Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Machine Learningとは?今注目のクラウド機械学習サービスについてクラウドサービスを解説します!

Category: 入門編

2023.01.17

機械学習の基礎知識、Azure Machine Learningの概要、メリット、料金について

近年、機械学習( Machine Learning )はクレジットカードの不正利用の検出、販売予測、ショッピングサイトでのレコメンド機能など、様々な業界で活用されています。

機械学習といえば、難しいアルゴリズムや高度なデータ分析など敷居が高いと感じるかもしれません。しかしこの機械学習機能をサービスとして簡単に利用できるのが Azure Machine Learning です。Azure Machine Learning は、データサイエンティストなどの専門的かつ高度なデータ分析を実行することもできますが、専門知識を持たなくても、 Azure が公開している予測モデルを組み合わせることで高度な予測モデルを開発できます。

本記事では、機械学習テクノロジの基礎知識から、 Azure Machine Learning の概要、機能、 Azure Machine Learning でできることや、メリットついて解説します。

1.機械学習(Machine Learning)とは

機械学習とは Machine Learning と呼ばれ、文字通り機械にさまざまなデータを学習させ、学習したデータをもとに予測や判断を行うルールを定義するテクノロジです。従来では何らかの問題に対し、人間が予測や判断のルールをプログラムとして機械に与えていました。このような従来の手法では過去の膨大なデータの処理、分析に限界があり、勘や経験に基づく予測がメインでした。

それに対し機械学習では膨大なデータを高速に且つ大量に処理、分析することができるため、人では見落としてしまうデータの特徴や傾向を捉えることが可能となりました。またこの高度な処理を繰り返し学習させることで、予測精度を向上させることができるようになりました。

機械学習の活用事例

顔認証識

顔認証は建物への入退室管理など実用化され、現代ではスマートフォンなどのデバイスに標準搭載されており、より身近な機械学習テクノロジと言えるでしょう。膨大な顔画像データに対し、画像のノイズ除去、パターン一致を繰り返し行うことで検出、判別精度を向上させます。

時系列分析と予測識

時間の経過に応じて変化するデータを時系列データと呼びます。例えば気候、株価、企業の売上、インターネットのトラフィックなど、時間経過とともに変化するあらゆるデータが対象となります。これらの蓄積された時系列データを対象に分析を行い、過去のデータ変動から未来を予測することに活用されます。

音声認識

Skype 、 Zoom 、 Teams のようなオンラインコミュニケーションサービスや、YouTube などにも搭載されている発話者の音声を機械学習によって翻訳と文字起こしを行う機能に活用されています。

オンラインショッピングのレコメンド機能識

オンラインショッピングサイトでは利用者や関連する他の利用者の過去の行動履歴をもとに、興味のある商品や類似したカテゴリを推奨品(レコメンド)として表示させる機能です。

機械学習の市場規模

機械学習をサービスとして提供するクラウドサービス群を MLaaS ( Machine Learning-as-a-Service )と呼びます。2021 年の世界の MLaaS 市場規模は 25 億ドルであり、 2022 年から 2030 年まで年平均約 40% で成長し、 2030 年には 323 億ドルに達すると予測されています。

2.Azure Machine Learningとは

Azure Machine Learning は、用意されたサンプルを活用し、インターネット環境とブラウザがあればサービスを利用できる MLaaS 型のサービスです。 Azure Machine Learning は、機械学習プロジェクトのライフサイクルの加速や管理を行うことができます。

Azure Machine Learning は、データモデルの作成や、 Azure の他サービスと連携できるほか、 MLFlow といった OSS ツールとも統合が可能です。

Azure Machine Learningとは

図版出典:Microsoft 公式サイト

機械学習におけるモデルとは

機械学習を理解する上で重要な概念の一つが「モデル」です。

例えば人は「りんご」を見た時、それを「りんご」と自然に認識することができます。それをコンピュータに学習させるために、「データ」と「アルゴリズム」を組み合わせたものが「モデル」です。この「モデル」は人間でいう脳に当たる役割です。

