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v3からの変更点やITIL4を実際の運用に取り入れるためのポイントも紹介
システム運用の現場では、属人化や作業の複雑化、障害対応の遅れなど、日々の業務負荷が課題となっています。こうした状況下で、運用品質を高めるフレームワークとして注目されているのが「 ITIL4 」です。
ITIL4 は、サービスを通じて価値を共創し、継続的に改善することを目的とした最新のガイドラインです。 ITIL4 を運用に取り入れれば、限られたリソースでも安定した運用を実現できます。
本記事では、 ITIL4 の基本概念や ITIL v3 からの変更点を整理し、実際の運用現場で活用するためのポイントを解説します。
1. ITIL4とは
ITIL ( Information Technology Infrastructure Library )とは、 IT サービスの設計・運用・改善に関するベストプラクティスを体系化したフレームワークです。 1980 年代に英国政府が提唱して以来、世界中の企業や組織で IT サービスマネジメント( ITSM )の標準的な指針として採用されてきました。
その最新版である ITIL4 は、従来の「効率的な運用管理」から一歩進み、サービスを通じて利用者と共に価値を創り出す「価値共創」の考え方を重視しています。さらに、急速に変化する IT 環境に対応するため、継続的な改善と柔軟な運用体制の確立を目的としています。
ITIL4 は単なる運用マニュアルではなく、属人化を防ぎ、運用品質を高めるための「止めない仕組みづくり」を支える実践的なフレームワークです。
2. ITIL v3からの変更点
ITIL4 は、従来の ITIL v3 を基盤としつつ、時代の変化に合わせて大きく進化したフレームワークです。ここでは、 v3 からの主な変更点と、その背景にある考え方を整理します。
プロセス中心からプラクティス中心へ
ITIL v3 では、サービスの設計から運用、改善までを「ライフサイクル」という一連のプロセスで管理していました。しかし、実際の運用現場では業務領域が細分化され、単一のプロセスでは対応が難しいケースが増えています。
ITIL4 ではこの課題を踏まえ、より柔軟な「プラクティス」という概念へと進化しました。プラクティスは、プロセスや機能、組織文化、ツールを統合した「実践の単位」であり、組織の状況に合わせて最適な形で組み合わせることが可能です。
ITIL4 では、プラクティスを「一般マネジメント」「サービスマネジメント」「技術マネジメント」の 3 領域に分類し、より実務に即した形で適用できるよう整理されています。
サービスバリューシステム(SVS)と4つの側面による包括的な運用設計
ITIL4 の中核に位置するのが「サービスバリューシステム( SVS )」です。 SVS は、組織全体が連携してサービスを通じた価値の共創を実現するための仕組みで、前述のプラクティスはその一部です。単なるIT運用部門の枠を超えた包括的なモデルとして定義されています。
SVS を支えるのが「サービスマネジメントの 4 つの側面( Four Dimensions )」です。
- People (人)
- Partners and Suppliers (パートナーとサプライヤー)
- Processes and Value Streams (プロセスと価値の流れ)
- Products and Technology (製品と技術)
これらの要素がバランス良く機能することで、サービス提供に関わる全体最適が実現し、運用を単独部門で完結させない組織横断型の運用体制を構築できます。
アジャイル・DevOpsなど他フレームワークとの親和性向上
ITIL4 は、近年のデジタル変革を踏まえ、アジャイル、リーン、 DevOps などのアプローチと整合性を持たせています。これにより、 IT サービスの提供スピードと柔軟性を高め、変化の激しいビジネス環境にも対応できるようになりました。
また、クラウド、 AI 、 IoT といった最新技術を前提にしたガバナンスモデルも示し、 IT 部門だけではなくビジネス部門や顧客までを含めた新しいサービスマネジメントを実現する指針となっています。
3. ITIL4を運用に取り入れるメリット
ITIL4 を導入することで得られる主なメリットは以下のとおりです。
業務の標準化による属人化・サイロ化の解消
ITIL4 では、プラクティスを基準に業務ルールや手順を統一することで、誰が対応しても一定の品質を維持できる体制を整えられます。これにより、担当者依存や経験則に頼った運用から脱却し、組織としての再現性を確保することが可能です。
また、部門間の情報共有が進むため、開発・運用・ビジネスの連携がスムーズになり、サイロ化の解消にもつながります。
サービス品質と対応スピードの向上
インシデント管理や変更管理などの明確なプロセスを設けることで、トラブル発生時の対応遅延やミスを防止できます。作業手順の標準化はヒューマンエラーを減らし、復旧までの時間短縮にも効果的です。
結果として、サービス停止リスクを最小化し、顧客や社内利用部門からの信頼性向上にも寄与するでしょう。
継続的な改善によるコスト削減と満足度向上
ITIL4 が重視する「継続的改善( Continual Improvement )」の仕組みを取り入れれば、無駄な作業や重複対応を見直し、運用コストを削減できます。改善サイクルを継続的に回すことで業務効率が高まり、従業員の負担軽減や顧客満足度の向上にもつながります。
限られたリソースでも止めない運用を実現でき、企業全体の信頼性と競争力を高めることが可能です。
4. ITIL4を実践するためのポイント
ITIL4 の考え方を理解したら、次は自社の運用にどう落とし込むかが重要です。ここでは、実践に向けた具体的なポイントを紹介します。
現状把握と優先課題の特定から始める
ITIL4 を導入する前に、まずは自社の運用体制を棚卸しし、どの領域に課題が集中しているかを明確にすることが重要です。「インシデント対応が属人化している」「変更管理の影響範囲が把握できていない」など、止まりやすいポイントを洗い出しましょう。
すべての領域を一度に改善しようとするのではなく、優先度の高い領域から段階的に取り組むことで、無理なく進められます。
主要プラクティスを軸に仕組み化する
改善すべき領域が明確になったら、 ITIL4 のプラクティスを活用して運用を仕組み化します。具体的には、インシデント管理、変更管理、問題管理、サービスデスク、ナレッジ管理など、運用の中核を担う領域から整備を進めましょう。
現場の業務フローに合わせて手順書や判断基準を明文化することで、担当者が変わっても一定の品質を維持できる体制を構築できます。これにより、属人化を防ぎながら再現性の高い運用を実現可能です。
継続的な改善で定着させる
体制を整えたあとは、定期的なレビューや KPI の確認を通じて、運用品質を維持・向上させる取り組みが欠かせません。 ITIL4 が掲げる「継続的改善( Continual Improvement )」を実践し、問題の再発防止や効率化を継続的に進めることで、安定した運用が定着します。
また、少人数体制では改善サイクルの維持が難しい場合も多いため、専門ノウハウを持つ外部パートナーの活用も有効です。
5. まとめ
ITIL4 は、 IT サービスを通じて価値を共創し、継続的に改善していくための最新フレームワークです。属人化やサイロ化に悩む企業でも、 ITIL4 の考え方を取り入れることで、運用の標準化、効率化、品質向上を実現できます。
しかし、限られた人員で安定運用を維持し続けるのは容易ではありません。 Rworks の「システム運用代行サービス」なら、 24 時間 365 日の監視・障害対応から、運用設計・改善・セキュリティ対応までを一貫して支援します。 ITIL4 の思想に基づいた高品質な運用体制を構築し、システムの安定稼働とビジネス継続性を両立することが可能です。
システム運用に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
Tag: ITIL4
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