はじめに
パソコンなどのデータを扱う機器を使用する際には、ファイルシステムが必要不可欠です。また、ネットワーク上でデータを共有したり使用したりするには、ファイルサーバーがあるとスムーズな運用につながります。
この記事では、まずファイルシステムについて解説するとともに、ファイルサーバーとして多く利用されているNFSやSMBについてもご紹介します。
ファイルシステムとは
ファイルシステムとは、サーバーはもちろん、パソコンやビデオレコーダーなどの録画機器などにおいて、ハードディスクやCD-ROMなどの記憶装置・媒体などにデータを決まったフォーマットで整理・保存するためのOSの機能のことです。2020年現在、ほとんどのOSは、ファイルシステムを使ってファイルを管理しています。つまり、ファイルシステムはデータを管理する機器にとってなくてはならないOSの機能の一つであるといえるでしょう。
データを整理するとは、記憶媒体のどこに目的のデータが格納されているのかを、コンピュータが認識できる状態にするということです。
例えば、パソコンで文書や画像のデータを呼び出したいときに、ユーザーがデータフォルダをクリックするとアイコンなどでデータが表示されるのは、ファイルシステムが正常に作動し、データを整理しているためです。
ファイルシステムには、いくつか種類があります。機能面での最も大きな違いは、ファイルシステムによって扱えるファイルサイズやデータ容量の上限が異なる点でしょう。
また、OSによって標準搭載しているファイルシステムも異なります。OSが対応していないファイルシステムへデータを読み書きしようとした場合は、フォーマット(記憶媒体のファイルシステムへの適合)を要求されます。
例えば、USBメモリを初めて使用する際にフォーマットが必要なのは、使用しているOSのファイルシステムに合わせて記憶領域を適合させる必要があるためです。
ファイルシステムの機能
ファイルシステムにはファイルの整理以外にも、さまざまな機能があります。ファイル整理以外の代表的な3つの機能を具体的に解説します。
ファイルの保存
WordファイルやExcelファイルなどのドキュメントや、JPEGなどの画像ファイルをハードディスクなどの記憶装置上に保存する機能です。“名前をつけて保存”をすることで、ファイル名称を自由に設定でき保存場所(フォルダ)を指定できるため、情報を分かりやすく管理することができます。
暗号化
ファイルシステムを暗号化することで、記憶装置や媒体が盗難等により悪意ある第三者に渡ってしまったとしても情報漏えいを防ぐ機能です。
ファイルシステムを暗号化しているときは、そのファイルシステム内に作成されたファイルはすべて自動的に暗号化が適用されます。内容の参照には記憶装置を取り付けていた元々のコンピュータや暗号化キーが必要なため、ハードディスクを抜き取られて、別のコンピュータに接続されたとしても、内容を参照することはできなくなります。
圧縮
データ保存の際にデータ容量を圧縮することで、使用データ容量を軽量化できます。
例えば、データ容量に制限のあるモバイル端末やメモリ媒体の使用時は、データを圧縮し使用量を少なくしておくとよいでしょう。
ファイルシステムをネットワーク越しに使うために必要なもの
ファイルシステムをネットワークを介して利用するにはさまざまなプロトコル(コンピュータ同士の通信をするための手段やルール)の種類があり、それぞれ仕様が異なります。ネットワークを介して利用する場合のファイルシステムの弱点は、仕様の違いによりOSごとに規格や扱えるファイルサイズの制限が変わることにあります。
つまり、ネットワークを構築してそれぞれのサーバーでファイル共有をするためには、本来すべてのサーバーに同一のプロトコルを設定し、記憶領域を合わせておく必要があるのです。
そうした問題を解決するのが、NFSやSMBのような機能を提供するファイルサーバーです。ファイルサーバーは、専用のサーバーとして構築することもできますし、それ専用の製品を導入することによって実現することができます。 ファイルサーバーが提供するNFSやSMBがそれぞれどのようなものか、具体的にご紹介します。
NFSとは
NFS(Network File System)とは、LinuxなどのOSに標準で実装されているファイルサーバー機能です。WindowsサーバーやMacでもサポートされているため、汎用性の高い仕組みとしてよく利用されています。
NFSを使用すれば、ネットワークを介してファイルサーバー上のストレージ領域をローカルサーバーのハードディスクなどと同様に利用可能です。複数のサーバー間でのファイル共有が簡単に実現でき、複数のサーバーから共有しているファイルシステムに対して同時アクセスできるというメリットがあります。
Webサーバーやアプリケーションサーバーなど、サーバー間でファイルを共有する目的で良く利用されます。
SMBとは
SMB(Server Message Block)は、NFSと同じくファイル共有などの際に使用するファイルサーバー機能で、主にWindowsで使用されている通信プロトコルです。とはいえ、SMBもNFSと同様にほとんどすべてのOSでサポートされています。
NFSはサーバー間のファイル共有で利用されることが多いのに対し、SMBは、Windows10などのクライアントPCからアクセスし、複数のユーザーで作業ファイルを共有する目的で良く利用されます。
おわりに
ファイルシステムは、パソコンなどデータを使用する機器でデータの整理・保存・暗号化・圧縮などの目的で用いられる機能です。しかし、各OSに依存したファイルシステムは異なるOS間、サーバー間でのやりとりをするには少々不便といえます。 WindowsやMacなどさまざまなOSでサポートされているNFSやSMBは、そのような問題を解決し、複数のサーバーおよびクライアントPC間でのデータ共有をスムーズに行うファイルサーバー機能です。
クラウドサービスだと、例えばAzureのファイル共有サービスであるAzure filesは、NFSやSMBのプロトコルを活用して、サーバーにマウントできます。Azure filesにてサーバーにマウントをする方法は以下のページで詳細を解説しています。興味のある方はぜひチェックしてください。
あせて読む:「Azure ストレージが提供する4つのサービスを紹介 (Azure Files)」

Tag: ファイルシステム
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