Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

オブジェクトストレージ・ファイルストレージ・ブロックストレージの違いとAzureのストレージサービス

Category: 入門編

2020.10.30

はじめに

Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)などの各クラウドサービスにおけるストレージは、現在多くのサービスが公開されています。各ストレージサービスは、「ファイルやデータを保存する」という点においては共通しますが、用途や目的は大きく異なっています。

本記事では、ストレージサービスの中で代表的な、『オブジェクトストレージ』『ファイルストレージ』『ブロックストレージ』の概要と、それらのユースケースの違いについて解説していきます。

1. クラウドストレージのアーキテクチャ

クラウドストレージには大きく3つのアーキテクチャがあります。ブロックストレージ・ファイルストレージ・オブジェクトストレージです。ここでは、それぞれを比較しながら解説していきます。

1.1 オブジェクトストレージ

オブジェクトストレージは、オブジェクト単位でデータをまとめて扱うストレージです。アップロードされたファイルにユニークなIDを付与し、それを元にファイルの変更やダウンロードなどを行ないます。ファイルストレージとよく似ていますが、格納している1つ1つのデータに対して一意なURLの発行が可能です。

オブジェクトストレージの主な特徴は以下の通りです。

  • HTTP/HTTPSによる管理
    オブジェクトストレージではHTTP/HTTPSを使用します。
  • 拡張性が高い
    ファイルパスを気にする必要がないためサーバを並列化しやすく、既存のファイルストレージなどと比べて簡単にスケールアウトできます。
  • 可用性が高い
    分散できるため、SPOF(単一障害点)がなくなります。
  • データの移動が簡単
    階層構造ではないため、ファイルの移動が簡単です。

一方で、ブロックストレージと比べてHTTP/HTTPSで通信するオブジェクトストレージは低速です。そのため更新頻度の高いファイルや速度が求められるデータにはあまり向いていません。

オブジェクトストレージの用途

ブロックストレージやファイルストレージと比較して大規模なデータを管理するのに向いています。また、URLが発行されるため、インターネットからアクセスできるようなコンテンツの配置先しても利用されます。具体的には、静的Webコンテンツの配置先や動画配信サービスの動画コンテンツ配置先といった利用が可能です。

Azureのオブジェクトストレージサービス

Microsoft Azureでは、Azure Blob Storageと呼ばれるサービスが利用できます。ストレージに保管されるデータを「BLOB」と呼び、BLOBの入れ物を「コンテナー」と呼びます。

※あわせて読む:Azure Blobストレージとは?利用方法や他社ストレージサービスとの違いを解説

1.2 ファイルストレージ

ファイルストレージとは、エクセルやワードといったソフトで作成したデータを、「フォルダ」という形式で、階層的に管理・保存できるストレージを指します。階層構造であるため、小中規模のデータでは管理が直感的にでき、運用が楽というメリットがあります。保存の際にはファイル名、作成日、サイズ、データの種類などのデータといっしょに保存されます。普段オフィスから利用し、仕事で作成したファイルを保存・共有したい場合はファイルストレージが利用されます。

ファイルストレージの用途

オフィスにおいて、作業したファイルなどの保存先として利用されることが非常に多いです。NAS(Network Attached Storage)のように、必要な時にPCと接続する、といった用途もあります。

Azureのファイルストレージ製品

Microsoft Azureでは、Azure Filesと呼ばれるフルマネージドのファイルストレージサービスがあり、シンプルで安全なファイルストレージとして利用できます。SaaSとして提供されるため、ハードウェアやOSの管理が不要なほか、拡張性に非常に優れています。

※参考: Azure NetApp Files

1.3 ブロックストレージ

ブロックストレージは、ボリュームという記憶領域を分割したものをひとまとまりとし、その中をブロックに分割して管理するアーキテクチャです。ボリュームとブロックのそれぞれにアドレス(ID)が割り振られており、このアドレスを使用してアクセス(ブロックアクセスと呼ぶ)を行ないます。イメージとしては、物理サーバでいうところの1台のハードディスクがクラウド環境における1つのブロックストレージに該当すると考えると良いでしょう。

ブロックストレージの用途

ブロックストレージは、3つのストレージサービスの中でも特にI/Oの速度が速いため、更新頻度が高いデータの読み書きに向いています。例えば、プログラムを用いた計算やアプリケーションの処理といった用途です。ただし、ブロックストレージは高額な場合が多いです。
代表的な用途としては、Azure VMにアタッチした仮想サーバの起動ディスクとして利用される記憶領域があります。

Azureのブロックストレージサービス

Microsoft Azureにおいては、Azure Storage Diskと呼ばれる製品が利用できます。性能別に4種類(Ultra Disk、Premium SSD Managed Disks、Standard SSD Managed Disks、Standard HDD Managed Disks)から選択できます。

高速な処理が必要な場合にはUltra DiskやPremium SSD Managed Disksを、コストを重視したい場合はStandard SSD Managed Disks、Standard HDD Managed Disksを選択するとよいでしょう。

※参考: Azure Disk Storage

2. オンラインストレージとの違い

オンラインストレージとは、利用者にストレージ容量を貸し出し、ファイルを保管する場所を提供するインターネット上のサービスです。たとえばDropboxやOneDrive、Google Driveなどのサービスがこれにあたります。

インターネット環境さえあれば時間や場所を問わず、ハードディスクと同様にファイルの閲覧や修正が可能です。また、ファイルの保存先としてだけでなく、バックアップ先としての利用やチームでのファイル共有などにも使用することができます。

前述の通り、オンラインストレージの裏側ではオブジェクトストレージが動いています。そのため、オンラインストレージはオブジェクトストレージを使用したWEBサービスという位置付けになります。

おわりに

クラウドにおけるストレージサービスは、目的に応じて使い分けることが必要です。社内で共有のストレージを導入する場合、特定のシステムで共有するものはファイルストレージ、インターネット経由など外部とも共有したり長期保存用にはオブジェクトストレージを利用するなど、自社のデータ量やその利用目的などをしっかり考慮に入れて、最適のストレージを選択してください。

また、ストレージサービスの選択や使い分けに悩んだ際には、経験豊富なベンダーに依頼するとよいでしょう。データの保存先や、利用にあたってのセキュリティ上の考慮点について、的確なアドバイスを受けることができます。

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Tag: オブジェクトストレージ ファイルストレージ ブロックストレージ

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