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Virtuozzoとは?利用するメリットや注意点、移行のステップを解説

Category: 入門編

2025.08.01

主なソリューション、ライセンス体系もわかりやすく解説

VMware 製品のライセンス体系や価格改定をきっかけに、仮想化基盤の見直しを検討する企業が増えています。VMware の代替候補となる製品は数多くありますが、近年注目されているのが「 Virtuozzo 」と呼ばれる仮想化製品です。

本記事では、 Virtuozzo の概要や利用するメリット、注意点について解説します。Virtuozzo へ移行するステップも紹介しますので参考にしてください。

1. Virtuozzoとは

Virtuozzo は、クラウドインフラの構築・運用を支援するソリューションを提供している企業、または仮想化製品のことを指します。HCI (ハイパーコンバージドインフラ)製品や PaaS 、ストレージソリューションなど、幅広い製品が提供されています。

Virtuozzoが提供している主なソリューション

Virtuozzo が提供している主なソリューションは、下記の 4 つです。

主なソリューション 概要
Virtuozzo Hybrid Infrastructure ( VHI ) 仮想マシン、コンテナ、ストレージ、ネットワークなどを統合的に管理・運用できるクラウド基盤
Virtuozzo Application Platform クラウドネイティブアプリケーションの開発・運用を支援する PaaS
Virtuozzo Storage 高可用性・高性能なストレージソリューション
Virtuozzo Hybrid Server OpenVZ の技術をベースにし仮想化ホスティングソリューション

Virtuozzoのライセンス体系

Virtuozzo では、利用目的や運用形態に応じてトライアル・リース・年間・永続の 4 種類のライセンスが提供されています。

トライアル

トライアルライセンスの場合、有効期限は設定されていませんが、 CPU コアが 96 、ストレージ容量が 1 TB に制限されています。本番運用ではなく、 PoC や検証環境での利用に適しています。

リース

リースライセンスは、月単位で利用契約を更新する形式であり、オンラインでのみ有効化できます。リースライセンスキーを使って、契約期間を延長したり、使用可能なリソース量( CPU やストレージ)を追加したりすることが可能です。

年間

年間ライセンスは、 1 年間の利用期間が定められたライセンスです。オンライン・オフラインの両方で有効化できます。

永続

永続ライセンスは、有効期限が設定されていない一括購入型のライセンスです。ライセンスを一度取得すれば、購入以降も継続的に利用できます。

※参考:ライセンスの管理

VMwareの代替手段としても注目されている

近年、 Broadcom による VMware の買収を契機に既存のユーザーから VMware 製品の価格改定やサポート体制の変化を懸念する声が多く聞かれます。VMware は CPU ソケットやコア数に基づくライセンス体系を採用しているのが特徴です。そのため、サーバー台数や構成が増えるほどコストが増加しやすい傾向があります。

一方、 Virtuozzo は利用目的や利用期間に応じてライセンスを選択でき、段階的な拡張に柔軟に対応できるのがメリットです。VMwareよりも導入・運用コストを抑えやすいため、 Virtuozzo は VMware の代替手段として注目されているのです。

<VMware→Virtuozzoへの移行イメージ>
VMware→Virtuozzoへの移行イメージ

2. Virtuozzoを利用するメリット5選

<他製品との比較>
他製品との比較

Virtuozzo を導入して得られる主なメリットは下記の 5 つです。

メリット1:仮想化以外もカバーする統合基盤でシンプルな運用を実現できる

Virtuozzo は、仮想化・ストレージ・ネットワークといった機能を単一の基盤に統合して提供しています。そのため、複数のベンダー製品を組み合わせて導入・運用する必要がなく、インフラ構成を大幅に簡素化することが可能です。

また、管理画面( UI )も直感的に操作できるよう設計されており、仮想マシンの作成・管理・バックアップといった作業もスムーズに行えます。

メリット2:高コストパフォーマンスなクラウド構築で柔軟に設計できる

Virtuozzo は、利用目的や利用期間に応じたライセンス契約が可能であり、企業の運用スタイルに合わせて柔軟に設計できます。初期導入時は小規模構成からスタートでき、過剰な初期投資を避けながら徐々に拡張できるのが魅力です。

導入コストの最適化だけでなく、長期的な TCO (総保有コスト)の削減にもつながります。特に VMware からの乗り換えを検討している企業にとって、 Virtuozzo の高いコストパフォーマンスは大きな魅力といえるでしょう。

メリット3:OpenStackをベースにした基盤で本番環境でも安心して利用できる

Virtuozzo Hybrid Infrastructure ( VHI )は、オープンソースのクラウド基盤技術である OpenStack をベースにした商用クラウド基盤です。OpenStack は多くのクラウド事業者や大企業で採用されており、実績と信頼性に加え、拡張性と柔軟性に優れています。Virtuozzo はこの OpenStack をベースに安定性や機能性を高めているため、本番環境でも安心して利用できるのがメリットです。

