Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Virtual Desktop で Azure VM Image Builder を活用

Category: 入門編

2024.06.20

マスターイメージの作成・更新作業を効率化しよう

Azure Virtual Desktop は、 Microsoft が提供する仮想デスクトップサービスです。 Azure Virtual Desktop 環境を構築するには、マスターイメージとなる仮想マシンを作成する必要があります。この作業を効率化するのが、 Azure VM Image Builder です。

本記事では Azure VM Image Builder の概要やメリット、 Azure Virtual Desktop のイメージを作成する方法について詳しく解説します。

1. Azure VM Image Builder とは

Azure VM Image Builder とは、 Windows および Linux 仮想マシンのイメージ作成やカスタマイズを自動化し、管理を効率化するサービスです。

特定の設定やソフトウェア、セキュリティ要件を含む仮想マシンイメージを標準化し、 Microsoft Azure および Azure Stack HCI へデプロイできるため、一貫性を確保できます。ユーザーは仮想マシンイメージの構成やカスタマイズ内容を記述したファイルを Azure VM Image Builder へ送信することで構築作業を自動化することが可能です。

また、 OS などのアップデートやセキュリティパッチの適用なども自動化できます。 Azure portal 、 Azure CLI 、 PowerShell 、 Azure DevOps を通じて操作可能です。

Azure VM Image Builder の利用料金は基本的に無料で、サブスクリプションに展開した仮想マシンや関連ストレージ、イメージを実行する際に使用するネットワークリソースに対してのみ料金が発生します。また、現在東日本リージョンでは Azure VM Image Builder を利用できますが、西日本リージョンでは利用できないので注意しましょう。

Azure Virtual Desktop でも利用可能

Azure 上で提供される仮想デスクトップサービス Azure Virtual Desktop では、必要なアプリケーションのインストールや各種設定を行ったマスターイメージを作成し、これをもとにセッションホストを展開します。

Azure VM Image Builder はこのマスターイメージの作成にも利用できます。作業を自動化することで手間や時間を削減し、 Azure Virtual Desktop 環境の構築を効率化することが可能です。

2. Azure VM Image Builder のメリット

Azure VM Image Builder を使用して Azure Virtual Desktop のマスターイメージを作成するメリットについて解説します。

作業の効率化

先にも紹介したとおり、手動でマスターイメージを作成する場合と比較して、作業を自動化できるため手間や時間を削減できることが大きなメリットです。

組織特有の設定やセキュリティ要件を満たすマスターイメージを手動で作成するには、複雑なプロセスやツールが必要になる場合もあります。しかし Azure VM Image Builder を利用すれば、スクリプトを利用して容易にカスタマイズすることが可能です。

また複数のイメージを頻繁に更新する必要がある環境でも、作業を自動化することでヒューマンエラーを削減する効果があります。

セキュリティの強化

自動的にソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用を行うカスタマイズを組み込むことができるため、常に最新の状態を保ち、セキュリティリスクを低減できます。

また Azure のセキュリティベースラインを満たすイメージのテンプレートも提供されており、簡単に設定できることもメリットです。

管理の簡素化

Azure VM Image Builder は IaC ( Infrastructure as Code )の原則に基づいています。 IaC とは、インフラの構築をコードを用いて自動的に行うことです。これによりインフラの設定のために必要なカスタマイズデータを保存するストレージアカウントや、イメージのビルドのために必要な一時的な VM などの管理が不要になります。

また、イメージの構成をコードとして管理できるため、変更管理やバージョン管理がしやすくなることもメリットです。

3. Azure Virtual Desktop のイメージを作成する方法

Azure VM Image Builder を使用して Azure Virtual Desktop マスターイメージを作成する手順を解説します。複数の方法がありますが、今回は Azure Portal から GUI で行う作業を想定します。

1. Azure Compute Gallery を作成する
Azure Compute Gallery とは、イメージのバージョン管理と共有を行うためのプラットフォームです。

2. イメージテンプレートを作成する
イメージテンプレートには、 OS の種類や基本的な設定が含まれます。

3. カスタマイズを行う
イメージテンプレート作成画面の「カスタマイズ」タブで、スクリプトを入力するとカスタマイズができます。たとえば、特定のアプリケーションをインストールするようカスタマイズしたい場合は次のように入力します。

<参考図版①特定のアプリケーションをインストールするスクリプト>
特定のアプリケーションをインストールするスクリプト

4. イメージテンプレートをビルドする
カスタマイズが適用されたテンプレートからイメージをビルドします。

5. 仮想マシンのデプロイ・テスト
ビルドされたイメージから仮想マシンを作成します。実際に起動させてアクセスし、カスタマイズや設定が正しく適用されているかを確認しましょう。

手順 4 のイメージテンプレートのビルドは、カスタマイズの内容によって時間がかかる場合があります。ただし、一度ビルドが完了すればイメージをもとにして迅速に仮想マシンを作成することが可能です。同じ構成の仮想マシンを大量に作成する場合に適しているため、 Azure Virtual Desktop とは非常に相性がよいといえます。

4. まとめ

Azure VM Image Builder は、 Azure 上で仮想マシンのイメージの作成・更新などを自動化できるサービスです。作業を効率化したり、セキュリティを強化したりとさまざまなメリットがあります。

また同じ構成の仮想マシンを多く展開する Azure Virtual Desktop 環境ととても相性がよいです。 Azure Virtual Desktop を利用している、もしくは今後利用する予定がある場合は、Azure VM Image Builder の活用も検討してみてください。

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Tag: Azure Virtual Desktop Azure VM Image Builder

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