが可能となります。
このサービスの根底には、 Intel SGX などの TEE があります。このサービスは TEE をクラウド環境で利用できるようにしたものです。 Azure Confidential Computing を理解するために、これらについて解説します。
Intel SGX
Intel Software Guard Extensions ( Intel SGX )は、 Intel 社が開発したハードウェアベースのセキュリティ拡張技術です。
Intel SGXは、プロセッサに組み込まれた特殊なセキュリティ拡張機能を利用して、アプリケーションやそのデータを保護します。アプリケーションは、信頼性の高い実行エンクレーブと呼ばれる領域で実行され、そのエンクレーブ内のデータは暗号化され、外部のソフトウェアやプロセスから隔離される仕組みです。
この Intel SGX は、 Trusted Execution Environments ( TEE )の一種であり、信頼性の高い実行環境を提供します。
Trusted Execution Environments(TEE)
TEEとはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構築されたセキュリティ領域です。 TEE は、信頼性の高い環境を提供し、特に機密性や整合性が求められるアプリケーションやデータの処理を保護します。
プロセッサ内に専用のセキュアエリアを持ち、そのエリアでは機密データや暗号化キーなどの重要な情報を安全に保持します。また、外部のソフトウェアやプロセスから隔離された環境で動作し、物理的な攻撃やマルウェアからの保護を提供します。
TEE は、携帯電話やスマートフォン、 IoT デバイスなどのエンドポイントデバイスから、クラウドサーバやデータセンタなどのバックエンドシステムまで、さまざまな領域で、機密データの安全な処理やトランザクションの保護、デジタルライツ管理など、幅広いセキュリティ関連の機能を実現するために活用されています。
3. Azure Confidential Computingの特徴とメリット
ここまで解説した内容を踏まえ、 Azure Confidential Computing における特徴とメリットについて解説します。
トラステッドエンクレーブの利用
Azure Confidential Computing では、ハードウェアのトラステッドエンクレーブ( Trusted Enclave )を使用してデータを保護します。トラステッドエンクレーブとは、プロセッサ内の専用領域で実行される信頼性の高い環境であり、データやコードを安全に保護し、外部の脅威から隔離します。これにより、機密データの漏洩や不正利用防止を実現します。
データの暗号化
Azure Confidential Computing では、データがトラステッドエンクレーブ内で暗号化された状態で処理されます。データが保護されたまま処理されるため、外部からのアクセスや盗聴に対して高いセキュリティを提供する。機密データや個人情報を含む処理において、データのプライバシーを確保することが可能です。
サードパーティアプリケーションとの統合
Azure Confidential Computing は、サードパーティのアプリケーションとの統合が可能です。仮想マシンやコンテナなどのさまざまなコンピューティングリソースで利用することができ、また Azureの他のセキュリティ機能と組み合わせ、既存のアプリケーションやサービスを変更することなく、機密データの処理を安全に行うことができます。
コンプライアンスと規制要件の遵守
Azure Confidential Computing は、機密データのセキュリティとプライバシーに関するさまざまな規制要件やコンプライアンス基準を満たすことができます。金融業界やヘルスケア業界など、セキュリティ要件が厳しい業界においても利用可能です。
4.まとめ
Azure Confidential Computing は、データのセキュリティリスクを最小限に抑えつつ、クラウドの柔軟性と拡張性を活かした処理環境を提供し、データのセキュリティやプライバシーに対する厳しい規制要件や業界のニーズにも応えることが可能です。
DX 時代において、データは企業や個人の最も貴重な資産の一つです。データのセキュリティとプライバシーを最優先に考え、信頼性の高い環境でのデータ処理を実現することができる Azure Confidential Computing の活用を是非ご検討ください。
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