Category: 入門編
2022.03.10
目次
ビジネス・インテリジェンスとは?企業のデータ活用方法を解説
近年、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現を目指して、多くの企業がデータ分析に関心を持つようになりました。しかし、十分にデータを活用してビジネスに展開できている企業は多くありません。
そうした企業のためにデータ分析をサポートするツールがBIツールです。BIとは、データを分析することで意思決定に活用する仕組みで、多くの企業がBIのためのツールを提供しています。マイクロソフトでもPower BIというBIツールを提供しており、便利で使いやすく、大量のデータを簡単に様々な形で表現することができます。
本記事では、BIで何が実現できるのかを明確化した上で、マイクロソフトのBIツールであるPower BIの特徴とメリット、ライセンス体系などについて解説します。
1. BI(ビジネス・インテリジェンス)とは
データ分析を行うにあたり、BI(ビジネス・インテリジェンス)という言葉を知っておく必要があります。まず、BIの概要と目的について解説します。
BI(ビジネス・インテリジェンス)とは
BI(Business Intelligence:ビジネス・インテリジェンス)とは、日々の企業活動で蓄積される膨大なデータを収集・分析することで業務や経営の意思決定に活用する仕組みのことを指します。
BIの導入により、ビジネスの状況を可視化し、データを加工・分析することで、意思決定者に有益な情報を提供することができるようになります。また、一見、関連性のない個々のデータを組み合わせることで、新しいビジネスのヒントとなる情報を得ることができます。
BIツールの歴史は古く、BIツールが市場に登場して既に20年以上が経過しています。BIの重要性を認識している企業は多いですが、利用頻度や積極性にはばらつきがあるのが実情です。米国の調査会社ガートナーの2019年の調査(※1)によると、対象者の74%が自社でBIツールを導入しているが、そのうち41%の社員がBIツールを利用していないと回答しています。
※1 参考:ガートナー、企業におけるBIツールの導入状況に関する調査結果を発表
BIの役割と目的
BIは企業がビジネスを進める上でどのような役割を果たすのでしょうか。BIが経営において必要とされている主な理由は下記の通りです。
- データの可視化
- 問題や課題の発見
- データマイニング(法則性の導出)
データの可視化
BIの重要な目的のひとつが「データの可視化」です。企業が日々のビジネスにより生成・蓄積するデータは膨大な量に及ぶ可能性があります。また、データは会社の各部門に点在しており、それぞれがバラバラの状態では誰も理解できない数字の羅列になってしまいます。
こうしたバラバラのデータをBIにより収集・統合し、グラフィカルに可視化することで、わかりやすくビジネスの状況を把握し、適切な経営判断を行うことができるようになります。
問題や課題の発見
BIを導入することでビジネスの状況が可視化され、経営判断を下すための分析結果が提供されます。こうした分析結果をもとに、現状のビジネス課題や、将来発生しうるリスクを発見・予測することが可能となります。
現状のビジネス課題を解決するための施策や、将来的な問題・リスクを未然に防ぐための施策を策定することで、より有利に企業戦略を進めていくことが可能となります。
データマイニング(法則性の導出)
データマイニングとは、「データを採掘する」という意味で、膨大なデータを分析することで有益なデータを「採掘」することを指します。膨大なデータベースに対して、統計分析や機械学習などを活用し、一見しただけでは分からないデータの法則性を導出し、さまざまな分野のビジネスに役立てることができます。
2. Power BIとは
データ分析をサポートするためのBIツールは、多くの企業が提供しています。本記事では、マイクロソフトが提供しているBIツール「Power BI」の概要と特徴、メリットについて解説します。
Power BIの概要
Power BIとは、マイクロソフトが提供するBIツールです。Power BIはBIに必要な機能を一通り揃えており、さまざまな種類のデータに接続して抽出・変換・統合を行い、分析結果をレポートとして可視化する機能を持っています。
また、マイクロソフトのクラウドサービス、Azureと連携することが可能です。Azure上のデータベースやデータレイクへ接続して、Azure上に蓄積されたデータを抽出・分析を行うことができます。
デスクトップアプリとしても、Azure上で使用することも可能で、iOSやAndroidのモバイルアプリも利用可能です。
Power BIの特徴とメリット
Power BIは多くの機能を備えていますが、主な特徴とメリットは下記の通りです。
- プラットフォームを問わないデータ連携
- Microsoft AIを活用した迅速なデータ分析
- あらゆるデバイスで利用できる
プラットフォームを問わないデータ連携
Power BIは、オンプレミス・クラウドを問わずデータを連携し分析することが可能です。Power BIとAzureを連携してすべてのデータ資産を結びつけ、組み合わせ、分析することが可能です。
