Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

AIをもっと身近に!Azure Cognitive Servicesとは?今注目されているAIクラウドサービスについて解説します

Category: 入門編

2023.01.13

Azure Cognitive servicesの概要、機能、メリット、料金について

近年 AI ( Artificial Intelligence )技術の進化により、さまざまなサービスやシステムで活用されているようになりました。

AI は技術の進歩、データの増加、処理能力の向上、インフラの高速化によりあらゆるパターンやルールなどの特徴を自動で抽出し様々な判断をすることができる技術です。今まで人が行ってきたことをコンピュータに任せることができ、人手不足の解消、合理的な経営判断、精度の高い需要予測や未来予測、顧客満足度の向上が期待できます。

Azure Cognitive Services は、 Azure の製品として提供されている AI 機能作成サービスです。学習済みの AI モデル予測機能を活用できるのが特徴であり、視覚、音声、言語、決定、検索などの分野を対象に AI 機能を簡単に利用することができます。

本記事では、 Azure Cognitive Services の概要、機能、メリット、ユースケースについて紹介します。

1.Azure Cognitive servicesとは

Azure Cognitive Services は、 AI やデータサイエンスのスキルや知識がなくてもアプリケーションを構築できるクラウドベースの AI サービスです。人間の認知機能の一部を API として利用できます。

この認知機能をCognitiveと呼びます。 Azure Cognitive Services は主に視覚や聴覚など以下の 5 つのジャンルのサービスを柱に提供されています。

視覚:画像認識 AI や動画の分析など
音声:音声書き起こしやテキストの音声変換など
言語:自然言語の解釈や質疑応答など
検索:大量のデータより様々な条件に基づく正確な情報抽出( Microsoft 社 Bing の検索エンジンにも活用)
意思決定:問題の識別や検出など

これらは、 REST API とクライアント ライブラリ SDK を通じて、一般的な開発言語で利用できます。 Azure Cognitive Services を使用して、見たり、聞いたり、話したり、分析したりできる認知機能を使用したコグニティブ機能を容易に追加することができます。それぞれ提供される機能 API は以下の通りです。

Vision API(視覚)

Computer Vision

画像を処理して情報を返すための高度なコグニティブアルゴリズムを提供します。

Custom Vision

独自の画像分類器を構築、デプロイ、改良し、視覚特性に基づいて画像にラベルを適用する AI サービスです。

Face

顔属性の検出と認識を有効にする、高度な顔アルゴリズムを提供します。

Speech API(音声)

Speech サービス

音声テキスト変換、テキスト読み上げ、音声翻訳など、さまざまな機能を提供します。

Language API(言語)

言語サービス

テキストを理解して分析するための自然言語処理( NLP )機能を提供します。

Translator

ほぼリアルタイムでのマシンベースのテキスト翻訳を提供します。

Language Understanding(LUIS)

全体の意味を予測し、関連性のある情報を引き出す、クラウドベースの会話型 AI サービスです。

QnA Maker

半構造化コンテンツから質疑応答サービスを構築します。

Decision API(意思決定)

Anomaly Detector

時系列データを監視し、その中の異常を検出します。

Content Moderator

不快感を与えたり、望ましくなかったり、危険であったりする可能性があるコンテンツを監視します。

Personalizer

ユーザーのリアルタイムの動作から学習し、ユーザーに表示する最良のエクスペリエンスを提供します。

ここまで視覚、音声、言語、意思決定の API について解説してきました。その他の機能についても主要なものを解説します。

Azure Cognitive Servicesのコンテナ

Azure Cognitive Services には、複数の Docker コンテナが用意されています。これにより、 Azure で使用できるものと同じ API をオンプレミスで使用できます。

言語のサポート

Azure Cognitive Services では、さまざまな言語がサービスレベルでサポートされています。

セキュリティ

Azure Cognitive Services には、 Azure AD の資格情報、有効なリソースキー、および Azure Virtual Networks を使用した認証を含む多層型のセキュリティモデルが利用できます。

Azure Cognitive servicesとは

図版出典:SlideShare Microsoft 公式アカウント ※スライドより抜粋

Azure Cognitive servicesとは

2.Azure Cognitive servicesのメリット

メリット1:AIの専門知識が不要

AI を利用するにあたりデータサイエンスの知識、モデルの作成、環境の構築など、様々な高いハードルが存在します。しかし Azure Cognitive Services は、このような専門的な知識スキルがなくても学習済みの AI モデルを API として呼び出すだけで AI を利用できます。

