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IoT の構築は難しい?Azure のサービスを利用した簡単な構築方法を解説
近年、IoT( Internet of Things )によるデータ活用が進んでいます。IoT は、日本語では一般的に「モノのインターネット」と呼ばれており、これまでネットワークと接続のなかった家電や自動車、産業用機器などさまざまな「モノ」をインターネットにつなげることを指します。
IoT はさまざまなモノとインターネットを接続するために技術的な課題が多かったのですが、マイクロソフトのクラウド「 Microsoft Azure 」では、技術的な課題をクリアして簡単にモノを Azure に接続する「 Azure IoT Central 」というサービスが提供されています。
本記事では、IoT の概要をおさらいした上で、Azure IoT Central の概要とメリット、料金体系などについて解説します。
1. IoT とは
2016 年 4 月に改正された「特定通信・放送開発事業実施円滑化法」では、「インターネット・オブ・シングスの実現」が国民生活と経済活動の基盤のひとつとして定義されました。IoT とは具体的にどのようなものでしょうか。まず IoT の概要と基本的な仕組みについて解説します。
1.1 IoT とは
IoT(アイオーティー)の正式名称は「 Internet of Things 」で、直訳すると「モノのインターネット」となります。IoT に正式な定義があるわけではありませんが、家電やスマートフォン、自動車の車載器、工場の産業用機器など、インターネット経由で通信を行うさまざまな「モノ」を指す言葉として位置付けられています。
IoT では画像、音声、映像、センサーデータなどの様々な情報がインターネットを通じて伝達され、コミュニケーション、データ分析、AI などに活用され、私たちの暮らしを大きく変える技術として期待されています。
1.2 IoT の仕組み
IoT は、たくさんの「モノ」をインターネット経由で接続・管理しますが、その目的は「データ収集」です。管理対象のモノにはセンサーやカメラ、温度計などが搭載されており、位置情報、温度、湿度、画像、動画など、モノの周辺の状況、モノ自体の状況をデータとして蓄積・収集を行います。
そのデータを一元的に管理して分析することで、モノの状態を見える化し、モノの周辺で起きている状況に応じた適切なアクションを取ることが可能となります。例えば、湿度センサーによる降雨時の扉や窓の自動開閉制御、公共交通機関におけるバス・電車の進行状況の把握などが代表的な活用事例として知られています。
2. Azure IoT Central とは
IoT をシステムとして構築するにはどのような方法があるのでしょうか。マイクロソフトのクラウド「 Azure 」では、IoT デバイスを統合的に接続、監視、制御するためのサービス・コレクションである Azure IoT が提供されています。ここでは、Azure IoT の中心的なサービスのひとつ、Azure IoT Central の概要と料金体系について解説します。
2.1 Azure IoT Central の概要
Azure IoT Central は、IoT デバイスからデータを収集して可視化するためのサービスです。IoT デバイスとの接続、情報収集、データ蓄積、可視化、アラートなどの機能を提供し、コーディングを行うことなく IoT デバイスをグラフィカルに一元管理し、デバイスの状態によりメール通知など後続のワークフローを自動化することも可能です。
2.2 Azure IoT Central の特徴とメリット
Azure IoT Central は、IoT デバイスとの接続、管理、状態監視という IoT システムには欠かせない機能を提供しますが、その中でも、際立った特徴とメリットは下記の通りです。
- ノーコーディングで簡単に IoT デバイスを管理できる
- 後続のワークフローを自動化できる
2.2.1 ノーコーディングで簡単に IoT デバイスを管理できる
これまで、IoT デバイスと Azure サービスの連携には、デバイス側とクラウド側両方の知識が必要でした。デバイス側では Azure へデータを転送するためのデータ加工などを行い、クラウド側ではデバイスのデータを受信して管理するために複数のサービスを組み合わせ、連携させることが必要でしたが、IoT Central により、統合的かつコーディングレスで簡単に IoT デバイスを接続・管理できるようになりました。
2.2.2 後続のワークフローを自動化できる
Azure IoT Central は、IoT デバイスの状態を監視し、何かしらの問題・イベントが発生した際に指定したアクションを自動的に実行する「ルール」を設定することができます。このルールにより、例えばデバイスに温度以上などが発生した場合に、自動的にアラートメールを送るなど、運用保守において迅速な対応を取ることが可能です。
2.3 Azure IoT Central の料金体系
Azure IoT Central の料金体系は、無料プランと標準料金プラン(※1)があります。無料プランを使用して作成したアプリケーションは 7 日間無料で、最大 5 台のデバイスがサポートされ、期限切れになるまでは、いつでも標準料金プランに変更可能です。
標準の料金プランは、デバイス単位での月額課金制となり、下記 3 通りの料金プランから選択することになります。
料金プラン | 詳細 |
---|---|
Standard レベル 1 | 1 日あたり数件のメッセージを送信するデバイスに適したプラン |
Standard レベル 2 | 1 時間あたり数件のメッセージを送信するデバイスに適したプラン |
Standard レベル 3 | 数分ごとにメッセージを送信するデバイスに適したプラン |
なお、それぞれのプランには2台分の無料デバイスが含まれており、それぞれメッセージ量に制約があります。メッセージ量を超過した分はその分追加で課金されることになります。
※1 参考:Azure IoT Central の価格
3. Azure IoT を構成するサービス群
Azure IoT は、IoT デバイスを統合的に接続、監視、制御するためのサービス・コレクションです。本記事で取り上げた IoT Central の他に、Azure IoT を構成するサービスの概要を紹介します。
3.1 Azure IoT Hub
Azure IoT Hub は、デバイスとクラウドのメッセージ・ハブとなるサービスです。デバイスとクラウドを接続し、デバイスの登録や認証、MQTT・AMQP・HTTPS といった IoT に必要な通信による双方向通信を実現します。
3.2 Azure IoT Edge
Azure IoT Edge は、Azure IoT Hub によってデバイスとクラウドを接続する際のゲートウェイとなるサービスです。MQTT・AMQP・HTTPS へのプロトコル変換や、QOS(帯域制御)のためのデータのフィルタリング、分析のためのデータ整形などを行います。
3.3 Azure Time Series Insights
Azure Time Series Insights は、デバイスからのデータを可視化するサービスです。デバイスデータを実用的な分析情報に変換し、異常検出や、使用状況・パフォーマンス状況の確認、高度な分析を実現します。
3.4 Azure Digital Twins
Azure Digital Twins は、現実世界をデジタルで再現する「デジタルツイン」を実現するサービスです。IoT デバイスやセンサーからのデータにより現実世界をシミュレーションすることで、機器の故障時期の予測など、現実世界で起こりうる事象や問題を分析することが可能です。
4. まとめ
IoT はこれまでネットワークと接続のなかったさまざまな「モノ」をインターネットにつなげ、私たちの生活やビジネスを大きく変革する可能性を持つ技術です。しかし、これまではシステム側とデバイス側の両方の技術が必要で敷居の高い技術でした。
Azure では、こういった技術の敷居をなくし、簡単に IoT システムを構築するためのサービスを提供しています。自社のビジネスを発展・効率化するためにIoTの導入を検討してはいかがでしょうか。

Tag: Azure IoT Central IoT
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