また、Microsoft365と連携してExcelのクエリ、データモデル、レポートを Power BI ダッシュボードに簡単に接続することで、Excel上のデータをすばやく収集、分析、公開、共有することも可能です。
Microsoft AIを活用した迅速なデータ分析
Power BIでは、Microsoft AI を活用することで、データ分析の専門知識や経験がなくてもデータの準備や機械学習モデルの構築を行い、構造化データと非構造化データの両方 (テキストや画像など) からすばやくインサイト(洞察)を発見できるようになります。
あらゆるデバイスで利用できる
Power BIは、パソコン上で利用するDesktop版だけではなく、Windows、iOS、Android OSなどのネイティブ・モバイル用BIアプリが用意されています。
これらを使用すると、あらゆるデバイスでライブ Power BI ダッシュボードやレポートにセキュアにアクセスして利用することができます。データの共有が簡単にできるので複数人で同じデータを取り扱うことはもちろん、レポートの作成もできます。
3. Power BIの構成とライセンス
Power BIはライセンス体系が少々複雑です。ここでは利用できる構成とライセンス体系について解説します。
Power BIの構成
Power BIは大きく下記の構成を取ります。
- Power BI Desktop
- Power BI Service
- Power BI モバイルアプリ
Power BI Desktop
Power BI Desktopは、Windows OSにインストールして利用するデスクトップ・アプリケーションです。一般的なパソコンに無料でダウンロードすることができ、各種データソースへの接続、変換、可視化、分析に使用される機能が一式揃っています。
複数のデータソースに接続し、1つのデータモデルに統合してレポートを作成するためのクエリ・エディタも含まれています。作成したレポートは、他のユーザーと直接共有することや、Power BI Serviceに向けて発行することも可能です。
Power BI Service
Power BI Serviceは、SaaS(Software as a Service)として提供されるクラウドベースのデータ分析サービスです。ブラウザ上で利用することができ、Power BI Desktopで作成したレポートを閲覧・分析することが可能です。
Power BI ServiceもPower BI Desktopと同様にさまざまなデータソースに接続できますが、モデリングに制限があります。
Power BI モバイルアプリ
Power BI モバイルアプリは、Windows、iOS、および AndroidのOSに対応している、モバイルデバイス用のアプリケーションです。タブレットやスマートフォンなどを使って、いつどこでもPower BIにアクセスして、レポートを閲覧・分析することができます。
Power BIのライセンス
Power BIを利用するために必要なユーザー・ライセンスには下記の3種類があります。
- Power BI 無料版
- Power BI Pro
- Power BI Premium
Power BI 無料版
Power BI 無料版は、無料で利用できるライセンスです。無料といってもPower BIでデータ分析・レポート作成を行うために必要な機能が一通り揃っており、Desktop、Service、モバイルアプリのどの構成でも利用可能です。
ただし、作成したレポートは個人利用が前提となっており、組織内、社内で他のユーザーと共有することはできません。
Power BI Pro
Power BI Proは、Power BI無料版の機能に加え、組織内で共有する機能を持っているライセンスです。組織内・社内でPower BIを利用するためにはProライセンス以上が必要と言えます。
Power BI Premium
Power BI Premiumは、Power BI Proの機能に加え、Premium でのみ利用可能な機能が提供されるライセンスです。Premiumでは、AI による分析、コンポーザブルで再利用可能なデータフロー、ページ分割されたレポートなど、データの視覚化と分析情報の抽出のための機能を利用できます。
また、ユーザー毎のライセンスだけではなく、組織毎(容量毎)にライセンスを付与することのできる柔軟性を持っています。
4. まとめ
多くの企業がデータをビジネスに活用したいと考えていますが、データ分析には専門的な知識が必要であるため、そうした専門的な人材が不足している企業も少なくありません。
そうした企業のためにデータ分析をサポートする役割を担うのがBIツールです。マイクロソフトのBIツール、Power BIでは、Azureと連携して簡単にデータ分析を行うことができます。
また、Azureの持つ高い可用性やスケーラビリティ、セキュリティにより、企業の機密データを安全に運用することができます。新ビジネスの発掘のために、ぜひPower BIの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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