Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

AWSとAzure、テレワークの普及で注目を集めるDaaSについての比較

Category: 入門編

2022.10.18

AWS、AzureのそれぞれのDaaSについて特徴とポイントを比較し最適な利用環境について解説します

働き方の多様化によりテレワークが普及し仮想デスクトップ基盤( VDI )を導入する企業が増えています。
一般的な VDI は自社がホスティングするサーバー上に仮想デスクトップ環境が構築されるシステムです。よって自社内やデータセンターに仮想デスクトップを展開するための設備を保有する必要があり初期投資が必要です。また運用面ではメンテナンスを自社で行うため運用コストやユーザの増減に合わせ再構築が必要になるケースもあります。

そこで今、注目されているのがクラウド環境を利用し VDI をサービスとして利用できる DaaS ( Desktop as a Service )です。 DaaS は初期投資費用を削減し、クラウドサービスのメリットを活かした柔軟で拡張性の高いサービスです。

本記事では DaaS についての解説と、 DaaS 市場においてトップシェアを誇る Amazon Web Services ( AWS )と Microsoft Azure が提供するそれぞれのサービスについてポイントを比較します。

1. DaaS( Desktop as a Service )とは

DaaS とは「 Desktop as a Service 」の略で、クラウド上に OS やソフトウェアなどのデータやデスクトップ環境を保存し、ネットワークを通じ手元のパソコンで操作ができるようにしたサービスです。場所を選ばない働き方と、自社からのデスクトップ環境一元管理という相反する両方を実現することができます。

また応用することで BCP 対策にも活用することができる為、近年利用が広がっています。

DaaS のメリット

DaaS はあらゆるデバイス、あらゆる場所からデスクトップ環境へアクセスすることができるサービスです。従来のパソコン環境では、パスワードの管理、データへ対するセキュリティ、 OS のアップデートやパッチ適用など、さまざまなリスクが存在します。 DaaS はこれらのリスクをクラウド上にあるデスクトップ環境を一元的に管理することで解決することができます。

またユーザー側のパソコンは必要最低限の機能があれば十分であり、セキュリティ面においてもパソコンにデータが残らないので情報漏えいのセキュリティリスクを回避できます。

DaaS と VDI との違い

VDI は基盤となるハードウェア、ソフトウェア、ストレージ、ネットワーク機器などを自社で調達し環境を構築します。仮想化技術を提供するハイパーバイザーにより、仮想ホストを構築し、ホスト側のメンテナンスやクライアントからのアクセス管理などの運用も自社で行います。

それに対し DaaS は、サービス事業者が提供する環境を利用します。サービスとして提供されているので契約すればすぐにデスクトップ環境を利用することができます。デスクトップ環境のメンテナンスはサービス事業者の責任範囲において様々なリスク対策が講じられているため自社での設備維持費や運用工数を大幅に削減することができます。

VDI と DaaS はどちらも、ユーザーが仮想デスクトップにアクセスすると言う観点では同じですがこのように責任分界点に違いがあります。

DaaSとVDIとの違い

2. AWS と Azure が提供するDaaSについて

近年、クラウドインフラの市場シェアでトップを占めているのが Amazon が提供する AWS ( Amazon Web Services )と Microsoft が提供する Azure です。 Synergy Research Group が発表した調査によると AWS 、Microsoft のシェアがそれぞれ 33 %、22 %であり、2 社の合計でクラウドインフラ市場のシェアは半分を占めています。本章では AWS と Azure が提供する DaaS についてそれぞれの特徴を紹介します。

グローバルのクラウドインフラ市場シェア

出典:グローバルのクラウドインフラ市場はAWS、Microsoft、Googleの寡占が強まり6割超に 2022年第1四半期の調査結果

AWS の DaaS「 WorkSpaces 」

Amazon WorkSpaces は 2014 年に発表されたマネージド型の仮想デスクトップサービスで、DaaS 市場においてはクラウド事業者としていち早くリリースされたサービスです。

WorkSpaces は初期費用が不要で月額の課金形態は固定料金、従量課金の 2 パターンあり用途に合わせて選択できます。最低利用台数がなく 1 台からはじめることができ、利用用途に応じた料金形態により柔軟に対応することができます。

