Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞クラウドとオンプレミスを同期する Azure File Sync とは？

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DX 化の推進、働き方改革などによりテレワークやサテライトオフィスなど場所にとらわれない分散型オフィスでの働き方が普及しています。柔軟な働き方を実現し生産性が向上する反面、社内資料を持ち出せずに苦労している人、社内システムの移行などをどこから手をつけていいのかなど、情シス担当の大きな悩みどころではないでしょうか。

Azure File Sync はオンプレミス環境のシステムを活かしながらロケーションに左右されずに簡単にファイル共有ができます。

本記事では現状のファイルサーバーに見られる運用課題を Azure File Sync でいかに解決できるか、また Azure File などといった他のクラウドサービスの違いなども解説します。

1. ファイルサーバーの運用課題

Azure File Sync の詳しい説明に入る前に、ファイルサーバーの運用においてよくある課題を紹介し、課題に対し Azure File Sync が求められる背景を紹介します。

よくあるファイルサーバーの運用課題

代表的な課題を 3 点とクラウド環境への移行課題について紹介します。

ファイルサーバー容量が枯渇する

保存するファイルが日々増え続けることでストレージを増設してもすぐに容量が枯渇してしまいます。常に容量を気にしながら増設の運用を繰り返し続けなくてはいけません。

維持コストが増え続ける

ストレージ容量の増設を繰り返し続けることで、増設時のコスト、その後の維持コストの負担が増え続けます。

運用負荷が増え続ける

増設することで対象となる設備が拡張されると、パフォーマンス低下、ディスクの故障、障害対応、BCP 対策など、ミッションクリティカルな気の抜けない運用業務が増加し続けます。ただでさえ業務負荷の高い情シス担当ですが、さらに業務を逼迫する可能性があります。

クラウド移行における課題

クラウド環境への移行にも以下のような課題があります。

• オンプレミス環境に比べアクセス速度が落ちるのではないか？（レイテンシーの問題）
• ファイルの構造などが変わることで今までの業務フローやツールがそのまま使えなくなってしまうのではないか？（業務継続性の問題）
• VPN 装置や固定 IP アドレスなど設備投資が必要ではないか？（初期設備投資の問題）

様々な課題を紹介しましたが、オンプレミス環境のファイルサーバー、クラウドストレージサービス、それぞれにメリットデメリットがありますが、それぞれのメリットを活かしファイルサーバーのソリューションとして利用できるのが Azure File Sync です。

2. Azure File Sync とは

Azure File Sync の概要と Azure File の違いについて紹介します。

Azure File Sync の概要

Azure File Sync はオンプレミス環境のファイルサーバーの柔軟性、パフォーマンス、互換性を維持したまま、 Azure ファイル共有の高速キャッシュに変換することができ、 SMB 、 NFS 、 FTPS などファイルサーバー上で利用できるあらゆるプロトコルでアクセスすることができ、オンプレミス環境とクラウド環境の一元化を実現します。

Azure Files との違い

Azure Files Sync と混同しがちですが Azure サービスには Azure File というサービスがあります。

Azure Files はクラウド型のフルマネージドファイル共有サービスです。 Azure Files も SMB 、NFS 、FTPS など、あらゆるプロトコルでクラウド上にアップロードしたファイルを共有でき、Windows 、 Linux 、および mac OS クライアントからアクセスが可能です。

Azure Files はクラウド上での共有機能を提供し、 Azure File Sync はオンプレミス環境のローカルファイルサーバーにキャッシュを提供しオンプレミス環境も含めたファイル共有環境を実現できるサービスです。

3. Azure File Sync の機能とメリット

Azure File Sync の機能と先述したファイルサーバーの課題に対するメリットを紹介します。

Azure File Sync の主な機能

クラウドの階層化

クラウドの階層化機能を有効にすると、アクセス頻度の多いファイルが優先的にローカルのファイルサーバーにキャッシュされます。

マルチサイトアクセスと同期

各オフィスに分散されたオンプレミス環境のローカルファイルサーバーを集約して管理することが可能です。ある拠点のオフィスで加えられた変更は、他のすべてのオフィスに自動的に同期されます。

事業継続（ BCP ）と DR 対策

Azure には高可用性ストレージを実現する複数の冗長オプションが提供されデータの回復性を保証する機能があります。

データバックアップ

Azure Backup サービスと統合してクラウドで一元的なバックアップを行うことが可能です。オンプレミス環境のバックアップコストを削減できます。

Azure File Sync のメリット

ストレージ容量が自由に設定できる

クラウドの利点としてストレージの柔軟な拡張が可能です。ストレージアカウントの最大容量は 100 TiB まで設定可能です。

データ保管の維持コストを節約できる

階層化機能を有効利用することで、データの一部だけをオンプレミス環境に格納することになり容量コストを節約しながら運用が可能です。

ファイルサーバーのメンテナンスが不要

Azure 上からフルマネージで提供されるサービスであるため、ネットワークが接続されていればどこからでも接続可能です。 Azure Portal から操作を行うため仮想マシンの構築や OS のメンテナンスも不要です。

バックアップ、リストアが簡単

Azure Backup と統合しクラウド上でバックアップを行うことが可能です。オンプレミス環境のローカルファイルサーバーもリストア可能となるため、従来のバックアップ運用の手間やコストを大幅に削減することができます。

クラウド移行における課題も解消できる

レイテンシー問題

Azure File Sync はデータそのものではなくキャッシュと呼ばれるデータへのアクセスポインタを同期します。そのため、インターネット経由のクラウドサービスであってもパフォーマンスが落ちることはありません。

事業継続性の問題

既存のオンプレミス環境も保持されるためファイル、フォルダなどの構造を変えることをなく、 Azure File Sync を利用することができます。

初期投資の問題

ローカルサーバー側にエージェントのインストールが必要ですが、基本的に Azure Portal からの手続で構成することができるため VPN 装置や固定 IP アドレスなど設備投資は不要です。

4. Azure File Sync の提供プランと料金について

Azure File Sync の利用料金は、ファイル共有レベル、接続するサーバー数、 Azure Files のストレージコスト、送信データ転送コストによって決まります。

ファイル共有レベルは4種類あり、中でも Premium ファイル共有は高スループットで、短い待機時間を実現できます。他にはトランザクション最適化ファイル共有、ホットファイル共有、クールファイル共有などがあります。

また同期を行うためのサーバーを用意する必要があります。同期サーバーは一台につき、現時点で約1,000円 / （月）程度です。 他にもストレージコスト、データ転送コストについての詳細はマイクロソフトの公式サイトをご確認下さい。

5. まとめ

Azure File Sync はクラウド環境とオンプレミス環境のローカルファイルサーバーとのファイル共有環境を実現できるサービスです。

様々な機能を活用し、また他の Azure サービスと統合的に活用することで、ロケーションにとらわれず、運用負荷も軽減されたファイルサーバー環境を構築してみてはいかがでしょうか。また専門家のサポートを受けながら導入を検討されることをお勧めいたします。

Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

Tag： Azure File Sync

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