Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

VDIのサイジングとは?VDIの最適な運用に欠かせないサイジングについて解説します

Category: 実践編

2022.12.12

VDIのサイジングとは?VDIの最適な運用に欠かせないサイジングについて解説します

近年、遠隔地からのリモートワーク、自宅からのテレワークの普及、 BYOD ( Bring Your Own Device )というデバイスの多様化によるワークスタイルの普及により、デスクトップ仮想化( VDI )の需要が高まっています。

VDI とは、仮想化されたデスクトップ環境へアクセスしながら、あたかも自分のデバイス上で OS が動作しているように扱うことができます。しかし事前に調査を行い、適切に導入計画を立てたにもかかわらず、スペック不足で動作が遅い、また想定以上の運用費用がかかってしまったなど失敗事例もあるようです。

そこでスムーズな VDI の導入、移行、継続的な運用を行うために欠かせないのがサイジングです。では具体的に VDI のサイジングとは何を意味するものなのでしょうか。この記事では VDI のサイジングの基礎知識から、適切なサイジング手法について解説します。

1.VDIのサイジングとは

VDI とは、 Virtual Desktop Infrastructure の略で、デスクトップ仮想化と呼ばれるシステムです。 VDI システムの基盤に立てられた仮想サーバー(デスクトップ環境)を遠隔地からリモートアクセスし、あたかも自身のデスクトップ環境であるかのように利用する事ができるシステムです。

サイジングの対象となる主な項目

ユーザーは VDI システムの基盤に立てる仮想サーバー側のリソースを使うことになります。つまりサーバー側には VDI 環境の運用に必要なすべてのリソースが求められるということです。

そのリソースのサイズを調節することをサイジングと呼びます。適切なサイジングにはサーバー側にどのくらいのリソースが必要なのかを見極める必要があります。適切なリソースはユーザーの利用目的や状況によって異なりますが、概ね以下がサイジングのポイントとして挙げられることが多いと言えるでしょう。

  • アクセスするユーザー数
  • 利用するアプリケーション
  • CPU
  • メモリ
  • OS バージョン
  • 周辺機器
  • ストレージ
  • OS のライセンス
サイジングの対象となる主な項目

サイジングに必要な利用状況を把握するためのツールについて

適切なサイジングを行うためには、現状の物理コンピュータの利用状況を把握することが必須です。 OS の標準機能であるシステムモニターのようなツールでも利用状況の収集が可能ですが、それだけでは詳細の把握は困難と言えるでしょう。

正確にサイジングを行うためにはユーザーのコンピュータにインストールして使う調査ツールが向いています。アプリケーションの稼働状況や、リソース利用状況を正確に把握するために、パフォーマンス監視ツールの導入を推奨します。

代表的なパフォーマンス監視ツールは以下のものがあります。他にも多くの調査ツールが存在しますが、利用前には公式サイトにて詳細をご確認ください。

2.VDIサイジングの要点

ここまで、 VDI のサイジングについての基礎知識を解説してきました。ここからはそれぞれの項目についてサイジングの要点について解説します。

CPUのサイジング

VDI ではサーバーの CPU が論理的に分割されて、仮想 PC に割り当てられます。 1 コアを 6 ~ 8 台分の仮想 PC に割り当て、クロック数は 1 ユーザーあたり 500 MHz 程度であることが一般的なようです。また、近年ではグラフィカルにフォーカスした vGPU の割り当てなどの事例も増えています。

メモリのサイジング

用途や利用するアプリケーションに応じてですが 1 台の仮想 PC に対して 2 ~ 4 GB が一般的なようです。

ストレージのサイジング

VDI では I/O 性能が重視されます。読み書きの性能が高いほど円滑な動作が可能です。仮想PC1台あたり 20 ~ 30 IOPS が一般的なようです。

ビジネス計画に合わせたサイジング

オーバースペックなサイジングは無駄なコストにつながるため、目先の状況だけではサイジングの判断が難しいと言えます。 IT に対する設備投資、予算の状況を鑑みた上でビジネス上の事業計画をベースとしたサイジングが求められます。

