目次
Microsoft Entra IDの多要素認証を理解したうえで業務を進めていきましょう
セキュリティの脅威は日々進化しており、従来のパスワードだけでは不十分な時代になりました。Microsoft Entra ID による多要素認証( MFA )は、この問題に対する革新的な解決策を提供します。
知識、所有、生体情報の組み合わせによる認証は、不正アクセスやデータ漏えいのリスクを大幅に軽減し、現代のリモートワークやクラウドサービスが増えるビジネス環境において、組織のデータとシステムを守るための必須の対策です。
本記事では、 MFA の重要性、そのメリット、設定方法、そして導入時に直面する一般的な課題とその解決策について、わかりやすく解説します。
1. Microsoft Entra ID の多要素認証(MFA)とは
Microsoft Entra ID は、インターネット上で会社のプログラムやファイルに安全にアクセスするための管理サービスです。重要な情報への安全なアクセスを保証するため、Microsoft Entra ID は「多要素認証」を使用しています。
多要素認証の重要性
多要素認証( MFA )は、現代のデジタル環境でのセキュリティにおいて重要な要素です。Microsoft Entra ID を使用する際など、単一のパスワードや静的な認証方法だけでは、不正アクセスやデータ漏えいのリスクが高まります。
MFA は、少なくとも 2 つ以上の独立した認証要素(知識、所有、生体情報)を組み合わせることで、ユーザーが本人であることを証明し、セキュリティを強化します。

図版出典:Microsoft公式サイト
特に、リモートアクセスやクラウドベースのサービスが増える現代では、 MFA は不正アクセスを防ぎ、組織のデータとシステムを保護する必須の対策となっています。
Microsoft Entra ID のようなクラウドベースの認証システムに MFA を組み込むことで、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなくセキュリティが強化可能です。
一般的に使用される認証方法(パスワードや生体認証)との違い
一般的な認証方法には、パスワードや PIN コード(知識に基づく認証)、スマートカードやセキュリティトークン(所有に基づく認証)、指紋や顔認証(生体に基づく認証)が存在します。
例えば、パスワード(知識)とスマートフォンへのプッシュ通知(所有)の組み合わせ、またはパスワードと指紋認証(生体)の組み合わせなどが考えられます。
これらにより、一つの認証要素が侵害された場合でも、他の要素が防御の役割を果たし、不正アクセスを防ぐことが可能です。
2. Microsoft Entra IDで多要素認証を設定するメリット
ここからは Microsoft Entra ID の多要素認証設定のメリットについて説明します。
不正アクセスのリスク軽減
Microsoft Entra ID で多要素認証を設定することは、システムに追加の保護を提供するようなものです。通常、パスワードは一つの保護手段です。しかし、誰かがパスワードを見つけると、システムへのアクセスが容易になります。
多要素認証を使用すると、パスワード(あなたが知っているもの)に加えて、スマートフォン(あなたが持っているもの)や指紋(あなた自身の特徴)など、一つまたは二つの追加的な認証手段を要求します。
これにより、パスワードを知っている人でも、他の認証手段がなければアクセスできないため、不正アクセスのリスクが大幅に低減します。
セキュリティ違反の影響を最小限に抑える
Microsoft Entra ID に多要素認証を設定すると、予期せぬ事態に対する損害を軽減できます。たとえパスワードが誰かに知られてしまっても、その人があなたのスマートフォンや指紋を手に入れるのは難しいでしょう。
多要素認証は、パスワードに加えてスマートフォンの確認や指紋認証などの追加チェックを行うことで、不正なアクセスを防ぎます。
これにより、たとえパスワードが漏れても、その情報だけではあなたの重要なデータにアクセスできず、セキュリティ侵害の影響を軽減することが可能です。
3. Microsoft Entra IDで多要素認証を設定する方法
Microsoft Entra ID で多要素認証(MFA)を設定する手順は次のとおりです。
手順 1 :Microsoft Entra 管理センターに条件付きアクセス管理者、セキュリティ管理者、またはグローバル管理者のアカウントでサインインします。
手順 2 :「保護」メニューから「条件付きアクセス」へ進み、「+ 新しいポリシー」を選択して新しいポリシーを作成する。

