目次
Azure Analysis Servicesの概要、機能、料金について
近年、データの有効活用による技術革新や生産性向上を行うことで、新たな付加価値の創出や経営課題の解決を目指す企業が増えています。 DX 化推進によって、デジタル技術とデータ利活用を進めていくことの重要性が増加している中、膨大なデータを有効的に管理することが求められています。
データを統合し、使い慣れたツールの展開、モデル化、可視化など、ビジネスに有効的に活用できるか否かは企業にとって大きな課題であり、その点において懸念を抱える企業は少なくありません。
Azure Analysis Services は、エンタープライズレベルのデータモデルをクラウドサービスとして提供してくれるサービスです。あらゆるデータソースよりデータを統合的に管理し、高度モデリング機能、セキュリティ機能を備えています。また Power BI や Excel など使い慣れたマイクロソフトのツールを使用して可視化、データ分析を実現してくれます。
本記事では Azure Analysis Services の概要、機能、仕組み、メリット、基本的な設定方法について解説します。
1.Azure Analysis Servicesとは?
概要
Azure Analysis Services は、エンタープライズレベルのデータモデル化をクラウドサービスとして提供してくれます。あらゆるデータソースよりデータを統合的に管理し、高度モデリング機能、セキュリティ機能を提供する PaaS 型のサービスです。
Azure Analysis Services は 元々、SQL Server Analysis Services の実績のある分析エンジンに基づき構築されたサービスであり、管理されるデータは、Power BI や Excel など使い慣れたマイクロソフトのツールを使用して可視化、データ分析が可能となります。

図版出典:Microsoft 公式サイト
Azure Analysis Services を理解するために基本的な概念として重要なものを3点ご紹介します。
BIとは
BI とは Business Intelligence の略であり、ビジネスの意思決定に関わる情報という意味です。さまざまなデータから、 IT を活用してデータを分析し、その結果を可視化するツールを BI ツールと呼びます。
BI ツールは、経営層、管理職、現場の従業員、製品やサービスへ、意思決定や業務の改善につながる有益な情報を提供してくれるツールとして活用されています。