また WorkSpaces は初めて利用するユーザ向けに 2 ヶ月間に限り、1 ヶ月あたり合計40時間までの無料利用枠が提供されています。

パソコンやタブレットなど、ユーザ側のデバイスを問わず利用可能です。各デバイスに専用のクライアントソフトをインストールして利用します。OS やデバイスに対応したクライアントソフトが Amazon の Web サイトで無償配布されています。また Web ブラウザかもアクセスが可能です。

AWS 接続サービス Direct Connect などを利用しオンプレミス環境との連携や、他 AWS サービスとの連携により、バックアップやセキュリティ機能なども拡張できます。

WorkSpaces は利用する OS のライセンスがバンドルされ利用料金に含まれています。また BYOL も可能であり、一連の Office 製品も利用できます。

※参考1 Amazon WorkSpaces Documentation

Microsoft の DaaS「 Azure Virtual Desktop( AVD )」

Azure Virtual Desktop ( AVD )は、2019 年に発表されたサービスであり、2021 年に Windows Virtual Desktop ( WVD )という名称から Azure Virtual Desktop に変更となりました。

AVD では管理コンポーネントのほとんどが Azure Portal で提供され、煩雑な管理やメンテナンスが不要です。通常ではクライアント OS は、仮想マシン 1 台に対して1人ですが、AVD ではマルチセッションで利用することができます。マルチセッションとは 1 台の仮想マシンで複数のユーザで利用することができる機能です。クラウド環境では仮想マシンの台数が多ければ利用コストの負担になりますが、マルチセッションで仮想マシンの台数を抑えることでコスト削減が可能です。

AVD はマイクロソフト製品の Office 製品と相性が良く、他社の DaaS の場合、一部機能が制限されるケースもありますが、AVD はサブスクリプション版の Microsoft 365 を追加料金なくそのまま持ち込み利用することが可能です。
さらに Microsoft 365 E5 シリーズのセキュリティ機能も AVD 上で利用でき DaaS 環境においてもセキュリティを強化できます。

※参考2 Azure Virtual Desktop(旧:Windows Virtual Desktop)とは?今こそ知りたい基本情報

3.AWSとAzureのDaaS比較

本章ではこれまでのそれぞれの DaaS の特徴を踏まえ2社のサービスを比較します。

比較項目 AWS WorkSpaces Azure AVD
利用できる OS Amazon Linux WorkSpaces Windows 10
※ Windows 10 はデスクトップエクペリエンスとして Windows Server 2016 で実行するか Windows Server 2019 で実行するかを選択できます。
Windows 10 / 7
Windows Server 2019 / 2016 / 2012R2
Windows 11 ※プレビューで利用可能です。
接続方法 Web ブラウザ
専用接続アプリ
Web ブラウザ
専用接続アプリ
配信方法 デスクトップ配信
※占有型です。
デスクトップ配信
アプリケーション配信
※いずれもプール型に対応しています。
接続形態 インターネット経由
VPN 経由
専用線( Direct Connect )
インターネット経由
VPN 経由
専用線( ExpressRoute )
プロファイル方式 ファイルサーバー対応 FSLogix 対応
課金形態 従量課金
固定料金にも対応
従量課金
ライセンス サービスにバンドル済
BYOL にも対応
マイクロソフトのライセンスが必要
Microsoft 365 E3 / E5 / A3 / A5 / F3 等
マルチセッション 非対応 対応
認証機能 別途サービス連携が必要 対応

Amazon WorkSpaces の特徴

AVD と比較すると、料金形態、ライセンスの柔軟性があり、パブリック(共用)なクラウド環境で VDI を導入したいユーザに向いています。

AVD の特徴

AVD はデスクトップ配信、アプリケーション配信ともにプール型、専有型のデスクトップ配信にも対応しています。それに加えマルチセッションや従量課金、認証機能として Azure AD の機能が一部無料で利用できるなど、他サービスとの連携を考慮すると自社向けにカスタマイズしたいユーザに向いています。

4. まとめ

ここまで DaaS についての概要と、2 社の DaaS ソリューションを比較、紹介しました。それぞれに特徴があり、一長一短であることから自社に合わせた導入の参考となれば幸いです。

前提として AWS も Azure もベースとなる利用料が異なります。またインターネット回線、専用回線、帯域なども回線事業者ごとの運用コスト等も考慮する必要があります。そのため費用の算出や、導入における具体的なアドバイスなど専門家へのご相談をお勧めします。

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Tag: Azure Virtual Desktop DaaS

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