Azure Machine Learning では、データ、アルゴリズムがすでに揃っており、作成されたモデルも Azure 上で展開が可能です。

機械学習におけるモデルとは 機械学習におけるモデルとは

図版出典:YouTube Microsoft 公式チャンネルより抜粋

Azure Machine Learningでできること

Azure Machine Learning は、ブラウザの設定画面上でオブジェクトをドラッグ&ドロップするだけで機械学習モデルが作成できます。

Azure Machine Learning Studio というツールを使い、データの読み込み、変換、作成されたモデルから予測分析ソリューションの構築やデプロイまで行うことができます。

Azure Machine Learningでできること

図版出典:YouTube Microsoft 公式チャンネルより抜粋

Azure Machine Learning Studio は初心者でも利用できるようにテキスト、ビデオなどのコンテンツなどの教材、また豊富なサンプルデータを利用し予測分析を学習することができます。

機械学習は高度な知識が求められ専門家であるデータサイエンティストの業務領域ですが、 Azure Machine Learning では初心者でもデータ分析の基本が分かっていれば活用できる仕組みが備わっています。

例えば「りんご」のモデルを作成し、りんごの画像を利用者が送ると、機械はそれを判別し「りんご」と応答するようになります。

Azure Machine Learningでできること

図版出典:YouTube Microsoft 公式チャンネルより抜粋

Azure Machine Learningのメリット

Azure Machine Learning ではクラウドサービスの特徴を活かし特別な設備投資など無くとも迅速に利用できます。

データサンプルでは自動車の価格予測モデル、クレジットカード詐欺を予防するための異常検出、財務データを活用したデータマイニングの事例などが用意されています。豊富なサンプルの中からより役立つサンプルを見つけることができます。 Xbox や Bing といった Microsoft 社のサービスで実証済みのアルゴリズムが約 20 種類提供されており、常に最新のものにバージョンアップされています。

Azure Machine Learning を活用すると速いスピードで実証、検証することができます。基本的にコーディングが不要でコスト面、操作面ともに大きなメリットがあると言えます。

3.Azure Machine Learning の料金

Azure Machine Learning の使用については追加料金無く利用することができます。ただし、 Azure 仮想マシンや、その他の Azure のサービスを利用した場合はその料金が別途発生します。例えば Azure Blob Storage 、 Azure Key Vault 、 Azure Container Registry 、 Azure Application Insights などが挙げられます。

Microsoft 社の公式サイトでは機械学習プロジェクトを開始するときの仮想マシン推奨事項について解説が記載されています。まずは検証環境(トレーニング)のコンピューティングサイズを以下の検討項目と照らし合わせ検討することが推奨されます。

<検討項目>
  • CPU とメモリの比率のバランスが取れている。
  • メモリ最適化( CPU に対してメモリの比率が高い。)
  • コンピューティング最適化(メモリに対して CPU の比率が高い。)
  • ハイパフォーマンス コンピューティングを要するか否か
  • GPU を使用するインスタンスか否か

コンピューティング要件が不明確な場合は以下のコスト効率の高い既定のオプションから開始することが推奨されています。

Type 仮想マシンのサイズ 仕様
CPU CPU Standard_DS3_v2 4 コア、 14 ギガバイト (GB) RAM、 28GB ストレージ
GPU Standard_NC6 6 コア、 56 ギガバイト (GB) RAM、 380GB ストレージ、 NVIDIA Tesla K80 GPU

Azure Machine Learning の仮想ホストの使用状況に関する情報は、 Azure Monitor を使用して表示できます。監視の詳細からの分析情報に基づいて、全体のリソースを調整し予算の改善に役立てることができます。

これらの情報から最適な仮想マシンサイズを決定することができます。このように Azure Monitor といった Azure サービス自体もデータを持つことになり、 Azure リソースの可用性、パフォーマンス、操作を Azure Machine Learning によって分析することもできます。

4.まとめ

本記事では、 Microsoft 社が提供している、 Azure Machine Learning の概要、機能、メリットについて紹介しました。機械学習モデルの構築は、専門家でなくとも機械学習を用いたサービスの展開が可能です。

Azure Machine Learning は時系列データ、音声、画像、言語、売上データ、マーケティング、など、様々なデータを活用することができます。自社での活用が難しく感じる場合、詳細の導入に当たっては専門家への相談をお勧めします。

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Tag: Azure Machine Learning

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