目次
VDIの種類、市場の状況を踏まえ、選定ポイントや代表的なサービスについて解説します
近年、遠隔地からのリモートワーク、自宅からのテレワークの普及、 BYOD ( Bring Your Own Device )というデバイスの多様化によるワークスタイルの普及により、デスクトップ仮想化( VDI )の需要が高まっています。
VDI とは、仮想化されたデスクトップ環境へアクセスしながら、あたかも自分のデバイス上で OS が動作しているように扱うことができます。VDI を導入することで、自分のデバイス上にデータを保存する必要がなくなるため、情報漏洩リスク軽減し、新しいワークスタイルの確立、生産性向上、 BCP 対策の一環として利用できることから注目を集めており、市場では様々な VDI サービスが提供されています。
本記事では VDI の種類、 VDI サービスの市場状況、 VDI サービスの比較ポイントについて解説します。
1.VDIとは?
VDI とは、 Virtual Desktop Infrastructure の略で、デスクトップ仮想化と呼ばれるシステムです。 VDI システム基盤に立てられた仮想サーバーを遠隔地からリモートアクセスし、あたかも自身のデスクトップ環境であるかのように利用する事ができます。
VDIの形態について
VDI の形態にはオンプレミス型、クラウド型の2種類が存在します。
オンプレミス型
多くのオンプレミス方は、自社で物理サーバーを調達し、 VDI 環境を構築し、管理、運用までを自社で完結するタイプの提供形態です。自社の所有となるため、自社の用途に合わせた柔軟な設定が可能です。
クラウド型
クラウド環境に構築された仮想サーバーで提供されている VDI を契約して利用する形態です。 VDI 設備はサービス事業者側のものとなり、基盤部分のメンテナンスの大半を事業者側で行われます。また仮想サーバーのメリットとしてスケールアップ、スケールダウンを容易に行うことができます。
このようなクラウド型の VDI サービスは DaaS (ダース)とも呼ばれています。 DaaS とは、「 Desktop as a Service 」の頭文字を取った略語です。
VDIの提供方式について
VDI にはサーバーの種別や、仮想サーバーにどこまでの機能を持たせるかによってアクセス方法やライセンスなども変わってきます。 VDI の提供形態として、主な 4 つの方式を紹介します。
VDI方式
仮想基盤であるハイパーバイザー上に複数のクライアント OS を共存させ、ローカル端末から遠隔操作する方式です。1 デバイスに対し 1 仮想 OS が基本で、接続するローカル端末に対応した仮想 OS が割り当てられます。
SBC方式
SBC 方式( Server Based Computing )方式は、サーバーにインストールされた OS やアプリケーションを複数ユーザーが共有する方式です。VDI 方式との違いは、 OS やアプリケーションに複数のユーザーがアクセスするという点です。

HDI方式
HDI( Hosted Desktop Infrastructure )方式は、サーバーとクライアント PC を 1 対 1 で操作するタイプの方式です。一つの物理サーバーを一つのローカル端末で操作するため、個人が使用できるリソースが大きい方式です。

DaaS方式
DaaS 方式は、インターネット上で利用することのできる外部のサービス事業者が提供する VDI サービスを利用する方式です。

2.VDIサービスの市場状況
本章では VDI サービスの市場状況について紹介します。
VDI サービス普及の背景
米国の調査会社のレポートによれば VDI サービスの市場規模は、 2022 年の 123 億米ドルから 2027 年には 201 億米ドルに達すると予想されています。
新型コロナウィルスによるリモートワークへの急激なシフトが VDI が普及のきっかけとなりました。その後も VDI サービス市場の成熟に伴い、市場は進化を続け、コストが安く、安定性の高い特徴をもつ仮想化の発展が求められる状況になっています。
VDI サービスの今後の普及要素
VDI は、セキュリティの関心の高まりなど、 VDI により得られるメリットも VDI サービス市場の拡大を後押ししています。情報セキュリティのインシデントが年々増加し、企業にとって情報セキュリティ対策は最重要課題の1つとなっていることから市場の成長はさらにエスカレートすることが見込まれます。