図版出典:Microsoft公式サイト
手順 3 :ポリシー名を設定します。
手順 4 :「割り当て」セクションで「ユーザーまたはワークロードの ID 」を選択し、「ユーザーとグループ」を指定します。

図版出典:Microsoft公式サイト
手順 5 :「クラウド アプリまたはアクション」で、 MFA を適用したいアプリを選択する。
手順 6 :「アクセスの制御」セクションで、「許可」を選択し、「多要素認証を要求する」を設定します。
手順 7 :ポリシーを「オン」に設定し、「作成」を選択してポリシーを適用する。
4. 一般的な課題と解決策
ここからは、 Microsoft Entra ID を用いて多要素認証を設定する際の一般的な課題とその解決策について解説します。
ユーザビリティの低下
多要素認証の使用により、セキュリティは向上しますが、ログインが少し手間に感じるかもしれません。これは、パスワードだけでなく、スマートフォンへのプッシュ通知や指紋認証など、追加の手順を必要とするためです。
しかし、便利さを考慮した方法を選べば、この問題は解決できます。例えば、プッシュ通知や生体認証は迅速に反応できるため便利です。
また、頻繁に使用するデバイスでは、次回からのログインを容易にする設定も可能です。これにより、セキュリティを維持しつつ、使いやすさも保てます。
導入と管理の複雑さ
多要素認証の導入は、設定や日常の管理が難しくなり、特にIT部門に大きな負担を与えることがあります。しかし、クラウドベースの多要素認証のサービスを採用することで、これらの問題が大幅に軽減されます。クラウドサービスはインターネットを通じて簡単に設定や管理が可能で、手間を省くことが可能です。
さらに、多要素認証の導入を段階的に行い、従業員への使用方法のトレーニングを提供することで、スムーズに運用を始めることができます。このようなアプローチにより、導入と管理の複雑さを最小限に抑えることが可能です。
コスト
多要素認証を設定する際には、初期費用や運用費が必要になります。しかし、これは不正アクセスによるリスクを軽減し、将来的な大きな損失を防ぐ投資と考えられます。
そのため、コストと効果を比較し、費用対効果の高い多要素認証のソリューションを選ぶことが重要です。必要な機能を提供しつつコストを抑えたソリューションを選べば、安全性を維持しながら経済的な負担を軽減することができます。
技術的な障壁
多要素認証の導入時には、既存のシステムやアプリケーションとの互換性問題が発生することがあります。これは新しいセキュリティ機能が古いシステムと適切に連携できないためです。
このような技術的な障壁を克服するためには、既存のシステムと互換性のある多要素認証( MFA )のソリューションを選ぶことが重要です。
さらに、 API やカスタム統合を用いて異なるシステム間で情報のやり取りをスムーズにすることも一つの解決策です。また、専門的なサポートやコンサルティングサービスを利用して技術的な課題を解決するのも有効な方法です。
5. まとめ
Microsoft Entra ID の多要素認証( MFA )導入は、企業や個人のデータを保護するための重要なステップです。 MFA は、単一の認証方法に依存するリスクを減らし、不正アクセスやデータ漏洩の可能性を下げます。
この技術は、知識、所有、生体情報など、複数の独立した認証要素を組み合わせて認証の堅牢性を高めます。特にリモートワークやクラウドサービスが普及する現代では、 MFA は組織のデータとシステムを保護する必須の対策です。
Microsoft Entra ID を含む MFA の導入は、現代のセキュリティ環境において必要不可欠です。適切に実装された MFA は、セキュリティ侵害のリスクを減らし、企業の価値あるデータとリソースを保護する鍵となります。そのためには、上述した課題への実用的な解決策を見つけ、効果的に対応することが重要です。
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Tag: Microsoft Entra ID 多要素認証
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