Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure SQL Database

Category: 入門編

2020.12.11

はじめに

IT サービスの提供は、多くの情報によって成立しています。分かりやすいところでも、利用者の氏名や、住所などがあります。その量は膨大で、各企業がデータベース化し、管理、運用に取り組んでいるのです。

データベースを運用する際には、色々なサービスがあります。今回は、Microsoft 社が提供する 2 つのサービス「 Azure SQL Database 」と「 SQL Server 」について解説します。どちらも便利なサービスですが、大きく異なる面もあるのです。

データベース導入の参考になるので、ぜひ最後までお読みください。

1. Azure SQL Database とは

Azure SQL Database とは、クラウドサーバー上で構築されている SQL データベースで、Microsoft 社が提供しています。使い方が幅広いうえに、使うほどに得られるメリットが大きく、さらには課金形態を柔軟に選択できることが大きな特徴といえるでしょう。

3 つの可用性モデル

Azure SQL Database には、性能や機能の違いによって3 つのモデル「 BASIC 」「 Standard 」と「 Premium 」があります。どのような違いがあるのか見ていきましょう。

バックアップ保有期間

バックアップに関しては、BASIC は 1 週間、Standard・Premiumは 35 日間の保管が可能です。

ハードの性能

CPU 性能は BASIC が低スペック、Standard は低、中、高の選択があり、Premium は中、高どちらかを選ぶ形式になっています。 その他にも、IPOS(ハードディスクなどの性能を表す指標。1 秒間に読み書きできる回数)や、IO 待機時間(実行中 CPU 割り当てを待つ時間)などの性能にも違いがあります。

ストレージ

データベースあたりの最大ストレージは、BASIC が 2 GB、Standard・Premium は 1 TB と大きく異なります。

メンテナンス中のパフォーマンス

3 つのプラン間で最も差が大きいのが、「メンテナンス中のパフォーマンス低下に関する違い」です。メンテナンスは定期的に実施されるため、メンテナンス中にどの程度パフォーマンス低下を許容するのかは性能に大きく関わります。

以上のように、BASIC・Standard・Premium ではパフォーマンスや機能によるさまざまな違いがあります。また、Premium プランの特典として、OS のアップグレードや、トラブル検出の際にも、データベース利用を安定して利用できるという強みもあります。

どのプランが想定する環境に適しているのかを選択することで、スムーズなデータベース作成ができるでしょう。

2. SQL Server との違い

Microsoft は、Azure SQL Database と別に SQL Server というデータベースも提供しています。基本的な性能や操作性に大きな差はありませんが、相互性がない部分もあり、どちらかで作成したデータベースをそのまま移行するのは難しいといえるでしょう。

通常利用という点ではあまり差がありませんが、管理面とカスタムについては大きな違いがあります。詳しく見ていきましょう。

管理面での違い

Azure SQL Database は、メンテナンスやシステムアップグレードなどの管理が不要なサービスです。管理面でのシンプルさはクラウド型サービスの強みといえ、メンテナンスはすべてMicrosoft 側で実施してくれます。
特に、セキュリティやコンプライアンス、パフォーマンスの維持のための更新は連続して行なわれているため、安定したデータベース運用が可能といえます。

基本的に更新中でもサービス利用は可能ですが、一部のメンテナンスではサービスが短期間中断され、特別な処理がされることもあります。

一方 SQL Server は、メンテナンスを自分で実施しなければなりません。データベースの最適化、バックアップ、不具合の除去などをする必要があるため、Azure SQL Database よりも管理コストが必要といえるでしょう。

そのため、SQL Server にはメンテナンスプランが用意されています。メンテナンスタスクのワークフロー作成、グループ化、マルチサーバーのサポート、ログ管理サポート、認証サポートなど、スムーズにメンテナンスするためのサポートが豊富です。

SQL Server のほうが融通は利く

上述のように、SQL Server は Azure SQL Database よりもメンテナンスコストがかかります。しかし、自分でカスタムできる要素が多いため、その分システム設計の自由度が高いといえます。Azure SQL Database では不可能なシステムや機能の実装などができるため、SQL Server でなければ作れないデータベースもあるでしょう。

