Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

オンプレミスからクラウドへの移行コストを最適化するAzure hybrid benefitについて解説します!

Category: 入門編

2023.05.15

Azure hybrid benefit、通称「Azureハイブリット特典」の概要、対象製品、メリットについて解説

オンプレミスでサーバーを構築する場合、ソフトウェアライセンス、サブスクリプション、ハードウェアのサポートライセンスを購入して利用することになります。それに対しクラウドサービスを利用して構築する場合、従量課金であることから、使った分だけの支払いとなります。その中に OS 、ソフトウェアのライセンスの利用料金が含まれている場合がほとんどです。

ではオンプレミスからクラウドシフトを行うと、オンプレミスで購入したソフトウェア、ライセンスはどうなるでしょうか?

Azure ではオンプレミスで購入したライセンスをクラウドで利用可能となる Azure hybrid benefit ( Azure ハイブリッド特典)という特典が用意されています。クラウド環境へ有償 OS やソフトウェアライセンスの BYOL ( Bring Your Own License )、 BYOS (Bring Your Own Subscription )を実現する特典です。本記事では Azure hybrid benefit の概要、対象製品、メリットについて解説します。

1. Azure hybrid benefitとは?

概要

Azure hybrid benefit とはオンプレミスで利用しているライセンスを Azure に移行して利用することでコストを節約する特典です。 BYOL 、 BYOS 、と呼ばれるように所有しているライセンスをクラウド環境へ持ち込み、仮想サーバーへ適用することができます。

この特典の対象となるのはソフトウェアアシュアランス付きのライセンスです。ソフトウェアアシュアランスとは、契約期間中、常に最新バージョンを使用する事が出来るアップグレード保証及び様々な特典を受けられる権利のことです。

通常、 Azure で仮想マシンを作成する場合、マーケットプレイスから Windows Server のイメージを選択して仮想マシンを作成します。この場合Windows Server のライセンス料金込みの従量課金料金が適用されます。

これに対して Azure hybrid benefit を適用して仮想マシンを作成すると、仮想マシンの料金が Windows ライセンス分を含まないベースコンピューティング料金のみとなります。仮想マシンのみではなく、関連するサービスも追加コストなく利用できることから、利用環境によってはコスト以上のメリットをもたらすことができます。

この特典を活用することで、 BYOL 、 BYOS のみならず、最新バージョンへのアップグレード保証、 Azure 導入計画支援、技術サポート、スムーズなライセンスの移行、災害復旧、フェイルオーバーの権利、ローミングなど、導入、展開、移行、運用管理まで広範囲に渡って、ハイブリッド環境を最適化しながらコストを節約できます。

Azure hybrid benefitとは?

Azure Hybrid Benefitが利用される背景

Microsoft は、あらゆるオンプレミス環境を Azure 環境へ移行させる計画を推進しています。クラウド移行後、オンプレミスで購入したライセンスを適用すれば、かかるコストは仮想マシンのインフラコストのみとなり、運用コストを最適化することができます。

Microsoft のモデルケースによる試算では、 Azure Hybrid Benefit を利用することで、最大40%のコスト削減が可能になるとしています。

Azure Hybrid Benefitが利用される背景

図版出典:クラウド Watch「日本マイクロソフト、Azureハイブリッド特典をRHELやSLESへ拡張」

また、 Microsoft は市場において多くの Linux サーバーが、オンプレミスで稼働していると見ており、クラウド移行が課題となっているケースが存在するとみています。そのことから Azure Hybrid Benefit は Windows 製品のみならず市場の Linux サーバーも対象としています。

2. Azure hybrid benefitの対象製品

Azure Hybrid Benefitの対象となるライセンスは主に以下の通りです。

1.Windows Server Datacenter 及び Standard エディション
2.SQL Server Enterprise コアライセンス及び Standard コアライセンス
3.Red Hat Enterprise Linux 、 SUSE Linux Enterprise Server

それぞれについて解説していきます。

Windows Server 向け Azure Hybrid Benefit

Azure Hybrid Benefit の要件を満たすためには、アクティブなソフトウェアアシュアランスが付いた Windows Server のオンプレミスライセンスが必要です。具体的には以下のような特典が存在します。

Azure上のWindows ServerがLinuxレートと同等

仮想マシンの従量制課金の対象がベースコンピューティングのみの支払いで済みます。課金レートは、 Linux レート(無償 OS )同等となるためコストの削減が可です。

