Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure CDNとは?AzureでWebサイトを高速化する方法を解説

Category: 入門編

2022.02.10

大容量の Web コンテンツを高速に配信するには?サーバーの負荷を軽減する方法を解説

近年、動画配信など Web コンテンツが多様化・大容量化し、PC だけでなくモバイル通信の高速化により、Web サーバーの負荷が高まり続けています。そうした中で重要性が高まっているのが CDN という技術です。

CDN とは、Web サーバーの負荷を軽減し、コンテンツを安定的に配信するために欠かせない仕組みです。Azure では、Azure Content Delivery Network( Azure CDN )というサービスが提供されており、Web コンテンツの安定的配信に一役買っています。

本記事では、CDN の役割と仕組み、Azure CDN の概要や料金体系、機能について解説します。

1. CDN とは

IT の経験が少ない方にとって、CDN はあまり耳に馴染みのない言葉かもしれません。まずは CDN の基本的な仕組みとメリットについて解説します。

1.1 CDN の概要

CDN とは「 Content Delivery Network(コンテンツデリバリーネットワーク)」の略で、Web コンテンツを効率的かつ高速に配信するために世界中に構成された分散サーバーによるネットワークです。

CDN では、Web コンテンツが格納されたサーバーを「オリジンサーバー」と呼びます。CDN を利用しない場合、オリジンサーバーへ直接アクセスを行うためオリジンサーバーへのアクセス集中が発生しますが、CDN を利用すると、オリジンサーバーとは別に、「キャッシュサーバー」と呼ばれる CDN 内のサーバーが Web コンテンツをキャッシュし、オリジンサーバー代わってコンテンツの配信を行います。キャッシュサーバーは世界中に分散配置されるため、ユーザーから距離的に近い CDN へアクセスを行うことで安定的かつ効率的なコンテンツ配信を行うことができます。

このように、CDN を利用することで Web サイトへのアクセス集中や、画像・音声・動画・オンラインゲームなどのコンテンツの大容量化に対して、Web サイトやコンテンツの表示・配信に問題が起こらずスムーズに行うことができるようになります。

1.2 CDN のメリット

CDN を使用するメリットは下記の通りです。

  • オリジンサーバーの負荷を軽減できる
  • Web サイト・コンテンツの配信速度が改善される
  • コスト削減につながる

オリジンサーバーの負荷を軽減できる

キャッシュサーバーへ Web コンテンツをキャッシュすることで、オリジンサーバーへのアクセスを減らし、負荷を軽減することができます。

Webサイト・コンテンツの速度が改善される

ユーザーから距離的に近い CDN へアクセスを行わせることで、レイテンシを減らしコンテンツ配信を高速化できます。

コスト削減につながる

CDN を利用することで、アクセス数の増加に対してオリジンサーバーを増設する必要がなくなります。オリジンサーバー増設に伴うイニシャル・ランニングコストを削減できます。

2. Azure CDN とは

CDN はクラウドでも利用することができます。マイクロソフトのクラウド、Azure では、Azure CDN というサービスが提供されています。ここでは Azure CDN の概要と料金体系について解説します。

2.1 Azure CDN の概要と仕組み

Azure CDN とは、Microsoft Azure が提供する CDN サービスです。世界中に配置された Azure のサーバーに Web コンテンツをキャッシュすることによって、さまざまな大容量の Web コンテンツを、高帯域なネットワークを使用してユーザーに高速配信することができます。

Azure CDN は 3 社の CDN プロバイダー (Microsoft / Verizon / Akamai) によって構成されており、下記 4 つの SKU でサービスを提供しています。どのプロバイダーでも Azure CDN として利用することができます。

  • Azure CDN Standard from Microsoft
  • Azure CDN Standard from Akamai
  • Azure CDN Standard from Verizon
  • Azure CDN Premium from Verizon

Azure CDN Standard from Microsoft

マイクロソフト社の CDN プラットフォーム上で動作する SKU です。Azure CDN の中では最も新しい SKU で、配信元が Azure サービスであればコスト面で他の SKU より有利な特徴があります。

Azure CDN Standard from Akamai

Akamai 社の CDN プラットフォーム上で動作する SKU です。Akamai 社は世界最大規模の CDN プラットフォームで CDN サービスを提供しており、動的なサイトの最適化に優れています。