VDI の運用設計において適切なサイジングをすることは、 IT 部門だけではなく、経営層や現場との連携が重要なポイントになるでしょう。

クラウド環境におけるサイジング

クラウド環境の VDI では事業者が提供するサービスとして VDI 環境を利用することができます。よって初期投資はオンプレミスと比べ、安価に抑えることができるでしょう。

またシステムの伸縮が自在に行えることから、トライアンドエラーの感覚で VDI をスモールスタートさせることも可能です。クラウド環境の VDI サービスのようにクラウドのメリットを活かせるサイジングはあらゆる面で優位性が高いと言えるでしょう。

サイジングは導入後も必要

VDI の安定稼働を実現するためにはトラブルを未然に防ぐ予知保全として、サイジングと同様にリソースやパフォーマンスの監視が必要です。

運用コストの最適化や、トラブルが発生した際にスムーズな原因究明と対応を行うためにも、サイジングの手法を用いて導入時点から状況を数値化し定常的な監視を行うようにしましょう。

3.Azureにおけるサイジングモデルの紹介

ここまで、サイジングの要点について解説しました。ここからは代表的な VDI サービスである Microsoft のクラウドサービス Azure が提供する Azure Virtual Desktop (以下 AVD )サービスのサイジングモデルについて紹介します。

AVDとは

AVD は、Microsoft が提供するクラウドサービス Azure 環境で実行される VDI サービスです。 AVD ではマルチセッションの Windows 11 または Windows 10 を利用することができます。またエンタープライズ向けの Microsoft 365 アプリをマルチユーザーで実行できます。

AVDのワークロードの種類

AVD では以下のようにワークロードの種類ごとに仮想マシンのスペックガイドラインを公開しています。

<セッション ホスト仮想マシンのサイズ設定のガイドライン>

ワークロードの種類 ユーザーの例 サンプル アプリ
淡色 基本的なデータ入力タスクを実行するユーザー データベース エントリ アプリケーション、コマンド ラインインターフェイス
Medium コンサルタントと市場調査員 Microsoft Word 、静的 Web ページ
ヘビー ソフトウェア エンジニア、コンテンツ作成者 Microsoft Outlook 、Microsoft PowerPoint 、動的 Web ページ、ソフトウェア開発
Power グラフィック デザイナー、 3D モデル メーカー、機械学習研究者 写真とビデオ編集、コンピュータ支援設計 ( CAD )、コンピュータ支援製造( CAM )

マルチセッションの推奨サイズ

AVD で、複数のユーザーが仮想マシンに一度にログオンすることをマルチセッションと呼びますが、 Microsoft の公式サイトにてマルチセッションにおける仮想マシンのサイズ設定の推奨スペックガイドラインがワークロード毎にカテゴライズされて公開されています。マルチセッションの場合、 vCPU は最低でも 8 コアが推奨されています。

また、該当する Azure インスタンスも紹介されているので参考にしてみて下さい。

<マルチセッションの推奨サイズ>

ワークロードの種類 vCPU あたりの最大ユーザー数 vCPU/RAM/OS ストレージの最小値
淡色 6 8 vCPUs、16 GB RAM、32 GB ストレージ
Medium 4 8 vCPUs、16 GB RAM、32 GB ストレージ
ヘビー 2 8 vCPUs、16 GB RAM、32 GB ストレージ
Power 1 6 vCPUs、56 GB RAM、340 GB ストレージ

4.まとめ

本記事では VDI のサイジングについての基礎知識、またサイジングのポイントと、代表的な VDI サービスとして Azure Virtual Desktop におけるサイジングのワークロードを紹介しました。パフォーマンスのボトルネックが問題として顕在化した場合、自社のビジネスに影響を与えかねません。 VDI の状態を継続的に監視し、適切なサイジング実施することを推奨します。また自社だけでの導入が難しい場合、専門家へ相談されることもお勧めします。

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Tag: VDI

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