Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

VDIは遅い?テレワーク時代に欠かせないVDIのパフォーマンスを改善しよう!

Category: 実践編

2022.12.13

VDIのパフォーマンスを阻害する要因と対応策について

近年、遠隔地からのリモートワーク、自宅からのテレワークの普及、 BYOD ( Bring Your Own Device )というデバイスの多様化によるワークスタイルの普及により、デスクトップ仮想化( VDI )の需要が高まっています。

VDI は、セキュリティ、運用コスト、業務効率などに関してメリットがありますが、導入前の調査や計画といった事前の準備を念入りに行わなければ、導入後に想定外のトラブルにより業務に支障きたしてしまう場合があります。

よくあるトラブルが、「 VDI は遅い」といったパフォーマンスに関連するものです。このような動作遅延は、生産性を低下させ、事態が長引けば企業の業績に影響を与えかねません。

本記事ではこのような VDI 導入による動作遅延について、 VDI の基本的な仕組みと共にその原因と、解決策について解説します。

1.VDIとは?

VDI とは、 Virtual Desktop Infrastructure の略で、デスクトップ仮想化と呼ばれるシステムです。 VDI システム基盤に立てられた仮想サーバーを遠隔地からリモートアクセスし、あたかも自身のデスクトップ環境であるかのように利用する事ができます。

VDIの仕組みについて

VDIを利用中は、 VDI の仮想サーバー内の OS が動作していることになります。この OS は共有、または占有するような設定が可能です。また OS が消費するリソースである CPU 、メモリ、ストレージなどはすべて VDI システム側のリソースとなります。

OS のほとんどの処理を VDI システム側で行い、クライアント側ではデスクトップ環境の画面転送が行われるのみです。このようなシステム構成をシンクライアント型とも呼びます。

VDIの仕組み

VDI導入のメリット

VDI 導入には以下のようなメリットがあります。

セキュリティ対策

VDI 環境では VDI システム上にアプリケーションやデータが集約され、端末にデータが残りません。さらにアプリケーション、 OS を一元的に管理するため、パッチ適用や OS のアップデートなどを一括して行うことで一貫性のあるセキュリティ対策が可能です。

セキュリティ対策

コスト削減

個々の端末から VDI へアクセスして利用するため、 BYOD による運用が可能です。 VDI 側で一元管理する事から個々の端末に対し制約が無く利用できるため、企業側からはハードウェアの導入コストを削減することができます。

またアプリケーション、 OS 、セキュリティソフトなどあらゆるメンテナンスを一元管理できることから管理者の運用コストも削減できます。

より快適なリモートワークの実現とBCPへの活用

スマートフォン、タブレットなどでも遠隔地から業務データにアクセスできるようになります。個々人のワークスタイルに対応した業務設計を実現しながら、また災害発生時の可用性も向上することから、BCPの観点からもメリットがあると言えるでしょう。

2.VDIの問題点

ここまで、 VDI の仕組みと、 VDI によるメリットを紹介してきましたが、本章では VDI が遅いと言われるような問題点やデメリットについて紹介します。

レスポンスが低下する

個々の端末の場合、パフォーマンスは個々の端末に依存していますが、 VDI 環境は VDI システムの仮想サーバー側に依存しています。その為、サーバーの利用やアクセスが集中した場合、パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。

これは導入時のサイジングが適切でなかった場合などに多く見られる事象ですが、週明けの始業時のように全体のネットワークトラフィックが上昇するタイミングや、特定の業務端末で利用しているアプリケーションに起因する動作負荷など想定外の事象が原因となることがあるため事前の予測が難しいと言えるでしょう。

原因の特定が困難

VDI のような仮想環境の場合、リソースの追加は柔軟に対応することができます。その反面パフォーマンス低下の原因がどこにあるのか、はっきりしないまま闇雲にリソースを追加してしまい、原因が解消しないまま運用コストが上昇してしまうケースがあります。

VDI は仮想基盤上のリソースを共有しているため、どこがボトルネックなのか、システム全体の問題なのか、個別の仮想マシン環境によるものなのか、利用状況や使い方に依存しているのか明確な指標が無いため原因特定が難しいと言えるでしょう。

アプリケーションが使えない

いままで個々の端末で利用していたアプリケーションも VDI 環境に移行することで基盤側の仮想サーバーの問題で動作しなくなるケースもあります。

近年ではサブスクリプションタイプの SaaS アプリケーションが主流になりつつあり、ブラウザ環境があればほぼ利用できる環境ではありますが、従来のようなインストール型のレガシーアプリケーションなど、仮想環境で動作しないものも多く存在します。VDI 導入前にアプリケーションの利用状況を把握しながら本当に移行しても問題ないのかなどを把握しておく必要があります。

周辺機器が使えない

ハードウェアに依存する周辺機器が利用できなくなるケースもあります。例えばプリンタ、マイク、スピーカーなど、 VDI 環境は仮想的なインターフェースが介在するため、相性によっては、周辺機器へのアクセスができなくなるなどのトラブルが発生することがあります。

3.VDIの改善ポイント

このような VDI の問題点に対し、対策案として推奨される方法を紹介します。

仮想サーバーをスペックアップする

VDI の問題点として原因の切り分けが難しい点は先述した通りですが、パフォーマンスの改善を図るためには、やはりサーバー側のスペックを強化しつつ、パフォーマンスに対するモニタリングを行いながら、継続的に行っていく方法が推奨されます。

スペックアップはパフォーマンスの改善に対しては単純かつ確実な手法ですが、オンプレ型クラウド型いずれの場合もコスト増加に直結するため、どれだけのスペックが必要なのかをしっかりと確認したうえで行う事が推奨されます。

クラウド型VDIを活用する

VDI には、オンプレミス型とクラウド型の 2 種類が存在します。現代ではクラウド型が主流とされており、拡張性、柔軟性の観点から見ても、多くの場合でクラウド型 VDI が推奨されます。

特に Microsoft では近年 Microsoft 365 サービスの普及によりあらゆる Office アプリケーションがサブスクリプションタイプで SaaS 型のものとして利用できるようになりました。また Microsoft 365 のライセンスタイプによっては VDI サービスのライセンスが既にバンドルされているものも存在しています。

このように大手ベンダーの VDI サービスであればこのように一気通貫でマルチレイヤに対応した業務環境を実現できる可能性があります。詳しくは Microsoft 公式サイトにてご確認ください。

GPU技術の活用

OS が進化することで、よりグラフィカルになるにつれて、メインプロセッサーが、高度なグラフィカルに処理が追い付かずパフォーマンスを阻害するケースもあります。

最近では グラフィックスにフォーカスし設計された演算装置である GPU に最適化された仮想マシンも汎用化されている為、仮想サーバー側や、個々のデバイスにおいても GPU マシン利用することでパフォーマンスが改善する可能性もあるでしょう。

4.まとめ

VDI の利用が増える中で、 VDI の基礎知識、パフォーマンス低下を引き起こす事例、その対応策について本記事で紹介しました。紹介した通り、事前の計画を確実に立てたうえで導入しなければ効果を得られない可能性があります。パフォーマンスの低下に起因する要素を把握し、導入計画を立案することを推奨します。

導入はクラウド環境のメリットから、小規模で段階的にスタートすることも可能ですが、自社だけでの導入が難しい場合、専門家へ相談されることをお勧めします。

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Tag: VDI

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