目次
Azure Fluid Relayについての概要、アーキテクチャ、メリット、料金について
近年、多くの企業が DX 化を推進し、リモートワークが普及したことで、効率性と生産性の向上を目的としたリアルタイムのデータ共有が注目されています。
このような背景から、リアルタイムでのデータ共有に特化し、高速でセキュアなサービスとして Azure Fluid Relay が注目を集めています。Azure Fluid Relay は、様々なプラットフォームやデバイスからのデータ共有に対応しているため、より柔軟なコラボレーションを実現しチーム内での作業やプロジェクト管理をより効率的に行うことができます。
本記事では Azure Fluid Relay についての概要、アーキテクチャ、メリット、料金について解説します。
1. Azure Fluid Relayとは?
概要
Azure Fluid Relay は、 Azure サービスの一つで、異なる場所にある複数のアプリケーションやデバイス間で、リアルタイムにデータをやりとりすることができるプラットフォームです。
Azure Fluid Relay を利用することで、異なるアプリケーションやデバイスを統合し、一つのリアルタイムの共有セッションに接続することができます。例えば、リモートワークやオンラインの協業プロジェクトで、異なる場所にいる複数の人が、同じ文書やアプリケーションを同時に編集したり、操作したりすることができるようになります。
Azure Fluid Relay は、優れたパフォーマンスでコラボレーションを実現するように設計されています。サーバーロジックを可能な限りシンプルかつ軽量に保つことで、瞬時にデータを同期することが可能です。
Azure Fluid Relay は、 Azure のサービスの一つであることから、 Azure の他のサービスと統合することができ、高い拡張性と信頼性を提供します。また、 Azure Fluid Relay は、セキュリティの観点からも保護されており、データのプライバシーやセキュリティに関する規制に準拠しています。
- 参考記事:
- Azure Fluid Relay の概要
Microsoft Loopとは
Microsoft が開発しているコラボレーションプラットフォームに Microsoft Loop というサービスが存在します。 Azure Fluid Relay との違いを解説する前に、 Microsoft Loop の機能について解説します。
Microsoft Loopの機能
Microsoft Loop は、 Microsoft Teams 上で動作するアプリケーションで、ホワイトボードやスケッチ、メモ、タスク管理などの機能を備えています。 Microsoft Loop を使用すると、複数の人々がオンラインで、リアルタイムで共同作業ができます。また、タスク管理機能を使うことで、チームメンバーのアサインや進捗状況を確認することができます。
このように Microsoft Loop は、 Teams の既存の機能と統合して使用することができます。また、 Loop はオープンソースであり、 API や SDK を提供しているため、開発者が独自のカスタムアプリケーションを開発することができます。
- 参考記事:
- Microsoft Loopの概要
Microsoft loopとAzure Fluid Relayの違い
Microsoft Loop と Azure Fluid Relay は、両方ともMicrosoft が提供するコラボレーションプラットフォームですが、それぞれ異なる目的や機能を持っています。
前述した通り、 Microsoft Loop は、 Teams 上で動作するアプリケーションで、チームメンバーがリアルタイムで協力して作業を進めるための機能を提供しています。それに対し Azure Fluid Relay は、異なる場所にある複数のアプリケーションやデバイス間で、リアルタイムでデータをやりとりするためのプラットフォームです。 Azure サービスの一部であり、異なるアプリケーションやデバイスを統合して、一つのリアルタイムの共有セッションに接続することができます。
このように Microsoft Loop はチーム内でのコラボレーションを支援するツールであり、 Azure Fluid Relay は、複数のアプリケーションやデバイス間でのリアルタイムの共有を可能にするプラットフォームです。このようにそれぞれのツールは、異なる目的と機能を持っています。

図版出典:TECH+『Microsoft、コラボレーション型アプリ開発に「Azure Fluid Relay」をGA』
2. Azure Fluid Relayの構成要素
ここからはリアルタイムでデータを共有する、高速でセキュアなサービスを提供する Azure Fluid Relay のアーキテクチャを解説します。これらの構成要素を組み合わせることでサービスを実現します。
Fluid Service
