Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azureのリージョンとは?可用性を高める構成例を解説

Category: 入門編

2025.07.21

Azureリージョンの選定ポイントも紹介

Microsoft Azure (以下、 Azure )は、世界中に分散したリージョンを通じてサービスを提供しています。このリージョン選定は、システムの可用性やコストなどに大きな影響を及ぼす重要な設計要素です。

本記事では、 Azure リージョンの基本的な仕組みから、選定時に考慮すべきポイント、代表的な構成パターン、設計時の注意点まで体系的に解説します。

1. Azure リージョンとは

Azure リージョンとは、物理的に独立したデータセンター群の集合体です。各リージョンは、地理的に特定の場所に存在し、 Microsoft が提供する各種クラウドサービスを支える基盤となっています。ユーザーは適切にリージョンを指定してリソースを作成・運用することにより、低遅延で安定したシステム環境を実現できます。

可用性ゾーンとの違い

リージョンと可用性ゾーンは別物です。可用性ゾーンとは、同一リージョン内にある物理的に独立した複数のデータセンター群で構成される冗長化の単位のことを指します。ゾーン間は数キロメートル単位で分散されており、複数のゾーンにまたがる冗長構成を取ることで、単一ゾーン構成よりも可用性を高められます。

Microsoftのグローバルネットワーク構成

Azure は、 Microsoft 独自のグローバルバックボーンネットワークにより、すべてのリージョンが高速かつセキュアに接続されています。このネットワークにより、ユーザー拠点と Azure 間、またはリージョン間で高速な通信が可能になっています。

世界のAzureリージョンの分布

世界のAzureリージョンの分布

Azure は、現在 60 以上のリージョンを展開しており、世界最多クラスのリージョン数を誇ります。最新のリージョンマップは、 Microsoft 公式サイトから確認できます。

日本リージョンの特徴

日本国内には「東日本リージョン」と「西日本リージョン」が存在します。両リージョンは地理的に十分な距離をとって設計されており、災害リスク分散に配慮されています。また、日本市場向けに法規制対応やサポート体制も強化されている点が特徴です。

2. Azure リージョンの選定ポイント

Azure リージョンを選定する際は、以下のポイントを考慮しましょう。

低レイテンシ

ユーザー拠点とリージョンの物理的距離が近いほど、通信遅延(レイテンシ)は低減します。ユーザーエクスペリエンスの向上や業務効率化のため、最も近いリージョンを選択することが基本です。

コンプライアンス・法規制

国や地域によっては、データの保存場所に関する法律や規制が存在します。 Azure はリージョン単位でデータ所在地を管理できるため、自社が対象となる規制に適合するリージョンを選択する必要があります。

サービス提供状況

すべてのサービスが全リージョンで利用できるわけではありません。特に新しい機能や特定サービスは、特定リージョンのみで先行提供されるケースがあります。必要なサービスが対象リージョンで利用可能か、事前の確認が必要です。

コスト

Azure ではリージョンごとに料金体系が異なる場合があります。リソース単価やデータ転送コストに差が生じるため、コストも選定基準の一つです。

BCP・DR構成

災害時や障害発生時にもサービスを継続するため、リージョン間で冗長化(ディザスタリカバリー設計)を行うことが推奨されます。 Microsoft は各リージョンに対応する「リージョンペア」を推奨しています。リージョンペアとは、地理的に一定の距離を保ちながらも同じ地域内にある 2 つのリージョンを組み合わせ、データレプリケーションやフェールオーバーを効率的に行う仕組みです。

3. Azure リージョンのよくある構成パターンと用途

Azure リージョンの代表的な構成パターンと、それぞれに適した用途について解説します。

単一リージョン構成

一つのリージョン内の一つの可用性ゾーン内にすべてのリソースを配置して運用するシンプルな構成です。コストを抑えつつ Azure 導入を進めたい場合に適していますが、ゾーン障害が発生した際のリスクも考慮する必要があります。

単一リージョン+可用性ゾーン

単一リージョン内で複数のゾーンをまたがってリソースを配置し、可用性を高める構成です。ゾーン障害を想定したシステム設計が可能であり、 99.99 % 以上の高可用性を実現できます。

Active-Passiveリージョン構成

本番環境を稼働させる「アクティブリージョン」と、障害発生時に切り替える「パッシブリージョン」を設ける構成です。通常時はアクティブ側のみで稼働し、パッシブ側は待機状態を維持します。災害時にはフェールオーバーによって迅速にパッシブ側へ切り替えることができるため、 BCP 対策として広く採用されています。

Active-Activeリージョン構成

複数リージョンを同時稼働させることで、常に負荷分散と冗長性を確保する構成です。各リージョンが同等の役割を持ち、トラフィックを分散することで性能と可用性を両立できます。グローバルサービスや重要な業務システムに適していますが、両リージョンで常時稼働するため運用管理が複雑になり、コストが高くなる傾向があります。

地域分離型マルチリージョン構成

国や地域ごとに完全に独立したシステムを構築する構成です。各リージョンがそれぞれ独自にデータとリソースを管理し、法規制対応やローカル市場の特性に応じた柔軟な運用が可能です。たとえば、欧州向けと日本向けに別々のシステムを展開するケースなどが該当します。

4. Azure リージョン選定時の注意点

Azure リージョンを選定する際は、以下を考慮しましょう。

Azure Resource Managerの制約

Azure Resource Manager( ARM )によるリソース管理には、リージョン間での構成や連携に制限がある場合があります。たとえば、仮想ネットワークはリージョンをまたいで直接共有できず、追加設定が必要です。設計段階でリージョンをまたぐリソース構成の可否や必要な設定に留意しましょう。

サブスクリプション単位の制御範囲

Azure ではサブスクリプション単位でリソース管理を行います。サブスクリプションごとにポリシー適用や課金管理を行うため、リージョンをまたぐ運用時には、管理権限やガバナンスを踏まえた適切なサブスクリプション設計も必要です。

5. まとめ

Azure リージョンとは、物理的に独立したデータセンター群であり、システム設計においてリージョン選定は重要なポイントです。リージョン選定時は、複数の観点をバランスよく考慮する必要があります。

リージョン選定に迷う場合は、専門家のサポートを受けることもおすすめです。 Rworks では Azure 導入支援サービスを提供しています。ぜひご相談ください。

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