Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Database for PostgreSQL

Category: 入門編

2020.12.14

はじめに

データベースの運用は、今や企業にとって欠かせなくなっています。顧客や取引先の情報、売上データなど数多くの情報を管理しなければならないためです。そこで重要になるのが「どのデータベース」を利用するかという点です。使いやすいデータベースを選べば、情報の運用がスムーズになり、業務が効率化できます。

前回は「Azure SQL DatabaseとSQL Serverについて解説」しましたが、今回は同じくMicrosoft社が提供する「Azure Database for PostgreSQL」について解説します。価格やバージョンなどの情報も紹介するので、データベース選びの参考にしてください。

Azure Database for PostgreSQLとは?

Azure Database for PostgreSQLは、クラウドによって提供されているマネージド型(運用やメンテナンスを提供側が実施するタイプ)のPostgreSQLデータベースです。データベースへのパッチ適用、バックアップ、監視、セキュリティ、フェールオーバー等を自動化し、利用者はサービスを使ったデータベースの運用や構築に専念できることが特徴といえます。

Azure Database for PostgreSQLのメリット

Azure Database for PostgreSQLのメリットとして、以下のことが挙げられます。

設定がシンプル

Azure Databaseを作成する場合に必要な入力は、サーバー名、リソースグループ、サーバー管理者ログイン名、ログインパスワードのみです。他の項目は、設定段階であれば変更する必要はなく、すぐに設定を完了できます。
その後は、接続を許すグローバルIPをファイヤーウォールで設定。すると、外部PCからAzure Databaseにアクセス可能になります。設定UIも項目説明と選択によって入力しやすいためスムーズに設定可能です。

拡張機能がバリエーション豊富

充実した拡張機能は、Azure Database for PostgreSQLの大きなメリットです。一般的なクラウドデータベースでもフルマネージドでデータベースの構築はできますが、拡張の自由度はあまり高くありません。それに対してAzure Databaseではさまざまな拡張機能が用意されています。
例えば、アドレス解析機能、大文字小文字の区別をしない設定、地表面上の大圏距離を計算する機能、暗号化関数などといった、多くの拡張機能をダウンロードしコマンドを実行することですぐに使えるようになります。
このようなバリエーション豊富な拡張機能によって、幅広いサービス開発が可能です。

ほぼメンテナンスフリー

Azure Database for PostgreSQLは、ほぼメンテナンスフリーで利用できます。セキュリティに関してはデフォルトの状態でも設定されていますし、データはクライアントとのやりとりの際でだけなく、ディスクのなかでも常に暗号化されています。

また、バックアップも自動で実施されます。価格帯によって範囲は異なりますが、手動でバックアップをとる必要はありません。バックアップの頻度は、利用している容量によって異なり、4TB以下であれば完全バックアップを毎週作成、差分のバックアップは1日2回作成されます。
4TB以上のバックアップは、その時点でのイメージデータ(スナップショット)の作成を、1日1回以上作成・保存します。また、処理内容のバックアップは5分毎に作成。さらにデフォルトの状態でも、CPUやメモリ使用率、ストレージ使用率、アクティブ接続、ネットワーク送受信量を見られるため、現状把握も容易です。

このように、メンテナンスをサポートする機能が豊富にあるため、余分な時間やリソースを削減でき、業務効率アップが見込めるでしょう。

追加費用なしで多くの機能が利用可能

先程ご紹介した拡張機能は、追加料金なしで利用できます。さらには、組み込みの高可用性化、自動バックアップとデータ保護、基礎システムの自動メンテナンスなども追加料金なしで利用可能です。
その他にも、課金料金によるパフォーマンス計算、秘密保持、監視の自動化といった機能もあります。オープンソースツールとプラットフォームを自由に選択し、開発することも可能です。

バージョン間の自動移行はできる?

