Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞Azure Virtual Machinesとは？初心者向けに概要とメリット、機能について解説

はじめに

従来のオンプレミスに代わり、クラウドを導入する企業が増えています。マイクロソフトが提供しているクラウド「 Microsoft Azure 」はマイクロソフト製品との親和性が高く人気がありますが、Azure が提供している仮想マシン「 Azure Virtual Machines 」の機能やメリットについてご存じでしょうか。

Azure Virtual Machines は、低コストで素早く準備できる IaaS として、Azure 全体を下支えするサービスです。本記事では、Azure Virtual Machines の概要や用途、料金体系、機能とメリットについて解説します。

1. Azure Virtual Machines とは

Azure Virtual Machines とはどのようなものでしょうか。Virtual Machine（仮想マシン）の概念を踏まえて解説します。

1.1 Virtual Machine（仮想マシン）とは

Virtual Machine（仮想マシン）とは、物理的なハードウェア（サーバー等）の上に仮想的に構成されたコンピューターのことを指します。仮想マシンはそれぞれが専用の CPU、メモリ、ストレージを物理サーバーから借用し、独立して動作する仕組みです。

1.2 Azure Virtual Machines とは

Azure Virtual Machines とは、マイクロソフトが提供しているクラウド「 Microsoft Azure 」上で提供されている仮想マシンのサービスです。Azure Virtual Machines は IaaS のサーバーとして利用でき、利用者は Azure Virtual Machines 上にアプリケーションのデプロイや、Web サーバーや DB サーバーの構築など、用途に合わせて自由にサーバーを構築することができます。

2. Azure Virtual Machines の用途と料金体系

Azure Virtual Machines はどのような用途で利用されているのでしょうか。Azure Virtual Machines の IaaS としての用途と、料金体系について解説します。

2.1 Azure Virtual Machines の用途

Azure Virtual Machines の主な用途を紹介します。

• アプリケーションのデプロイ
• 新バージョンの OS やミドルウェアのテスト
• アジャイルを実現するための俊敏な開発・テスト環境の準備
• 既存の OS のバックアップ
• 旧バージョンの OS やアプリケーションの動作検証

Azure Virtual Machines は、IaaS の仮想マシンとして、アプリケーションやミドルウェアの実行環境や、バックアップ環境として利用するのが一般的です。また、サービスを提供する本番環境としてだけではなく、アジャイル向きの開発環境やテスト・検証用環境など、様々な用途向けに自由に利用することができます。

なお、Azure Virtual Machines は IaaS であるため、OS までしか提供されません。OS に搭載する Web サーバー、アプリケーションサーバ―などのミドルウェアや、アプリケーションはユーザー側で準備する必要があります。

2.2 Azure Virtual Machines の料金体系

Azure Virtual Machines を利用する際の料金体系について解説します。料金体系には下記のパターンがあります。

• 従量課金
• Azure Reserved Virtual Machine Instances（事前予約インスタンス）
• Azure ハイブリッド特典
• Azure Spot Virtual Machines （スポット VM ）
• 開発/テストの価格

従量課金

従量課金とは、Azure の最も一般的な料金体系で、Azure Virtual Machines を利用した（＝起動している時間）分だけ料金を支払う仕組みです。分単位（秒切り捨て）の課金となり、停止している間は課金されません。

Azure ハイブリッド特典

Azure ハイブリッド特典は、ソフトウェアアシュアランス（ SA ）と呼ばれる特典のひとつで、オンプレミスから Azure へ移行する場合に限り適用される割引です。主に、オンプレミスから Azure へのシステム移行を行うプロジェクトで利用されます。

Azure Reserved Virtual Machine Instances（事前予約インスタンス）

事前予約インスタンスとは、予めまとまった期間を利用することを宣言した場合に割引が適用される仕組みです。1 年間または 3 年間予約して利用する場合、従量課金制の価格と比べて、最大 72 % の割引が適用されます。Azure ハイブリッド特典と併用すると最大 80 % もの割引となります。

Azure Spot Virtual Machines （スポット VM ）

スポット VM とは、常に利用できるかは保証されず、途中で中断の可能性もあるが、従量課金制の価格と比較して最大で 90 % の大幅割引が可能な仮想マシンです。そのため、本番環境ではなく、テストや時間の制約を気にしない処理・タスクを実行する場合に適しています。

開発/テストの価格

顧客にサービスを提供する本番環境ではなく、開発・テスト専用環境として Azure Virtual Machines を利用する場合は、通常より割引価格で利用可能です。

3. Azure Virtual Machines の主な機能とメリット

Azure Virtual Machines を利用するメリットは下記の通りです。主要な機能と関連付けて解説します。

• コスト削減
• 高い俊敏性
• ダウンタイムの短縮
• セキュリティの確保
• Linux/Windows の選択と豊富な VM イメージの利用

3.1 コスト削減

Azure Virtual Machines の料金体系は従量課金です。利用した時間のみ課金されるため、利用しない時間帯は停止させておくなどの設計や運用対処を取ることでコストメリットを出すことができます。また、事前予約インスタンスやスポット VM などを組み合わせることで、さらなるコスト削減が可能です。

3.2 高い俊敏性

俊敏性とは、求めに応じて迅速に仮想マシンを調達・提供できる度合いのことです。Azure Virtual Machines の作成と起動は、Web 画面上でシンプルなクリック操作により数分で行うことができます。オンプレミスで設備の調達・導入・設定を行うよりも圧倒的に早くサーバーの環境を用意することが可能です。

3.3 ダウンタイムの短縮

Azure Virtual Machines は物理サーバー上で仮想マシンとして動作しますが、他の物理サーバーへの移植性が高く、自動的に冗長構成を取ることができます。物理サーバーがダウンしてもユーザーが意識することなく、自動的に別の物理サーバーで復旧可能なため、障害時のダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。

3.4 高い拡張性

Azure Virtual Machines は拡張性の面でも優れています。想定を超えるアクセスや負荷が発生した場合でも、Azure Virtual Machine Scale Sets（負荷分散が行われるVMグループの管理）を使って数千台規模の自動スケーリングが可能です。

3.5 セキュリティの確保

機密データの暗号化や、トラステッド起動による OS 起動時の改ざんチェックなどのセキュリティ機能が備わっています。これにより、悪意のある脅威から仮想マシンとネットワークの保護が可能です。また、Azure は国際的なセキュリティ管理基準である ISO/IEC 27001 にも準拠しています。

3.6 Linux/Windowsの選択と豊富なVMイメージの利用

Azure Virtual Machines では、仮想マシンの OS を Linux か Windows から選択できます。また、独自の仮想マシンイメージを用意してデプロイすることも、Azure Marketplace から仮想マシンイメージをダウンロードして利用することも可能です。マイクロソフト製品らしく、Windows 系 OS ライセンスが無料であることも大きなメリットと言えます。

まとめ

仮想マシンは、クラウドサービス全体の下支えをする機能であり、なかでも Azure Virtual Machines は、俊敏性とコストパフォーマンスに優れた仮想マシンです。Azure を導入する際は、クラウドの恩恵を最大限享受できるよう、用途とコストをしっかり考慮して最適な料金体系を選択することが重要です。

Tag： Azure Virtual Machines Azureコンピューティング

• 

  ドメインサービスの基本、Azure Active Directory Domain Services（Azure AD DS）とは?

• 

  Azure DevOps で DevOps を実現する