メリット4:日本語サポートがあるため安心して導入・運用できる

Virtuozzo は、ライセンス契約期間中に専門技術者による商用レベルのサポートが提供されています。製品のインストールや設定、バグ修正まで幅広く対応することが可能です。

さらに、日本国内の公式パートナーを通じて日本語での導入支援やサポートが受けられます。海外製のソリューションのサポート体制に不安を感じている企業も安心して導入・運用できるでしょう。

メリット5:既存環境を活かしつつクラウド基盤へ移行できる

Virtuozzo は外部ストレージや既存のネットワーク機器との連携にも対応しており、段階的な移行やハイブリッド構成の構築も可能です。既存の IT 資産を有効活用しながら、クラウド基盤への移行をスムーズに進められます。

3. Virtuozzoを利用する際の注意点

Virtuozzo を利用する際は、下記の 3 点に注意する必要があります。

他の仮想化製品との互換性を確認する

Virtuozzo は、 VMware などと比較すると仮想マシンの形式やネットワーク構成、管理ツールなどに違いが見られます。既存の仮想化環境から移行を検討する際は、既存環境との互換性検証が不可欠です。たとえば、既存の仮想マシン( VM )が Virtuozzo 上で問題なく動作するか、仮想ディスク形式( VMDK 、 QCOW2 など)に対応しているかなどを事前に検証する必要があります。

互換性を十分に確認しないまま導入すると、移行作業に手間がかかったり、アプリケーションが正常に動作しなかったりするリスクがあるため注意が必要です。

サポート範囲やライセンス体系を事前に確認する

Virtuozzo を利用する際は、サポート範囲やライセンスの種類について事前に確認する必要があります。たとえば、どの目的で利用するのか(本番運用やPoC 、検証環境での利用など)どれくらいの期間利用する想定なのかを確認しましょう。これにより、運用時のトラブルやコスト超過を防げます。

Linuxや仮想化に関する基本的な知識も身に付ける

Virtuozzo はオープンソース技術( OpenStack 、 KVM など)をベースにしているため、操作自体は GUI 上で可能です。しかし、基本的な Linux コマンドやネットワーク設定の知識などがあれば、トラブル対応やチューニングの際に役立つでしょう。

4. Virtuozzoへの移行を進めるステップ

<進め方のステップ>
進め方のステップ

Virtuozzo への移行を進める際は、下記の 4 ステップで進めましょう。

① 現行システムの整理・要件整理を実施する

まずは、現在利用している仮想化基盤やアプリケーションの稼働状況を整理します。サーバーのリソース( CPU ・メモリ・ストレージ)の使用状況だけでなく、将来的な拡張計画も考慮して全体像を把握することが重要です。

あわせて、 Virtuozzo 導入後に求められる要件(可用性や性能、ネットワーク構成、バックアップ体制など)も明確にし、設計・構築の方針を定めておきましょう。

② PoC(概念実証)を実施する

次に、 Virtuozzo を用いたテスト環境を構築し、自社のシステムやワークロードが適切に動作するかを検証します。管理画面の使いやすさや担当者の操作習熟度なども確認しましょう。

③ スモールスタートで段階的に導入を進める

PoC にて十分な検証ができたら、まずは業務への影響の少ないシステムから段階的に Virtuozzo への移行を開始します。本番環境へ移行する前に、運用手順書・監視体制・バックアップ方針などを事前に整備しておきましょう。システムの安定稼働を確認し、導入範囲を徐々に拡大することで、リスクを最小限に抑えながら導入を進められます。

④ 本番環境に完全移行し、運用体制を継続改善する

すべてのシステムを Virtuozzo 上に移行できたら、運用体制の実効性を確認しつつ、定期的な見直しや運用改善を実施します。運用チーム向けの教育やマニュアル作成を実施し、トラブル対応力を高めることも重要です。継続的な運用・保守体制を構築し、定期的な見直しやチューニングを実施しましょう。Rworks では、 PoC フェーズでの検証環境の構築から本番環境の設計・実装・運用支援まで、すべての工程でサポートが可能です。

5. まとめ

Virtuozzo は、シンプルな運用性と高コストパフォーマンスを兼ね備えた仮想化基盤であり、 VMware からの移行先として注目されています。OpenStack 準拠の堅牢な設計や柔軟なライセンス体系、日本語対応のサポート体制は、企業の安定運用を支える要素といえるでしょう。

Rworks は PoC 支援から本番移行、運用まで一貫して支援でき、 VMware からの移行を通じてコスト削減に貢献した実績も豊富です。お気軽にお問い合わせください。

Tag: Virtuozzo

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