Azure Database for PostgreSQL は、現在PostgreSQL 12というバージョンまで提供されています。しかし、2020年12月11日現在、データベースエンジンのメジャーバージョン間での自動移行は、サポートされていません。
そのため、次のメジャーバージョンにアップグレードする場合は、一度SQL文によってデータベースを出力(ダンプ)し、新しいバージョンで作成されたサーバーにデータを復元する必要があります。

このように、新たなメジャーバージョンへの移行は手動となってしまいますが、充実した機能を考慮するとできる限りバージョンアップすることをおすすめします。

メジャーアップグレードの体系変更

Azure Database for PostgreSQLは、メジャーアップグレードの体系変更を行ないました。メジャーアップグレードとは、大幅な機能改善、性能の向上や表示形式の変更など、大きな修正を加えた際のバージョンアップです。
対してマイナーバーアップグレードは、既存バージョンの不具合など、小規模な修正を加えるもので、多くのソフトウェアやアプリケーションで頻繁に行なわれています。

Azure Database for PostgreSQLでは、バージョン10以前ではメジャーアップグレードした際、1番目 または2番目の番号が増えていました。しかし、バージョン10以降は、1番目の番号変更のみがメジャーアップグレードを表しています。
例えば、以前は9.8.22から9.9.32への変更はメジャーアップグレードでしたが、現在は10.3.21から、10.4.25への変更であればマイナーアップグレードという扱いになります。
このような変更は一見すると小さなことにも思えますが、メジャーアップグレードのみを実施するなど予め決めている企業もあるので、このようなルール変更もしっかりと把握しておくことが重要です。

Azure Database for PostgreSQLの価格

Azure Database for PostgreSQLの価格は、Basic、汎用、メモリ最適化という3つのプランに分かれています。
具体的にどの程度の価格で利用できるのか、見ていきましょう。
なお、3種類ともGen5(2.3 GHz Intel E5-2673 v4 プロセッサ)をベースとした論理CPUを使用しています。

BASIC

BASICプランの場合、VCore1のメモリは2GiBで、1時間5.824円、VCore2なら11.648円です。サーバー用のプロビジョニング(リソース提供準備領域)は、1GBにつき月額13.44円かかります。さらに、バックアップのローカル冗長も、1GBあたり月額13.44円です。これらをトータルした金額が月額料金となります。

汎用

汎用プランは、VCore2のメモリは10GiBで、1時間28.426円、VCore8なら40GBで113.703円です。また、VCore64まで選択できます。ちなみに、1年予約、3年予約だと、それぞれの料金が37%、55%まで割引になります。
サーバー用のプロビジョニングは、1GBにつき月額15.456円かかります。さらに、バックアップのローカルローカル冗長は、1GBあたり月額13.44円、地理冗長は26.68円です。

メモリ最適化

メモリ最適化プランは、VCore2のメモリは20GiBで、1時間31.764円、VCore8なら80GiBで127.053円です。また、VCore32まで選択できます。ちなみに、1年予約、3年予約だと、それぞれの料金が33%、53%まで割引になります。
サーバー用のプロビジョニングは、1GBにつき月額15.456円かかります。さらに、バックアップのローカルローカル冗長は、1GBあたり月額13.44円、地理冗長は26.68円です。

おわりに

Azure Database for PostgreSQLは、シンプルな設定でありながら、拡張機能のバリエーションが豊富で、さらにはメンテナンスがほぼ不要など、多くのメリットがあるサービスです。導入すれば余計な時間やリソースを運用に割く必要がなく、開発に専念できるため業務効率アップが見込めます。

ただし、バージョンアップした際に自動移行ができないため、データベースをSQL文によって出力し、新しいバージョンへ反映する必要があります。この点は今のところデメリットといえるかもしれません。
しかし価格設定も分かりやすく、時間によって課金するシステムなのでコスト管理もしやすいサービスといえるでしょう。

よりよい開発環境を構築したいと考えている場合は、Azure Database for PostgreSQLの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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Tag: Azure Database for PostgreSQL DB

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