Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Windows VDA ライセンスとは?リモートワークを実現するためのライセンスについて解説します!

Category: 入門編

2022.08.10

〜Windows VDA の概要、メリット、費用感、代表的な VDI サービスのご紹介〜

今まではオフィスの中で企業が貸与したパソコンを利用していましたが、近年ではテレワークの普及により、従業員の自宅やサテライトオフィスに持ち出すケースが増えています。また BYOD(Bring Your Own Device) という考え方から、個人が所有するデバイスを利用し社外から業務データにアクセスするケースも増えています。

しかし、BYOD は個人の端末に業務データや、機密情報が残ってしまう可能性があります。また管理が行き届かない場合、物理的な紛失や情報漏洩などの危険性も生じるでしょう。このように昨今の労働環境はセキュリティリスクが非常に高いと言えます。

これらの状況から VDI(Virtual Desktop Infrastructure) と呼ばれる仮想デスクトップが注目されています。VDI は、セキュリティ対策に加え、運用コストの削減も期待できるシステムです。

今回は、この VDI に必要なライセンスである Windows VDA(Virtual Desktop Access) について、基礎知識、費用感、利用できる VDI、メリットについて解説します。

1. Windows VDA ライセンスとは

Windows VDA ライセンスとは、遠隔から仮想デスクトップ環境に接続し、Windows を利用するためのライセンスです。仮想デスクトップ環境とは、VDI(Virtual Desktop Infrastructure) と呼ばれる仮想基盤の上で動作する Windows OS の仮想マシンのことを指します。また近年では DaaS(Desktop as a Service) と呼ばれるサービスも普及しており、いずれも仮想デスクトップ環境であるが、利用者がカスタマイズできる範囲が異なります。

Windows VDA はマルチセッションとシングルセッションの2種類が存在します。Windows VDA ライセンスは、VDI に接続するデバイスの単位で購入することが一般ですがユーザー単位でも販売されています。

利用料金は、一括の買い切りライセンス提供ではなく、利用期間に応じて金額が課金されるサブスクリプション型、または月額定額型が主な提供方法です。

Windows VDA ライセンスを購入し、VDI 環境へ接続することで、一見、利用者は手元のパソコン(クライアント PC )で Windows デスクトップ画面を操作しているように見えますが、実際のデータは Microsoft 社が提供するクラウド環境( Azure )で集約された環境や、自社で構築した仮想基盤上で動作していることになります。

RDS(Remote Desktop Services) との違い

ここで混同しやすい類似の概念が RDS です。RDS は Remote Desktop Services の略です。VDI 環境と異なる点はサーバー側の OS をユーザー全体で共有する方式であるという点です。RDS 環境はユーザー毎に個別の環境が構築されるわけではありません。そのため、自分の作業環境が保存されるわけではなく、毎回同じ環境を使うことはできません。

この RDS 方式は、一つのサーバー OS ライセンスで複数人が使えます。VDI の場合は人数分の VDA ライセンスが必要になり、RDS はコストパフォーマンスに優れているといえますが、柔軟なカスタマイズができないので自由度は VDI より劣ります。

2. Windows VDA ライセンスのメリット

Windows VDA ライセンスで VDI 環境へ接続することでのメリットを解説します。

セキュリティの強化

VDI 環境に接続することで、クライアント PC 経由で実際は VDI 上の仮想マシンを操作することになります。つまりクライアント PC にはデータは一切残りません。よって紛失や盗難による情報漏洩のリスクを低減できます。

実際のデータ処理、保存は全て VDI 側で行われるので万が一、クライアント PC がサイバー攻撃を受けても、ダメージを最小限にすることが可能です。そのためテレワークのセキュリティ強化として注目されています。

一元管理による運用コストの削減

各クライアント PC に対し個別に OS アップデート更新、セキュリティパッチの適用、アプリケーションのバージュンアップなどさせることは、負荷が高い管理作業です。

VDI 環境を利用することで、デスクトップ環境の一元管理ができます。管理者の運用コストの負荷を低減することが可能です。システムの規模が大きくなるほどにWindows VDA ライセンスを導入し VDI 環境で運用する効果、メリットも大きくなります。一元的な管理は企業の BCP 対策に有効です。