メリット2:シンプルな連携方式

REST 形式の Web API を利用することができるため、アプリケーションから Azure Cognitive Services を呼び出すだけで連携できます。また C# や Python 、 Java などの SDK やライブラリも豊富に用意されていて、幅広い開発環境に対応しています。

メリット3:多様な動作環境に対応

Azure Cognitive Services は PaaS 型のクラウドサービスであることから、利用にあたってインターネット環境があればどこでも利用できます。また Azure Cognitive Services では Docker コンテナが用意されており、 Docker が動作する Windows 、 Linux 環境であれば、オンプレミス型システムでも利用することができます。

メリット4:豊富なサンプルツール

C# 、 Python 、 Android などの SDK やライブラリに加え、様々な AI サンプルが豊富に用意されています。サービス機能を試すための UI ベースのツールも用意されており、視覚的に確認できるのもメリットです。

Azure Cognitive Servicesのデメリット

Azure Cognitive Servicesは知識がなくても簡単に使えますが、処理モデルのアルゴリズムは非公開です。そのため利用者側ではモデルに手を加えられないため、モデルの精度が上がらない場合のチューニングができません。

Azure では「 Azure Machine Learning 」サービスも存在し、 AI の知識が必須になりますが細かいチューニング、カスタマイズが可能です。

3.Azure Cognitive Servicesの活用事例

Azure Cognitive Servicesはどのような場面で活用されているのでしょうか。具体例を紹介します。

感情分析の活用

Azure Cognitive Services では、 Face API や Emotion API に予測させたい顔写真データを入力するだけで顧客属性、感情分析 AI が実現可能です。顔認識による本人認証よりもさらに高度に、顔の表情を分析することが可能となります。感情分析は医療、教育、顧客満足度を測定するマーケティングなどに活用されています。

言語機能の活用

Azure Cognitive Services の言語機能を用いて、訪日外国人の対応のための翻訳機能に活用されています。また近年では高精度なリアルタイムの音声翻訳や動画の字幕、文字起こしなども行うことができるようになりました。

検査作業で活用

製造業において目視検査作業を Azure Cognitive Services に置き換える事例もあります。目視による作業は作業員に負担がかかり、人的な作業ではミスが起こりやすいですが、 Azure Cognitive Services では意思決定、視覚の機能を用いて、負担軽減のみならず検品の判定基準の均一化にも活用されています。

4.Azure Cognitive Servicesの料金

Azure Cognitive Services は、新しいリソースをデプロイするときにコストが発生するAzure インフラストラクチャ上で実行されます。

Azure Cognitive Services は、従量課金制とコミットメントの 2 種類あります。従量課金制では、課金情報に基づいて、使用量に応じて課金され、コミットメントでは、選択した価格プランに従って課金されます。

Azure Cognitive Services より提供される 12 のコグニティブサービスは無料で利用することができます。詳細については公式サイトをご確認ください。

5.まとめ

Azure Cognitive Services では学習済み AI 機能をサービスとして利用することができます。これらの学習済み AI は、機械学習やディープラーニングなどの知識スキルなく、かつ安価に容易に実装可能です。

AI 人材不足は AI モデル構築の知識レベルが高いことが要因と言われていますが、 Azure Cognitive Services の活用によって、人材不足問題を解決できる可能性もあるでしょう。 Azure Cognitive Services で作成した AI システムを活用し業務の効率化、生産性向上のみならず、 AI システムをもっと身近にし、イノベーションをとして期待できます。

自社での活用が難しく感じる場合、詳細の導入に当たっては専門家への相談をお勧めします。

Azure の導入を相談したい

Azure導入支援サービス

Azure 導入支援サービス

Microsoft Azure 導入の具体的な方法の検討や技術検証を専門家にサポートいたします。

Free

資料ダウンロード

課題解決に役立つ詳しいサービス資料はこちら

資料ダウンロード
  • Azure導入支援・構築・運用サービス総合カタログ

    Microsoft Azure サービスの導入検討・PoC、設計、構築、運用までを一貫してご支援いたします。
    Azure導入・運用時のよくあるお悩み、お悩みを解決するためのアールワークスのご支援内容・方法、ご支援例などをご確認いただけます。

Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

Azure導入個別相談会(無料)

Tag: Azure Cognitive Services

Contactお問い合わせ

お見積もり・ご相談など、お気軽にお問い合わせください。

single.php