Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞Azure Virtual Desktop上のRemoteAppとは？効果的にアプリケーションを活用する方法を解説

RemoteAppを導入することで、アプリケーションを柔軟に活用することが求められている

業務を行う中で、ローカルの端末に数多くのアプリケーションをインストールし、端末の容量がいっぱいになり、アプリケーションが使いづらくなった経験がある方もいると思われます。 RemoteApp を活用すれば、このようなローカルでアプリケーションを使用する場合に起きる問題が解決します。

本記事では、 RemoteApp の概要について解説します。また、 RemoteApp の設定方法、 Azure Virtual Desktop 環境（以下、 AVD ）で RemoteApp を使用する例を解説しますので、具体的に RemoteApp を設定し使用する際の参考になります。

さらに、 RemoteApp を使用する際のベストプラクティスについて解説しますので、最も効果的に RemoteApp を活用する際の参考にできます。

1. RemoteAppとは

ここでは、 RemoteApp の基本的な内容について解説します。まずはこの内容を十分理解して、本記事を読み進めてください。

RemoteAppの概要

RemoteApp(リモートアプリケーション)とは、サーバー上のアプリケーションをクライアントの端末で実行できる仕組みです。実際のアプリケーションはリモートサーバー上で動作し、ユーザーのデバイスにはアプリケーションの画面だけが表示されます。

そのため、 RemoteApp でアプリケーションを実行する際は、リモートデスクトップ接続のように、サーバー側の画面を開いて操作する必要がなくなります。

AVDの場合、RemoteAppが実際に動作する環境はセッションホストです。このため、RemoteAppの説明における「サーバー」とは、AVD環境ではセッションホストを指しています。

Azure Virtual Desktop環境でRemoteAppを利用するメリット

AVD環境で RemoteApp を活用することで、アプリケーションはサーバー上で一元管理され、 IT管理者はアプリケーションのアップデートやセキュリティパッチの適用を迅速に行うことが可能です。アプリケーションの管理が楽になり、管理を行う人的コストが削減できます。さらに、物理的なハードウェアを用意する物的コストも削減できるメリットがあります。

また、クライアントの環境はロースペックでも、高性能なアプリケーションをスムーズに使用できます。高スペックなコンピューターの用意や、ローカルにアプリケーションを導入するためのコストを削減できるメリットがあります。

2. RemoteAppの設定方法

ここでは、 RemoteApp の設定方法を解説します。ここで解説する手順を参考に、実際に設定してみることをおすすめします。

設定する際の前提条件

RemoteAppを導入するには、事前にライセンスの取得が必要です。加えて、 AVD 上にアプリケーションをインストールしておく必要があります。このようにすることで、ユーザーが RemoteApp を通してアプリケーションを活用する前提条件が整います。

RemoteAppをAzure Virtual Desktop上で設定する手順

ここでは、 Azure Portal 上で設定を行う場合について解説します。まず、 Azure Virtual Desktop 上で RemoteApp を開始します。そして、 RemoteApp として使用するアプリケーションを選びカスタマイズします。次に、 RemoteApp としてアプリケーションを利用できるユーザーのアクセス権の設定を行います。

クライアント側では、 Remote Desktop Client を用いて Azure Virtual Desktop に接続する設定を行います。ここまでの設定が完了したら、想定通りに Azure Virtual Desktop 上で RemoteApp を活用できるかクライアントから Azure Virtual Desktop に接続して動作確認します。

※参考：https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/publish-applications-stream-remoteapp?tabs=portal

3. Azure Virtual Desktop環境でRemoteAppを使用する例

ここでは、 RemoteApp の使用例を解説します。例を知ることで、具体的に RemoteApp を使用するイメージをつかんでください。

リモートワーカー用のアプリケーション

現代社会ではリモートで仕事をする方も多く、リモートワーカー用のアプリケーションは広く活用されています。リモートワーカー用のアプリケーションとして具体的には、 Excel や Word などの Microsoft Office 、 Zoom や Google Meet などのビデオ会議用のアプリケーション、 Microsoft SharePoint や Dropbox などのファイル管理用のアプリケーションなど多くの例が挙げられます。

以下は Excel や Word などのアプリケーションが、 Azure Virtual Desktop 環境で RemoteApp として使用できる状態の参考例です。

クラウドベースのアプリケーション

代表的なクラウドベースのアプリケーションとして Microsoft Office365 が挙げられるが、基本的な機能はクラウドベースのアプリケーションではない Microsoft Office と大きく違いません。しかし、クラウドベースのアプリケーションを活用する場合、従量制の料金体系によりコスト削減を図ったり、常に最新のバージョンのアプリケーションを使用できたり、クラウド上で行った操作が同期されるなど、クラウドならではの恩恵を受けることができます。

このため、 Azure Virtual Desktop 環境で RemoteApp を使用する際には、どのような形でメリットを出したいのか検討した上で、最もニーズに合ったアプリケーションの使用の仕方をすると良いです。

教育分野での使用例

RemoteAppは教育分野でも、とても役立ちます。学生や教員は、 CAD ツールや統計解析ソフトウェアなどの専門アプリに AVD を通じてアクセスでき、物理的なコンピュータラボの必要性が減ります。これにより、学生は自宅やどこからでも必要なアプリケーションを使って学ぶことができます。

クリエイティブ産業での使用例

RemoteAppを利用することで、高価なハードウェアを買わずに、 Adobe Premiere Pro やPhotoshop などのリソース要求が高いアプリケーションにアクセスできます。これにより、クリエイティブプロフェッショナルは、リモートでのコラボレーションを容易にし、プロジェクトの柔軟性を向上させることができます。

4. RemoteApp を使用する際のベストプラクティス

ここでは、　RemoteApp　のベストプラクティスについて解説します。ここでの内容を参考に、 RemoteApp を最大限活用することをおすすめします。

パフォーマンスの最大化

アプリケーション内で必要な機能だけを有効にする、使用状況に基づいてリソースを動的にスケーリングするなど、需要に応じて処理能力を確保します。このような使い方をすることで、リソースが最適化され、安定した稼働かつパフォーマンスを最大化できます。

アクセス管理などのセキュリティ対策

RemoteAppへのアクセスに多要素認証を導入することで、不正アクセスのリスクを減少させることに留意すべきです。また、デバイスのセキュリティを確保するために、常に最新のアンチウイルスソフトウェアやマルウェア保護を保ち、悪意のある攻撃からデバイスを保護します。さらに、転送中および保存中のデータの暗号化を行い、データの安全性を保つように留意するべきです。

ユーザーエクスペリエンスの向上

RemoteAppではカスタマイズ可能なユーザーインターフェースを提供しています。各ユーザーはニーズや好みに合わせてインターフェースを調整できます。これにより、使いやすさが向上し、生産性が高まります。また、アクセシビリティ機能も強化されており、視覚的なカスタマイゼーションや音声認識機能の導入により、すべてのユーザーがアプリケーションを問題なく使用できるようになります。

5. まとめ

Azure Virtual Desktop上で RemoteApp を活用することで、ローカルにアプリケーションのインストールが不要になり、セキュリティ性が高まるなど期待できる効果は高いと考えられます。加えて、 RemoteApp の導入によりコスト削減に貢献する可能性もあります。

ぜひこの記事を参考にして、 業務に RemoteApp を導入することで、アプリケーションを柔軟に活用してください。

Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

• 

  Microsoft Teams on AVDとは？導入するメリットとデータベースとの違い、設定手順、利用する際の注意点やベストプラクティスを解説

• 

  Azure Virtual Desktop で Azure VM Image Builder を活用