Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

FATクライアントとシンクライアントの違いとは?活用シーンも解説

Category: 入門編

2023.12.11

性能やセキュリティなどさまざまな観点からデバイスの特徴を比較

PC などのクライアント端末は、 FAT クライアント・シンクライアントという2種類に分けられます。リモートワークやハイブリッドワークが普及するなかで、それぞれの特徴を理解し状況に合わせて適切なクライアント端末を選択することが重要です。

本記事では FAT クライアント、シンクライアントそれぞれのメリット・デメリット、適した活用シーン、セキュリティ対策などについて詳しく解説します

1. FAT クライアントとは

FAT クライアントとは、記憶媒体やアプリケーションソフトなどの環境をすべて搭載した、クライアント側であらゆる処理が実行できるデバイスのことです。つまり従来からの通常の PC を表します。 FAT には「太い」「厚い」といった意味があります。

通常はローカル環境にアプリケーションなどをインストールして、デバイスのリソース( CPU やメモリ)などを使用して処理を行い、データもローカル環境へ保存されます。

FAT クライアントのメリット

FAT クライアントには次のようなメリットがあります。

高度な業務をこなせる

デバイス上に OS やデータ、アプリケーションなどのすべてを備えているため、サーバーに接続しなくてもスタンドアロンで高度な業務をこなせます。環境を選ばないため、利用者側としては使いやすいです。

オフラインでも作業ができる

アプリケーションなどはローカルにインストールされているため、ネットワーク接続がない状況でも動作するものもあります。オフラインでの作業が必要な場合に役立ちます。

データへ高速にアクセスできる

データがローカルに保存されているため、必要な時にスムーズにアクセスできます。 VDI などのリモート環境のように、ネットワーク状況に左右される心配がありません。

FAT クライアントのデメリット

FAT クライアントには次のようなデメリットがあります。

セキュリティリスクが高い

ローカルに重要なデータなどが保存されているため、デバイスの紛失や盗難が発生した場合には情報漏洩などのおそれがあります。

メンテナンスが煩雑

クライアントごとに管理する必要があり、一元管理ができません。大規模な環境ではプログラムの更新やアプリケーションのインストールなどの管理業務が煩雑になりやすいです。

2. シンクライアントとは

シンクライアントとはほとんどの処理を、仮想デスクトップ環境などを提供するリモートサーバー側で行い、クライアント側の処理を最小限にするアプローチです。

シンクライアントデバイスは、ディスプレイやキーボード、マウスといった最低限の機能を備え、ローカルにはデータを残しません。

FAT クライアントのセキュリティ課題を解決するために生まれたため、近年多くの企業でシンクライアントが普及しはじめています。

シンクライアントのメリット

シンクライアントには次のようなメリットがあります。

セキュリティを強化できる

デバイスにデータが残らず、個人によるアプリケーションのインストールもできないため、紛失・盗難などが発生した際の情報漏洩やウイルス感染などのリスクを軽減できます。

アクセス性が向上する

基本的にサーバー上の仮想デスクトップにアクセスするため、会社から支給されたデバイス以外に個人デバイスやスマホ、タブレットなどからもアクセスできます。これにより多様なワークスタイルに対応することが可能です。

管理負荷を軽減できる

多くのデバイスが稼働する大規模な環境であっても、サーバー側でクライアントデバイスの OS やアプリケーションの一元管理ができるため管理負荷を大幅に軽減できます。

シンクライアントのデメリット

シンクライアントには次のようなメリットがあります。

オフラインでは使用できない

サーバーに接続しないと作業ができないため、常時ネットワーク接続が必要です。ネットワーク環境が不安定な場合やオフラインでは作業ができず、こうした環境では業務に影響を与えるおそれがあります。

サーバーに負担がかかる

すべての処理をサーバーに集約するため、サーバーに大きな負荷がかかります。アクセスが集中したりサーバー障害が発生したりすると利用者全員に影響する可能性があるため、サーバーには高いスペックが求められます。

FATクライアントとシンクライアントの違い

図版出典:Work × IT

3. FAT クライアント・シンクライアントの活用シーン

FAT クライアント、シンクライアントの特徴を踏まえて、一般的に適した活用シーンについて解説します。

高性能なアプリケーションやシステムを利用者がストレスなく使用したい、オフラインでも作業する必要がある、といったケースでは FAT クライアントが向いています。ただし、リモートワークではセキュリティ面の懸念があるため、作業場所が限定されている場合がおすすめです。

一方でリモートワークでのセキュリティを強化したい、管理負荷を軽減したいというケースではシンクライアントが向いています。しかし操作性や業務継続性は FAT クライアントと比較すると劣ります。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、自社の環境や要件に併せて選択すべきです。

4. リモートワークのセキュリティを確保するには

リモートワーク環境の理想はセキュリティを確保しつつ、生産性を上げることです。これを実現するためのおすすめのソリューションについて解説します。

Azure Virtual Desktop と Microsoft Intune の活用

AVD ( Azure Virtual Desktop )とは、 Microsoft が提供するデスクトップ仮想化サービスです。クラウドサービスのため構築の手間や時間が不要で、手軽に仮想デスクトップ環境の利用を開始できます。

また、同じく Microsoft が提供するクラウドベースのデバイス管理サービス Intune ( Microsoft Intune )を併用することで、 AVD へアクセスするデバイスを管理することが可能です。

Intune はデバイス一つ一つを可視化し、さまざまな条件を定義してアプリへのアクセス制御を行う「条件付きアクセス」を利用できます。そのため細かな要件にも対応してセキュリティを強化できるのです。

リモートワークにおけるシンクライアントはもちろん、 FAT クライアントも管理できるため、高性能な端末でリモートワークを行いたい場合に最適なソリューションといえるでしょう。

5. まとめ

FAT クライアント、シンクライアントにはそれぞれメリット・デメリットがあります。特にリモートワークにおいてはデバイスの性能もしくはセキュリティのどちらかを犠牲にしなければならず、悩んでいる方も多いでしょう。

この解決策となるのが、 Azure Virtual Desktop と Microsoft Intune の併用です。 FAT クライアント、シンクライアントそれぞれのメリットを活かすために、ぜひリモートワーク環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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Tag: FATクライアント シンクライアント

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