Azure Stack HCIの料金が免除

Azure Stack HCI とは Azure 環境における Hyper Converged Infrastructure の環境であり、外部ストレージを使用せずにサーバーの仮想化を実現するホストです。このホスト料金と Windows Server サブスクリプション料金が免除されます。ただし、 Azure Stack HCI に関連する運用コストは支払いの対象となります。

Azure Kubernetes Serviceを追加コストなく実行

Azure Stack HCI で展開した Windows Server で追加のコスト負担なく、 Azure Kubernetes Service を実行できます。 Azure Kubernetes Service とはAzure上でコンテナをデプロイや管理、スケーリングするためのオープンソフトウェアである Kubernetes のサービス機能です。

Windows Server 向け Azure Hybrid Benefit

図版出典:Microsoft 公式サイト

SQL Server向け Azure Hybrid Benefit

ソフトウェアアシュアランス対応の SQL Server ライセンスを使用することにより、 SQL Database と SQL Managed Instance の料金を最大 30% 以上節約できます。

通常は基になる Azure インフラストラクチャと SQL Server ライセンスの両方に対して支払いが生じるのに対し Azure Hybrid Benefit は、 SQL Server データベースエンジンに使用され、元になる Azure インフラストラクチャに対しての支払いのみとなります。

SQL Server向け Azure Hybrid Benefit

図版出典:Microsoft 公式サイト

RHEL、SUSE(Linux)向け Azure Hybrid Benefit

Red Hat Enterprise Linux ( RHEL ) および SUSE Linux Enterprise Server ( SLES ) に適用が可能であり、 Linux の Azure Hybrid Benefit では、最大 76% の節約を見込むことができます。

通常のLinux仮想マシンは従量課金制で、基となる仮想マシンの料金とサブスクリプションの両方を支払うことになりますが、 Azure Hybrid Benefit を適用することでサブスクリプションに対する料金の支払いが不要となります。

Azure Hybrid Benefit は、 RHEL と SLES のすべての仮想マシンで使用でき、仮想マシンはカスタムイメージを使用するか、Azure Marketplace から取得したものを使用して作成することになります。

RHEL、SUSE(Linux)向け Azure Hybrid Benefit

図版出典:Microsoft 公式サイト

3. Azure Hybrid Benefitのメリット

コスト削減の達成

Windows Server 、 SQL Server ライセンス、 Linux サブスクリプションに Azure Hybrid Benefit を適用することで大幅なコスト削減を実現できます。この点は何よりも大きなメリットです。AWS ( Amazon Web Service )と比較しても、 Windows Server 、 SQL Server は高価であることから、 Azure への移行を実行することがコストメリットを享受するポイントと言えます。

節約料金の計算ツール

Azure Hybrid Benefit を適用する場合の節約額を算出することができます。 Azure で利用するインスタンスの条件や期間などによって割引率や額は変動します。

Azure Hybrid Benefit については割引オプションを選択することで見積もることができます。利用予定の各サービスを選択して条件を入力することで概算料金の算出が可能です。場合によってはコストメリットがほとんどもしくは全くないということもあるので、事前に試算することをお勧めします。

節約料金の計算ツール

柔軟なハイブリッド環境の移行と構築

オンプレミスを維持しながら Azure サービスを利用して運用する、ハイブリットなインフラストラクチャを実現することができます。また Azure Hybrid Benefit はクラウド環境でのテストに最適であり、安全な移行の一助となるでしょう。

また移行後も Windows Server 用の Azure Stack HCI 、 Azure Kubernetes Service を追加料金なしで実行することができるため、柔軟なハイブリット環境を実現できます。

類似するAzureサービスと特典を併用

Azure Hybrid Benefit は他の Azure 節約プラン、特典、オファーと共に併用することができます。他の特典と併用することでビジネスアプリケーションを最適化しながら、コスト削減額を最大限に高めることが可能です。様々な特典やコスト削減に最適なプランについては公式サイトをご参照ください。

4.まとめ

本記事ではAzure Hybrid Benefit の概要、背景、仕組み、メリットについて解説医しました。ソフトウェアアシュアランス付きの Windows Server 、 SQL Server ライセンス、また Linux サーバーを運用している企業にとってはクラウドへ移行しコストを削減するための最適な特典と言えるでしょう。 ぜひ、 Azure Hybrid Benefit をご活用した移行、運用をお勧めします。また利用に際しハードルが高いと感じられる場合、専門家へご相談ください。

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Tag: Azure hybrid benefit

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