3.VDIサービスの比較ポイント
ここまで、 VDI サービスの市況状況について解説しました。本章では VDI サービスの比較ポイントから代表的な VDI サービスを紹介します。
導入形態としてクラウド型かオンプレミス型か
クラウド型、オンプレ型の双方にそれぞれのメリット、デメリットがあります。初期コストを抑え、小さい規模からスモールスタートする場合、クラウド型が最適です。また利用者の増減、幅広いデバイスで利用できるなど、運用しやすい点はメリットでしょう。
一方、オンプレミス型は、自社で構築から管理運用を行うため、自社に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。また全てが自社管理であることからデータの置き場も自社で管理できます。その点、事業者任せであるクラウドと比較するとセキュリティ面の強化が可能です。
セキュリティ対策
VDI では、デスクトップ環境やデータの保存先はクラウド上や仮想基盤上のサーバーになるため、ユーザー端末にデータが残りません。そのため情報漏えいのリスクを回避することができます。
クラウド型の場合は、セキュリティ対策を他のクラウドサービスと連携することができます。アクセス権の厳格な管理、認証機能の提供など、どこまでセキュリティ対策の連携ができるかは比較検討のポイントになるでしょう。
運用コストのバランス
クラウド型は、従量課金で提供されます。オンプレミス型は、環境構築に初期投資やメンテナンスに自社の運用稼働コスト費用がかかります。
また VDI 導入により、ハードウェアやライセンコストなども削減が期待できます。 VDI の性能とコストのバランスのみならず全体的なコストも精査する必要があるでしょう。
4.代表的なVDIサービスの紹介
ここでは、代表的な VDI サービスを 4 つ紹介します。
Azure Virtual Desktop
提供:マイクロソフト
形態:クラウド( Azure )
- 特徴:
- Windows 10 のマルチセッション接続機能を利用できます。
- ライセンスの形態によっては既存の Windows 10 ライセンスをそのまま利用できます。
- VDI へのアクセスには、 Azure Active Directory を利用できるため、強力な認証機能を Azure サービスとして利用できます。
- 参考記事:
- Azure Virtual Desktop
Citrix Virtual Apps and Desktops
提供:Citrix
形態:クラウド、オンプレ
- 特徴:
- 独自開発のプロトコルによる画面転送技術により、低帯域のネットワーク環境でもスムーズに利用可能です。
- オンプレミス、クラウドのワークロードをハイブリッドにまとめて管理できます。
- Android 、 iPhone 、 iPad といった、多くのモバイル端末にも対応しています。
VMware Horizon
提供:VM ware
形態:クラウド、オンプレ
- 特徴:
- 仮想マシンをサーバーのリソース状況を見ながら、再配置、最適化しサーバーへの負荷を分散します。
- 1台の仮想 PC を1人の利用者で利用する仮想 PC 方式と、1台のサーバを複数人の利用者で共有して利用する SBC 方式の2種類を選択できます。
- クラウド版では Azure や AWS 上でも利用することができます。
- 参考記事:
- VMware Horizon
Amazon WorkSpaces
提供:アマゾンジャパン
形態:クラウド( AWS )
- 特徴:
- さまざまなデバイスやWebブラウザに対応しています。
- AWS の他サービスと連携することができ、様々なセキュリティ機能を実装することができます。
- Amazon Workspaces では各種リソースや構成を組み合わせることで柔軟な環境をカスタマイズできるバンドル機能が豊富に用意されています。
- 参考記事:
- Amazon WorkSpaces
5.まとめ
VDI の種類、市場の状況、選定ポイント、代表的なサービスついて紹介してきました。紹介した VDI サービスはほんの一部であり、特徴についても抜粋した内容です。利用にあたっては実際の公式サイトで確認することをお勧めします。
多くの VDI サービスから自社にあったサービスを導入するために、自社にとって優先される比較、検討項目を洗い出すことが重要です。自社だけでの導入が難しい場合、専門家へ相談されることもお勧めします。
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Tag: VDI
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