Azure CDN Standard from Verizon

Verizon Digital Media Services 社の CDN プラットフォーム上で動作する SKU です。Azure を経由して Verizon のポータルに接続することで、CDN に関わるログをグラフ化して確認することができます。また、メディアストリーミングの最適化に優れているという特徴があります。

Azure CDN Premium from Verizon

こちらも Verizon Digital Media Services 社の CDN プラットフォームで動作する SKU です。Standard との違いは、多機能のルール エンジンや詳細なレポートなどが利用できることで、料金体系も異なります。

2.2 Azure CDN の料金体系

Azure CDN の料金体系は、利用した分だけ料金がかかる従量課金制となっており、データ転送量に応じて課金される仕組みとなっています。ただし、Azure CDN Premium from Verizon については、Standard サービスをベースに、ルール エンジン、および高度なリアルタイム分析を含む追加機能が提供されています。そのため、他の SKU と比較して約2倍の料金が設定されていることに留意が必要です。

※1 参考:Content Delivery Network の価格

3. Azure CDN の主な機能

Azure CDN の主な機能・仕組みについて解説します。なお、Azure CDN の機能は、Azure CDNを構成する各社の CDN プラットフォームにより利用できる機能が異なるため、事前に確認が必要です。

3.1 動的サイトの高速化(DSA)

DSA とは、キャッシュに頼らない Web 配信の高速化機能を指します。標準の CDN 機能では、エンドユーザーに近い場所にファイルをキャッシュすることで、静的ファイルの配信を高速化しています。

ただし、動的な Web アプリケーションでは、サーバーがユーザーの行動に応答してコンテンツを生成するため、コンテンツを特定の場所にキャッシュすることができません。そこで、DSA を利用することで、ルーティング、TCP パラメータ、画像圧縮などの最適化を行い、動的サイトの配信パフォーマンスを向上させることができます。

3.2 CDN キャッシュ動作の制御

CDN キャッシュは、後でデータに対する要求があった場合により迅速にアクセスできるように、そのデータをユーザーに近いエッジサーバー上に保存する機能です。Azure CDN では、下記 2 通りの方法でキャッシュの動作を制御することができます。

キャッシュ規則

既定のキャッシュ期限切れ動作を設定します。プロファイルのエンドポイント単位に、全てのキャッシュ要求または特定のパスやファイル拡張子に対してそれぞれ定義することが可能です。

クエリ文字列キャッシュ

Azure CDN が要求のキャッシュを処理する方法を、クエリ文字列ごとに制御することが可能です。

3.3 カスタムドメインでHTTPSを有効化

TLS / SSL 証明書を使用することで、Azure CDN カスタムドメインで HTTPS を使用することが可能です。HTTPS により、インターネット上の送受信データが暗号化されるため、セキュリティ向上に役立ちます。Azure CDN で管理された証明書と独自の証明書を選択することができます。

3.4 Azure 診断ログ

Azure 診断ログにより、Azure CDN のキャッシュ要求数、ヒット数、送信データ転送量などの基本的な使用状況などを確認することが可能です。また、Azure ストレージや Log Analytics などに保存し、CSV や EXCEL、Azure Monitor などにエクスポートして確認することも可能です。

3.5 ファイル圧縮

ファイル圧縮により、サーバーからファイルを送信する前にファイルサイズを削減することが可能です。ファイルの転送速度とページ読み込みのパフォーマンスを簡単かつ効率的に向上させることができます。

3.6 国・地域別のコンテンツ制限( geo フィルタリング機能)

Azure CDN では、既定ではどの国/地域のユーザーからの要求であっても、要求を行ったユーザーの場所にコンテンツを配信しますが、geo フィルタリング機能を使用することで、国/地域で自分のコンテンツへのアクセスを制限することが可能です。

4. まとめ

PC だけでなくスマホやタブレットなど、モバイルを利用するユーザーが増える中、Web サービスを提供している企業にとって、コンテンツの安定供給やアクセス速度は重要な課題となっています。Azure では Web コンテンツ配信の高速化・安定化のために Azure CDN を提供しています。ビジネスを円滑かつ確実に進めるために導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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Tag: Azure CDN Azureネットワーク

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