Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Monitorとは?導入する目的とAzure Monitorでできることを解説

Category: 入門編

2021.08.11

はじめに

従来のオンプレミスに代わり、クラウドを導入する企業が増えています。マイクロソフトが提供しているクラウドサービス・Microsoft Azureは、マイクロソフト製品と親和性が高く、サービスを迅速かつ継続的に提供する仕組みとして人気がありますが、サービスを安定供給するためにシステム監視の重要性が高まっていることはご存じでしょうか。

そこで注目したいのが、Azureクラウドやオンプレミスを含めて統合的なシステム監視や分析を可能とした統合監視ソリューション「Azure Monitor」です。本記事では、システム監視の重要性を踏まえ、Azure Monitorの概要、料金体系、機能について解説します。

1. システム監視とは

まずは、システム監視とはどのようなものなのか、システム監視の概要と重要性について解説します。

1.1 システム監視の概要

システム監視とは、システムがエンドユーザーに対して、安定的かつ継続してサービスを提供し続けるために、定期的にシステムの稼働状況をチェックして、サービスやインフラの異常を速やかに検知することです。システムの要件によっても異なりますが、主に下記の監視を行います。

  • サービス監視
  • ログ監視
  • リソース監視
  • 死活監視

1.1.1 サービス監視

サービスとして提供しているWebサイトやアプリケーションの応答に対する監視です。画面を構成するコンテンツが正常に返ってきているかどうか、画面を表示するレスポンスが正常範囲内かどうかなど、主にサービス利用者の視点で監視を行います。

1.1.2 ログ監視

アプリケーション、OS、ミドルウェア、サーバーやネットワーク機器、ストレージなどのハードウェアが出力するログを監視します。ログに出力される文字列を監視し、エラーメッセージやハードウェア故障などの前兆をチェックします。

1.1.3 リソース監視

サーバーのCPU、メモリ、ディスク容量、ネットワーク帯域などのマシンリソースの使用状況を監視します。マシンリソースが定められた範囲内で使用されているかどうかを確認することで、キャパシティオーバーによるサービスダウンや処理性能劣化を防止します。

1.1.4 死活監視

サーバーやネットワーク機器などが停止せずに正常に動作しているか、ネットワークを介して機器の正常性確認を行います。

1.2 システム監視の重要性

システム監視を適切に行うことで、アプリケーションのエラーやハードウェア故障などを検知し、サービス停止などの大規模障害の発生を防ぐことができます。また、障害発生時は、システム監視状況を確認することで被疑箇所を絞り込むことができるため、復旧までの時間を短縮することも期待できます。システム監視を行わなくても、システムはサービスを提供することはできますが、障害の検知や予防ができず、障害復旧にも時間を要する恐れがあります。安定かつ継続的にサービス提供するためにも、システム監視は重要な仕組みと言えるでしょう。

2. Azure Monitorとは

Azure Monitorとは、Azure上でシステム監視を実現することを目的としたサービスです。Azure Monitorの概要と料金体系について解説します。

2.1 Azure Monitorの概要

Azure Monitorは、Azure上で提供されているサービスの一つで、Azure上で動作する仮想マシン(Azure Virtual machine)やオンプレミス環境のアプリケーション、インフラの統計情報の収集・可視化と分析・対処方法の提供までを統合的に行います。以前よりAzureが提供していたApplication InsightsやLog Analyticsなど、目的に応じた個別の監視・分析機能を統合した監視ソリューションサービスです。

2.2 Azure Monitorが収集するデータ

Azure Monitorは監視サービス実現のために2種類のデータの収集と分析を行います。

2.2.1 メトリック

メトリックは特定の時点におけるシステムの状態を示すデータです。マシンリソースの使用状況やネットワークトラフィックの状況などの情報を含み、時間の経過による傾向分析が可能です。また、ログと組み合わせて問題の根本分析を行うことができます。

2.2.2 ログ

ログはシステム内で発生したイベントを時系列でテキストに出力したものです。仮想マシンだけでなく、オンプレミス環境のイベントログやパフォーマンスログなども収集対象にできます。障害などの問題の根本原因を特定するためにも必要な情報です。

2.3 Azure Monitorの料金体系

Azure Monitorを利用する際の料金体系について解説します。 Azure Monitorの料金体系は基本的に従量課金(※1)です。Log Analyticsが取り込んだデータ量 (GB) ごとに課金され、31日後はさらに保持するデータ量に応じたデータ保持課金が加算される仕組みとなっています。さらに、Log Analyticsデータのエクスポート機能や、Application Insight、プラットフォーム・ログなど、Azure Monitorが提供する個別の機能の利用状況に応じても料金が加算されます。

※1 参考:Microsoft Azure Azure Monitorの価格

3. Azure Monitorの5つの機能

Azure Monitorは、システムの監視や分析機能などを統合した統合監視ソリューションです。Azure Monitorが提供する5つの機能について解説します。

3.1 Insight(洞察)

Insight(洞察)とは、Azure Monitorを構成するApplication Insightsや、VM Insightsなどの機能を利用して、アプリケーション、仮想マシン、インフラのリソース使用状況やパフォーマンスの状況を監視する機能です。メトリックとログを収集し、Azure Monitor上で監視結果の詳細表示を行います。

3.2 Visualize(可視化)

Visualize(可視化)とは、さまざまなメトリックやログを組み合わせて、アプリケーションやインフラを含めたAzureクラウド全体の状況・状態をAzureダッシュボード上で、視覚的にわかりやすく表示する機能です。WorkbookやPowerBIといった分析ツールと連携して分析レポートを作成することも可能です。

3.3 Analyze(分析)

Analyze(分析)は、収集したメトリックとログを分析する機能です。メトリックはメトリックエクスプローラーを使用して値を視覚的に表示し、ログについてはLog Analyticsを使用して特定の条件に合致するログを抽出し、他のデータと組み合わせて表示することで、人間が分析しやすいよう視覚化することが可能です。

3.4 Respond(対応)

Respond(対応)は、収集したメトリックやログから、マシンリソースが事前に設定した閾値を超えた場合や、特定のメトリックやログを検出した場合に、アラートを発行する機能です。アラートの発生に従い、人間がリアルタイムに対応することで、問題への迅速な対応を可能とします。

3.5 Integrate(統合)

Integrate(統合)とは、Export AppsやAzure Event Hubsの機能を使用して、Azure Monitorで収集・分析したデータを取り出し、外部のツール・ソリューションへ配信することで、連携・統合を可能とした機能です。また、Logic Appsを使用することで、メトリックとログの読み取りと書き込みを含めた、タスクの自動化も可能です。この機能により、外部のツールやソリューションとAzure Monitorを統合したワークフローを構築することができるようになります。

まとめ

システム監視とは、Azureに限らず、システムがサービスを安定かつ継続的に提供するために必要な仕組みです。Azure Monitorは、Azureクラウドとオンプレミスも含めて統合的な監視・分析ソリューションを提供するサービスです。Azureを導入する際は、クラウドの恩恵を最大限享受することができるよう、機能と料金体系を確認し、適切な機能を選択して利用することが重要です。

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Tag: Azure Monitor

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