Category: 入門編
2022.08.23
目次
クラウドの専有とは?企業のポリシーに沿った柔軟なクラウドの利用方法を解説
従来のオンプレミスからクラウドへ移行する企業が増えています。クラウドはサーバーやネットワークをユーザー間で共有するため、顧客情報など重要な情報を取り扱う企業ではセキュリティや可用性への懸念からクラウドへの乗り換えを思いとどまるケースもあります。
解決策のひとつとして、マイクロソフトのクラウド「 Azure 」では、Azure Dedicated Host というプライベートクラウドサービスを提供しています。このサービスを利用することで、ユーザーはそのサーバー上のリソースを他の誰とも共有せず、そのマシンで実行されるものすべてを完全に制御することができます。
本記事では、プライベートクラウドの概念とメリット、Azure Dedicated Host の概要、料金体系について解説します。
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1. プライベートクラウドとは
AWS や Azure などのパブリッククラウドはよく知られていますが、プライベートクラウドについては、どのようなメリットがあるか詳しくない方も多いかもしれません。まず、プライベートクラウドの定義とメリットについて解説します。
1.1 プライベートクラウドとは
プライベートクラウドとは、企業が自社内にサーバーやネットワークを設置して、独自のクラウド環境を構築し、社内やグループ企業内など、利用範囲を制限して利用するクラウドの形態を指します。
インターネットを介してサーバーやネットワークを共有するパブリッククラウドとは逆に、社内ネットワークや、VPN接続、専用線などセキュアなネットワークを介して提供されるため、利用範囲の中で安全に利用することができます。
プライベートクラウドには、自社内に設置して運用するオンプレミス型(所有型)と、クラウド事業者からサーバー・ネットワークの提供を受け、その上に自社独自のプライベート環境を構築するホスティング型(利用型)があります。
1.2 プライベートクラウドのメリット
プライベートクラウドを利用するメリットは下記の通りです。
- 企業の特性に合わせたクラウド環境
- 高度なセキュリティコントロール
- 柔軟なメンテナンスの実現
1.2.1 企業の特性に合わせたクラウド環境
パブリッククラウドは、クラウド事業者への依存度が高いため、自由にカスタマイズできる範囲が限られています。一方、プライベートクラウドはオンプレミスの延長線上にあるクラウドであるため、事業内容や社内規約など、企業の特徴・特性に合わせた柔軟なクラウド環境を構築することができます。
1.2.2 高度なセキュリティコントロール
企業が扱うデータには、個人情報など非常にセンシティブな情報も含まれることがあります。プライベートクラウドは、自社内に閉じたクラウドであるため、企業が独自に定める細かなセキュリティ・ポリシーに則り、独自の強固なセキュリティ設計や実装を施すことが可能です。
1.2.3 柔軟なメンテナンスの実現
パブリッククラウドは、定められた範囲の障害対応やバージョンアップなど、メンテナンスについてもクラウド事業者への依存度が高いことが特徴です。それに対してプライベートクラウドは、自社の都合に合わせてメンテナンスの内容や実施時間を自由に選択することが可能です。
2. Azure Dedicated Host とは
プライベートクラウドは、自社内にサーバーやネットワークを設置して構築する必要があるため、時間と工数がかかるデメリットがあります。もっと簡単にプライベートクラウドを利用する方法はないのでしょうか。
実は、Azure では Azure クラウドをプライベートクラウドのように利用できる Azure Dedicated Host というサービスを提供しています。
2.1 Azure Dedicated Host の概要
Azure Dedicated Host とは、Azure が提供するプライベートクラウドのサービスです。利用者は Azure の物理サーバーを専有し、リソースの許す限り、物理サーバー上で自由に Windows や Linux の仮想マシンを稼働させることができます。Azure データセンター内に設置されている物理サーバーを完全に専有できるため、ユーザーはそのサーバー上のリソースを他のどのユーザーとも共有せず、そのマシンで実行されるものすべてを制御することが可能です。
2.2 Azure Dedicated Host の料金体系
Azure Dedicated Host の料金体系は、下記の利用時間に対して課金される従量課金制となっています。物理サーバー上で稼働している Windows、Linux などの仮想マシンについては別途課金となります。
- 物理サーバー
- ソフトウェア( OS、SQL Server )
3. Azure Dedicated Host のメリットと留意事項
Azure Dedicated Host を利用することで、プライベートクラウドのメリットと、Azure のパブリッククラウドのメリットの両方を享受することができます。ここでは Azure Dedicated Host のメリットと、利用する際の留意事項について解説します。
3.1 Azure Dedicated Host のメリット
Azure Dedicated Host を利用するメリットは下記の通りです。
- 細かいコンプライアンス要件に対応可能
- 柔軟なメンテナンスの実現
- Azure による高い信頼性と一元管理
- 既存のソフトウェアライセンスを利用したコスト削減が可能
3.1.1 細かいコンプライアンス要件に対応可能
Azure Dedicated Host は他のユーザーとリソースを一切共有しない専有環境です。サーバーやデータの物理的な分離により、法令、業界固有の標準、企業が独自に定めるセキュリティ・ポリシーに対応することが可能です。
3.1.2 柔軟なメンテナンスの実現
専用の物理サーバーと、その上で稼働する仮想マシンOSの修正プログラムの適用、ハードウェアやソフトウェアの再起動など、プラットフォームによって開始されるすべてのメンテナンス操作のタイミングをユーザー側で決定することができます。
3.1.3 Azure による高い信頼性と一元管理
Azure Dedicated Host では Azure 独自のデータセンター、ハードウェアを利用するため、Azure クラウドが持つ高い信頼性や物理的セキュリティ、そして、Azure Portal による状態の可視化と一元管理が可能です。
3.1.4 既存のソフトウェアライセンスを利用したコスト削減が可能
Azure Dedicated Host は物理サーバーとソフトウェア( OS ・ SQL Server )に対して課金される料金体系です。ただし、オンプレミスから Azure Dedicated Host へ移行する場合、マイクロソフトのソフトウェアアシュアランス特典が付いた Windows Server 及び SQL Server ライセンスを持ち込むことが可能です。既存ソフトウェアライセンスを流用することで追加コストをかけずに利用することができます。
3.2 Azure Dedicated Host の留意事項
Azure Dedicated Host を利用する際に知っておきたい留意事項は下記の通りです。
- 拡張性に制限がある。
- 物理サーバーの可用性を担保する場合複数台契約する必要がある。
- VM 上で利用するライセンス費用やストレージの使用料などは別途課金される。
4. まとめ
クラウドはその俊敏性やコストパフォーマンスが人気で利用が広がっていますが、一方で個人情報保護や企業のコンプライアンスなど、無視できない課題もあります。Azure など、クラウド事業者でもこのような背景を考慮して専有サーバーの貸し出しをサービスとして提供しています。
このように、クラウドには様々な形態がありますが、企業は自社のポリシーに沿った適切なクラウド環境を選定・利用することが重要です。
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