Managed Service Column <システム運用コラム>

インシデント管理とは?問題管理との違いやプロセスを徹底解説

Category: 入門編

2025.12.26

インシデント管理を実施して安定したシステム運用を実現しよう

障害が発生した際、復旧に時間がかかり、ユーザーや社内からの問い合わせ対応に追われていませんか。こうした障害対応の遅延や属人化は、サービス品質の低下や信頼損失につながりかねません。

これを防ぐのがインシデント管理です。インシデント管理は、障害発生時に迅速かつ的確に対応し、サービスを早期に通常状態へ戻すための仕組みです。

本記事では、インシデント管理の基本概念から、問題管理との違い、実際のプロセスまでを整理し、効果的な運用体制づくりのポイントを解説します。

1. インシデント管理とは

インシデント管理とは、 ITIL ( Information Technology Infrastructure Library )のプロセスの一つで、サービスの中断や障害が発生した際、迅速に対応して通常の状態に復旧させる活動を指します。

システムに不具合が生じた場合、復旧が遅れると業務に多大な影響が及び、ユーザーからの信頼を失うことにつながりかねません。インシデント管理は、サービスの早期復旧、ユーザー影響の最小化、サービス品質の維持を実現するうえで極めて重要です。

2. インシデント管理の重要性

システム障害が業務に及ぼす影響を最小限に抑え、サービス品質と利用者からの信頼を維持するためには、インシデント管理が欠かせません。

迅速な復旧により影響を最小化

インシデント(障害やサービス停止)が発生した際、最優先すべきは業務やサービスへの影響を最小限に抑えることです。インシデント管理を行うことで、原因の特定や暫定対応(ワークアラウンド)を迅速に行えます。結果としてダウンタイムの短縮につながり、システム停止による損失や顧客への影響を最小化できます。

サービス品質・SLAを維持

インシデント管理を適切に行うことで、 SLA ( Service Level Agreement )で定められた稼働率や応答時間の維持が可能です。 SLA とは、サービス提供者と利用者の間で結ばれる、サービス内容や品質に関する取り決めです。

インシデント対応後の分析で再発防止策を講じることにより、長期的にサービスの安定性と品質を高められます。

顧客満足と信頼の向上

たとえ障害が発生した場合でも、迅速かつ誠実に対応すれば、利用者や顧客からの信頼を損なわず、信頼関係を強化できます。例えば、インシデント対応履歴を共有したり、復旧後に原因分析や改善策を報告したりすることで、企業としての評価が上がり、顧客満足度やブランド価値の向上につながります。

3. インシデント管理と問題管理の違い

インシデント管理と問題管理の大きな違いは「目的」です。インシデント管理がサービスの復旧を目的としているのに対して、問題管理はサービス停止の根本的な原因究明と解決を目指します。火事に例えるなら、インシデント管理が消火活動、問題解決は火事が起こった原因の究明と予防にあたります。

インシデント管理と問題管理の関係は以下のとおりです。

区分 目的 スピード感 担当 対応
インシデント管理 サービスの早期復旧(暫定対応) 即時、迅速 サービスデスク、運用担当 暫定対応
ワークアラウンド
問題管理 根本原因の特定と再発防止(恒久対応) 中長期な分析、解決 技術チーム(インフラ担当、開発・運用担当)
ビジネス部門
根本原因分析

インシデント管理と問題管理を実際の障害ケースで考えた場合、以下の違いがあります。

区分 障害ケース 対応
インシデント管理 サービス停止の発生 直前のバックアップに戻し、サービスを早期に復旧
問題管理 根本原因を調査した結果、直近の設定変更ミスが判明。以後、変更作業のレビューやダブルチェック体制を整備して再発を防止

インシデント管理はスピード感のある暫定復旧に主眼が置かれています。一方、問題管理は調査や分析に時間をかけ、再発防止と予防を徹底して行う点に大きな違いがあります。

4. インシデント管理のプロセスと注意点

インシデントの発生から解決までのプロセスは以下の 5 ステップです。

1. インシデント検知

インシデントが発生したことを検知します。検知パターンは「ユーザーからの問い合わせ」をサービスデスクで一次受付する場合と、「システム監視」によって自動的に異常を検知する場合の2つです。インシデント検知をトリガーとしてサービスの影響範囲を特定し、対応を開始します。

インシデントは早期に検知することが重要です。監視ツールやアラートの設定が不十分だと、障害が拡大する前に気づけないおそれがあります。インシデント報告は、ユーザーからの連絡が最初となることも少なくないため、受付体制の整備が必要です。

2. インシデントの分類と優先順位付け

インシデントの影響度や緊急度に基づいて、対応の優先順位を決定します。ビジネスへの影響度を基準に判断し、例えば「顧客に影響が及ぶインシデント」は優先度を高く、「影響が社内に限定される場合」は優先度を下げる、といった基準を設けます。

分類基準を「システム全体に影響がある」「一部の機能に影響がある」「特定のユーザーに影響がある」などと明確に定めておくことが、迅速な判断に不可欠です。

3. 原因調査と対応

インシデントの原因を特定し、対応策を講じるステップです。原因が特定されるまで影響範囲を最小限に抑えることが最優先され、暫定的な回避策(ワークアラウンド)をとることもあります。

特に影響範囲が広いインシデントでは、原因調査と並行して復旧作業を進めることが重要です。原因特定に時間をかけすぎず、恒久対応が必要な場合は問題管理プロセスにエスカレーションします。

4. エスカレーション

一次対応でインシデントを解決できない場合、技術チームや上位の担当者にエスカレーションします。エスカレーションの際にはタイミングを見極めることが重要です。インシデントの解決に時間がかかりすぎると、影響が拡大し、状況が悪化するためです。

適切なエスカレーションのためには、エスカレーション基準とフローを整理し、どの段階で技術チームや上位担当者に引き継ぐべきかを事前に定める必要があります。

5. インシデントの解決とクロージング

インシデントの原因が特定され、対応が完了したあと、インシデントをクローズします。インシデントが解消され、サービスが正常に稼働しているのを確認してからクローズすることが重要です。

また、クローズの際にインシデントの詳細や対応状況、影響範囲を記録として残し、問題管理や根本原因分析に活用できるようにします。

5. まとめ

障害対応の属人化や復旧の遅れは、サービス品質の低下や信頼損失につながるリスクがあります。

インシデント管理は、障害発生時に迅速かつ的確に対応し、業務への影響を最小限に抑えるための仕組みです。問題管理と組み合わせることで、根本原因の解消や再発防止を図り、より安定した運用体制を実現できます。

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