Azure Fluid Relay のホストサービスであり、各 Fluid クライアントが接続されます。操作の送受信に使用する集中型サービスで、クラウド上で実行されます。このサービスは、リアルタイムでデータを共有するための高速かつスケーラブルなネットワークインフラストラクチャを提供します。
Fluid Loader
Fluid Service に接続して Fluid Container のオブジェクトを読み込みます。 Fluid loader は、コンテナーリゾルバーを使用してコンテナの URL を解決したり、Fluid Service ドライバーを使用して Fluid Service に接続したり、コードローダーを使用して正しいアプリコードを読み込むなどの機能を提供します。
Fluid Container
Fluid Container は、 Azure Fluid Relay の機能を利用して、複数のアプリケーション間でデータを共有するためのコンテナです。 Fluid Container には、 Fluid コンポーネントと呼ばれる協調的な Web アプリケーションが含まれます。
Fluid Object
Fluid Object は共有オブジェクトとして、特定の API を公開することによってコラボレーションデータを強化するオブジェクトとして機能します。多くの共有オブジェクトはコンテナ内に存在し、静的または動的に作成されます。分散データ構造 ( DDS )とData Object は、どちらも共有オブジェクトのタイプです。

3.Azure Fluid Relayのメリット
ここからは Azure Fluid Relay のメリットについて解説します。
ファイルやデータの共有が容易になる
Azure Fluid Relay を使用すると、複数の場所やデバイスから簡単にファイルやデータを共有することができ、グローバルなチームでの協働作業が容易になります。
データアクセスの高速化
Azure Fluid Relay は、 Azure Fluid Cache と組み合わせて使用されることが多く、高速なデータアクセスを実現します。同時にデータがキャッシュされ、ネットワーク帯域幅を節約することも可能です。
拡張性の向上
Azure Fluid Relay は、大規模なシステムにも対応しており、必要に応じてスケーリングすることができるようになります。
セキュリティの向上
Azure Fluid Relay は、Azure のセキュリティ機能を活用して、データの保護を確保します。また、データの暗号化も可能であり、環境全体的なセキュリティが向上させることができます。
クラウドネイティブ
Azure Fluid Relay は、 Azure 上で動作するクラウドネイティブなサービスであることから、 Azure が持つスケーラビリティや可用性、セキュリティなどのメリットを享受することができます。
これらのメリットにより、 Azure Fluid Relay は、グローバルなチームでの協働作業や、大量のデータの共有、高速なデータアクセスが必要なシステムに適したサービスであると言えるでしょう。
4.Azure Fluid Relayの利用料金について
Azure Fluid Relay が提供する機能は、高度なデータ共有やリアルタイムコラボレーションなど、非常に価値の高い機能であり、利用料金は使用したリソースの量や利用した時間に応じた従量制課金です。Azure Fluid Relay は以下の通り、 Standard サービスと Basic サービスで構成されています。
Standardサービスプラン
複数リージョンで利用が可能です。リージョン間における高い可用性、エンドユーザーの操作性を高めるセッションルーティング、SLA 保証が提供されています。
Basicサービスプラン
単一リージョンのサービスです。リージョン間の回復力やルーティングはなく、 SLA 保証もありません。
それぞれの詳細は公式サイトでの確認をお勧めします。
- 参考記事:
- Azure Fluid Relay の価格
5.まとめ
本記事では Azure Fluid Relay について解説しました。多くの開発者や企業にとって有用なサービスです。今後さらに機能拡張やサービスの強化が行われることが予想されます。
また、 Azure Fluid Relay は、 Azure のエコシステムに統合されており、 Azure App Service や Azure Functions 、 Azure Logic Apps などと組み合わせることで、より高度なシステム構築が可能になります。そのため、 Azure Fluid Relay は、 Azure のサービス群との連携において、ますます重要な役割を果たすことが期待されています。
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Tag: Azure Fluid Relay
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