Azure SQL Database はあくまでクラウド上で提供されるサービスであるのに対し、SQL Server はクラウドでの利用だけでなくオンプレでのパッケージも用意されているものであり、自身でカスタマイズしながら動かしていくものです。したがって、Azure SQL Database の BASIC や Standard プランで基本的なデータベースを構築し、さらに高度な開発がしたい場合はPremium プランへの変更や、SQL Server の利用を検討するのもよいでしょう。

3. Azure SQL Database のメリット

Azure SQL Database には多くのメリットがあります。ここでは代表的な 4 つをピックアップしてご紹介します。

バックアップ不要

Azure SQL Database には自動データベースバックアップ機能があるため、バックアップが不要です。完全なバックアップが毎週、差分のバックアップは半日から 1 日、処理の記録が 5 分から 10 分毎に作成されます。
データのバックアップは、システム運用の際には必然的に実施する必要がありますが、このように自動的に実行してくれるのは大きなメリットといえるでしょう。

ちなみにデータのバックアップだけではなく、システムのアップグレードや定期メンテナンスも代わりに実施してくれるため、運用に関わるコストを抑えることが可能です。

実機サーバーを用意する必要がない(クラウドのため)

Azure SQL Database はクラウドサービスでの利用になるため、実機サーバーを用意する必要がありません。高額なサーバーを準備する必要がなく、導入コストはかなり抑えられます。また、料金体系もさまざまで、使った分だけを支払うのでコスト管理がしやすいといえるでしょう。

複雑な環境設定などを簡略化できる

実機サーバーを設置する場合は、多くの複雑な環境設定をする必要があります。一方で、Azure SQL Database を使うためには、簡単な設定をするだけでよいので、すぐに導入できるのです。

Azure SQL Database を導入する際には、Azure SQL のメニューから「 SQL データベース」を選択。設定の指定で、名前、サブスクリプション、サービス、パフォーマンス、最大サイズ、照合順序、サーバーを入力していきます。

その後、ログイン名、パスワード、地域、サーバーアクセス許可、更新の有効化を選び、OK ボタンを押せば SQL データベースが作成完了です。

たったこれだけで、利用を開始できる Azure SQL Database 。試しに導入したい方は、ぜひチャレンジしてみてください。

テンプレートが豊富

Azure SQL Database には、便利なテンプレートが豊富に用意されています。例えば、最も基本的な単一データベースの作成は、ARM というテンプレートを利用することで、簡単に可能。

テンプレートを利用することで、プログラミングなしでも記述できます。他にも、既存の開発ツールや、コミュニティによって作られたサンプルが用意されているので、それを元にしてデータベースを作成することも可能です。

上記のような導入、設定、作成などのシンプルさが Azure SQL Database の大きな利点といえます。

4. Azure SQL Database の料金

実際に Azure SQL Database の利用料金を見ていきましょう。例えば、東日本エリアで、Gen 5 というハードウェアを使った場合の、サーバーレスコンピューティングの料金は以下のようになります。

  • 最大仮想コア 8 :最小コア 1 :CPU 使用量 1 :メモリ使用量 3 GB で、最大時間使用すると月額約 443 ドル
  • 最大仮想コア 32 :最小コア4 :CPU 使用量 4 :メモリ使用量 12 GB で、最大時間使用すると月額 1,759.27 ドル

このような試算は、「料金計算ツール」にてできるので、導入を考えている方は、一度計算してみてはいかがでしょうか。

おわりに

Azure SQL Database はクラウド上で利用できるデータベースです。利用に多少コストはかかるものの、操作性や運用の手軽さに優れており、サーバーレスであることも手伝って導入のハードルが低いのが大きな特徴といえます。

また、利用方法によってプランも分かれていて、コスト面、運用の安定さを考慮して、選ぶことができます。更新やバックアップといったメンテナンスもMicrosoft側で自動実施してくれるため、スマートかつセキュリティの強固なデータベースを設計可能です。

データベース運用に関するさまざまな手間や、コストを削減でしたいと考えている場合は、Azure SQL Database の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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