OLAPとは
OLAP とは Online Analytical Processing の略であり、データベース上に蓄積された大量のデータに対し問い合わせを行い、ユーザーにとって必要な結果を素早く抽出する分析プロセスです。 OLAP も広義では BI に属する機能です。
データモデリングとは
データモデリングとは、企業が収集したデータや、データの関係性を分析、定義するプロセスです。データモデリングの概念は、ビジネスで使用されるデータの可視化し、明確化するための役割を担います。
データモデリングでデータを取得する過程においても、企業にとってデータの必要性と用途を定義して、ビジネスプロセスの改善、計画立案、IT投資にかかるコスト削減などにも役立てることができます。
ここまで Azure Analysis Services の概要と基本的なキーワードを解説しました。 まとめると、 Azure Analysis Services は BI を実現するため、 OLAP エンジン、データモデリングが、フルマネージドで提供されるクラウドサービスです。
2.Azure Analysis Servicesの機能
PaaS 型のサービスとして提供され、Azure ポータルよりデプロイして利用を開始します。様々な機能を実装しています。本章では機能について代表的なものを解説します。
Azureサービスとの連携
様々な Azure サービスを統合することにより、高度な分析ソリューションを構築することができます。
Azure AD
重要なデータのセキュリティをロールベースのアクセスによって確保することができます。
Azure Data Factory
読み込みデータアクティビティにAzure Analysis Servicesのデータを含めることができます。
Azure Automation
軽量なオーケストレーション、コードのカスタマイズを実現します。
拡張性、伸縮性の機能
PaaS として展開したサーバーをスケールアップ、スケールダウン、一時停止など、任意の操作を Azure ポータルや、 PowerShellより制御することができます。クライアントからのクエリをスケールアウトにより、分散して受け付けることで応答時間短縮を実現します。
SQL Server Analysis Servicesとの互換性
前述した通りSQL Server Analysis Services の実績のある分析エンジンに基づき構築されたサービスです。SQL Server Analysis Services Enterprise Edition が既に備えている数多くの優れた機能との互換性があります。
表形式モデルの互換、パーティション、パースペクティブ、行レベルのセキュリティ、双方向リレーションシップ、および翻訳機能のすべてがサポートされています。詳しくは公式サイトをご参照ください。
- 参考記事:
- 表形式モデルの互換性レベル
Direct Query モード
クエリの実行時に、バックエンドのリレーショナルデータベースを活用するクエリです。 SQL Server 、 SQL Server Data Warehouse 、 Azure SQL Database 、 Azure Synapse Analytics 、 Oracle 、および Teradata データソース内の非常に大きなデータセットをサポートすることができます。詳しくは公式サイトをご参照ください。
様々なデータソースをサポート
あらゆるデータソースと接続が可能です。モデルの互換性レベル、使用可能なデータ コネクタ、認証の種類、オンプレミスのデータゲートウェイのサポートなど、さまざまな要因に依存するため、詳しい要件は公式サイトをご参照ください。
セキュリティ機能
データを複数のレベルのセキュリティで保護することができます。分散型サービス拒否 ( DDoS ) 攻撃に対する基本レベルの保護、ファイアウォール、 Azure 認証、サーバー管理者ロール、サーバー側暗号化などを提供してくれます。
データモデルレベルでは、ユーザーロール、行レベルとオブジェクトレベルのセキュリティによってデータの安全性が確保され、意図したユーザーのみにデータが表示されることを担保してくれます。
最新クライアントツールのサポート
Power BI 、 Excel 、 Reporting Services 、サードパーティ製ツールなど、データの探索と視覚化用の最新ツールがすべてサポートされています。
Azure Analysis Services の料金について
Developer 、 Basic 、 Standard の各レベルに分類されています。各レベルのプランは、処理能力、クエリ処理ユニット ( QPU )、メモリサイズによって異なります。料金は基本的に従量制です。各レベルで利用できる主な機能の違い、料金の詳細は公式サイトをご参照ください。
3. Azure Analysis Servicesの利用開始まで
分析サーバー作成からサンプルモデルの設定まで最低限必要な項目について解説します。
サーバーの作成
手順1
Azureポータルへアクセスし、[リソースの作成]>[分析]>[ Analysis Services ] をクリック

手順2
[ Analysis Services ] で、必要なフィールドを入力して [作成] をクリック

通常、サーバーの作成にかかる時間は 1 分以下です。 [すべてのサービス]>[ Analysis Services ] に移動して、サーバーの準備ができていることを確認します。
データモデル(サンプル)を追加する
手順1
サーバーの [概要] で、 [新しいモデル] をクリック

手順2
[新しいモデル]>[データ ソースを選ぶ] で、[サンプル データ] が選ばれていることを確認して、[追加] をクリック

手順3
[概要] で、 adventure works サンプル モデルが追加されたことを確認

このように基本的には Azure ポータルより分析用のサーバーを作成し、データを取り込む設定を行うことで、分析サービスを利用することが可能となります。さらに細かい利用方法などは公式サイトのドキュメントをご参照ください。
図版出典:
クイック スタート: サーバーを作成する – ポータル
チュートリアル – ポータルからサンプル モデルを追加する
4.まとめ
本記事では Azure Analysis Services について基本的な概要、機能、基本的な設定方法について解説しました。ビックデータの活用、 BI ツール、 OLAP 、データのモデリングは近年のトレンド技術であることから、企業の注目度も高いサービスです。
Azure Analysis Services は元々 SQL Server Analysis Services と互換性が高いため、使い慣れている方は効果的に活用できるのではないでしょうか。またこれから利用する企業も企業データの有効的な活用方法の一つとしてぜひ前向きに導入をお勧めします。自社での導入が難しく感じられる場合、専門家への相談をお勧めします。
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