BCP とは事業継続計画(Business Continuity Plan)です。災害、大規模なシステム障害などの緊急事態下にあっても、重要性の高い業務を継続できるようにする計画のことです。

働き方の多様性を実現

Windows VDA ライセンスを持っていれば、Windows、Mac、iOS、Linux、Androidなど、どの OS 端末でも VDI 環境を利用できます。つまりインターネット接続ができる環境があれば、遠隔地でも業務が可能となります。

接続端末、働く場所を問わず、近年の働き方改革、テレワークの推進など、環境整備の必要性に対応することが可能であり、働き方の多様化を実現に活用することができます。

3. Windows VDA ライセンスの費用感

Windows VDA のライセンスの費用感と、VDI 環境を利用するにあたり必要なコストを解説します。

前提となるライセンスの考え方

VDI 環境に接続するためのライセンスは、Windows の場合、Windows10/11 Enterprise E3/E5 のエディションの中に包括されています。必要なライセンスを保有していれば、追加コストなしでVDI環境に接続することができます。

ライセンスの購入方法

Windows VDA ライセンスを包括する各ライセンスの販売は、パートナー経由で購入することが原則であるため、実際の費用は販売パートナーへ確認する必要があります。

ライセンス費用は、ライセンスプログラムやボリュームディスカウントによって変動するため、本記事で掲載するのは掲載時点での参考価格です。

【おおよその市場価格】
Windows 10 Enterprise E3 760円/アカウント
Windows 10 Enterprise E5 1,200円/アカウント

ライセンス以外にもかかるコスト

VDI 環境を接続するだけでなく業務利用するためにはライセンス以外にも発生するコストを紹介します。

仮想マシン費用

自社で構築するか、パブリッククラウドを利用するか、DaaS サービスを利用するかによって課金形態は異なりますが、VDI 環境に構築され稼働しているサーバー側の仮想マシンにも料金が発生します。

Office ライセンス費用

VDI環境で業務に必要な Office アプリ( Word、Excel など)を利用する場合は、別途ライセンスが必要となります。しかし Microsoft 365 関連のライセンスに包括されているタイプもあります。

アクセス回線費用

VDI 環境へのアクセス回線に、公衆網(汎用的なインターネット回線)以外を用いた場合には利用料金が発生します。

運用管理費用

自社で運用、外部運用事業者へ委託、どちらの場合であっても、それぞれの運用コストが発生します。

4. Windows VDAライセンスで利用できる VDI(DaaS) サービス

Microsoft 社が提供する VDI、DaaS を以下2点紹介します。

Azure Virtual Desktop(AVD)

AVD は、2019年に発売された DaaS 型の VDI サービスです。Microsoft 社のクラウドサービスである Azure に構築された Windows のデスクトップ環境へ、様々なデバイスからアクセスできるサービスです。

AVD はマルチセッション接続に対応しており、Windows のデスクトップ環境へ、複数台のコンピュータで共有することが可能です。AVD の費用として、ライセンスの他にAzure上の仮想ホスト稼働時間に応じた従量料金が発生します。

Windows 365

Windows 365 は、クラウド上の仮想マシン上にある Windows OS を Web ブラウザで利用可能とするサービスです。クラウド PC とも呼ばれ、2021 年 8 月にリリースされました。

Windows 以外でも、Mac、iPad、Android、Chromebook などでも Windows 10 の利用ができます。VDI サービスとは異なり、Web ブラウザ上で完結するため、月額料金のサービス料のみで利用できます。従量制課金、ライセンスも不要です。

デバイス毎に月額コストが発生するが、簡易に Windows を導入でき、DX の推進につながることが期待されています。

5. まとめ

Windows VDA ライセンスについて、基本的な概要、メリット、サービスについて紹介しました。VDI 環境を利用することで、セキュリティの向上、管理コストの削減、柔軟な働き方の実現など様々な面においてメリットがあります。Windows VDA ライセンスは元々保有しているライセンスにバンドルされているケースもあるため、ライセンスのタイプや購入や、VDI 導入に当たっては、専門家へ相談されることも推奨いたします。

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Tag: AVD Azure Virtual Desktop Azure運用管理 VDI Windows VDA

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