Kubernetes Managed Service Column <Kubernetes運用コラム>

アプリケーションの柔軟性、拡張性を向上させる「Kubernetes Pod」について解説

Category: 入門編

2024.02.06

Kubernetes Pod の概要、特徴、メリット、ベストプラクティス、セキュリティポリシーについて

近年、コンテナ技術の進化により Docker の利用が広まり、オーケストレーションシステムを提供する Kubernetes が注目されています。

本記事では、 Kubernetes の最小管理単位である Pod について、概要、特徴、メリット、ベストプラクティス、セキュリティポリシーについて解説します。

1. Podとは

Pod とはアプリケーションが動作する Docker コンテナの集合体であり、 Kubernetes 上でデプロイするための最小単位です。 Pod 内では、コンテナが実行され、 Pod が作成されると Cluster 内の Node 上で実行されるように割当てられます。

それぞれのコンポーネントの違いについて

Pod について理解するために、まず初めに混同されやすいCluster 、 Node との違いについて解説します。

Cluster

Cluster は、 Kubernetes でコンテナ化されたアプリケーションをデプロイ、管理、スケーリングするための複数の Node で構成された環境です。

Node

それに対し Nodeは Kubernetes Cluster 内の物理または仮想のマシンを指し、コンテナが実際に実行される場所です。

Pod

Pod は Kubernetes 上の最小デプロイ単位であり、 1 つ以上のコンテナをまとめています。Pod ではコンテナ間で共通のボリュームや IP アドレスを共有することができます。

Podとは このように Pod は Kubernetes においてアプリケーションやサービスが実際に実行される最小単位であることがわかります。

2. Podの機能

Pod は、クラウドネイティブアプリケーションのデプロイと管理において中心的な役割を果たす機能を持っています。主な機能について解説します。

複数コンテナの相互通信

Pod 内には複数のコンテナが存在し、コンテナは同じ Pod 内で同じネットワーク名前空間、ストレージ名前空間、 IP アドレスを共有します。

リソースの共有

Pod 内のコンテナは同じホスト上で実行され、 CPU 、メモリ、ストレージ、ボリュームなどのリソースを共有します。

ネットワーキングでは、各 Pod には一意の IP アドレスが割り当てられ、 Pod のすべてのコンテナは、 ネットワーク名前空間を共有し、その中でIP アドレスとネットワークポートを共有します。

ストレージ共有では、 Pod は複数の共有ストレージボリュームを指定でき、それを利用して Pod 内の全てのコンテナは、この共有ボリュームにアクセスし、データを共有できます。

アプリケーションのランタイム環境

Pod 内のランタイム環境は、 Linux ネームスペース、 cgroups (コントロールグループ)、共有ファイルシステムなどを利用してアプリケーションのプロセスを分離し、制御することができます。

3. Podのメリット

これら Pod の機能から得られるメリットについて解説します。

アプリケーションのグルーピングができる

同じ Pod 内に関連するアプリケーションコンポーネントをまとめることができるため、これによりコンポーネント間の通信が簡単に実現できるようになります。

柔軟性と拡張性

Pod はクラスタ内で、複数のコンテナが同時にスケジュールされ、共有されたリソースを利用することができ、リソースの利用を最適化することができます。

さらに、それぞれが異なる役割や機能を担当できるため、柔軟でモジュラーなアーキテクチャを構築することができるようになります。

障害耐性と自動修復

Pod はクラッシュした場合に自動的に再起動され、アプリケーションの障害耐性を向上することができます。

ホストからの隔離

Pod 内のコンテナは同じホスト上で実行され、それぞれが独自のLinuxネームスペースとcgroupsを持ち、相互に隔離されていることで、互いに影響を受けることなく動作できるようになります。

4. Podの構成モデル

Podについて 2 つの構成モデルを解説します。

シングルコンテナPod

1 Pod = 1 コンテナ構成のモデルです。 Kubernetes では最も一般的なユースケースであり、ユーザーは Pod を単一のコンテナとして考えることができるシンプルな構成モデルです。

シングル Pod は、アプリケーションが複数のプロセスやコンポーネントで構成されている場合でも、それらを同じPod内で実行できるため、デプロイ、スケーリング、トラブルシュートまで、一連の管理、運用を容易に行うことができます。そのためリソースを最適に利用し、コストパフォーマンスの向上が期待できます。

マルチコンテナPod

複数のコンテナが同じ Pod 内に存在するモデルです。それぞれが独自のネットワーク名前空間およびストレージを持ち、通信はネットワークを介して行われます。

異なるプロセスやコンポーネントが協調して作業する場合において、共有のリソースを利用することができます。共通のリソースの共有やマイクロサービスアーキテクチャのサポートにより、柔軟性と拡張性が向上します。

以上のように、シングルコンテナPodは通常 1 つのアプリケーションを実行する構成モデルであるのに対し、マルチコンテナ Pod は関連するが異なるタスクやプロセスを持つ複数のコンテナを同じ Pod 内で実行することができる構成モデルで、それぞれにメリットがあります。環境に合わせた構成モデルを選定することが大切です。

Podの構成モデル

図版出典:Qiita

5. Podに関するベストプラクティス

Pod内のコンテナの配置やセキュリティに関するベストプラクティスを紹介します。

Single Responsibility Principle(単一責任の原則)

各コンテナに、1つの役割や責任を持たせる責任の原則です。これを適用することで、コンテナがシンプルで運用・保守の負担を減らすことができます。

相互に関連するコンテナを同じPodに配置する

一緒に動作するコンテナは同じPod内に配置することで、高いパフォーマンスと低いレイテンシを確保できます。これは通信のオーバーヘッドを最小限に抑え、同じネットワーク名前空間とストレージを共有することによるメリットです。

サイドカーコンテナを使用する

サイドカーコンテナは、メインアプリケーションコンテナをサポートするために追加される小さなコンテナのことです。ログの収集や監視用などに向いており、メリットを活かすことができます。

Health Checksを実装する

各コンテナには適切なHealth Checksを実装することで、Kubernetesがコンテナの状態を把握し、必要に応じてリスタートや別のノードへの移動を行えるようになります。

Transport Layer Security (TLS)の利用

データの暗号化にはTLSを利用することが推奨されます。 Pod 間通信が行われる場合、TLS によって通信内容が暗号化され、中間者攻撃やデータの盗聴を防ぐことができます。

RBACの使用

Role-Based Access Control( RBAC )を使用して、Podやサービスに対するアクセス権を制御でき、不正なアクセスや権限の乱用を防止することができます。

これらのベストプラクティスは、アプリケーションの性質や要件によって異なる場合があるので、適切な設計は、実際のユースケースに合わせて行うことが重要です。

6. まとめ

Podは、コンテナ化されたアプリケーションの基本単位であり、複数のコンテナが協調して動作する仕組みを提供します。 Pod の利点は、柔軟性と拡張性にあり、異なる役割を果たすコンテナを同じ Pod にまとめることで、簡単なコミュニケーションとリソースの共有が可能となります。このように Pod は、コンテナオーケストレーションの進化において重要な役割を担っています。

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Tag: Kubernetes Pod

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