Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

クラウドでフルマネージドなSANを構築!Azure Elastic SANについて解説します!

Category: 入門編

2023.05.16

Azure Elastic SANの概要、利用シーン、機能、価格、メリットについて解説

近年、クラウドテクノロジーは大きく進化し、大容量の記憶領域に高速なアクセスが実現することで、今までオンプレミス環境を主に構築されていた SAN もクラウドネイティブなフルマネージドで利用可能となりました。

Azure Elastic SAN は、スケーラブルでコスト効率の高い、高パフォーマンスの包括的なストレージソリューションを提供するクラウドサービスであり、オンプレミスの SAN と同じシンプルな管理、効率的な運用をクラウドで実現します。

本記事では、2022年10月にプレビューリリースされた Azure Elastic SAN について概要、利用シーン、機能、価格、メリットについて解説します。

1. Azure Elastic SANとは?

概要

Microsoft は2022年10月に Azure 上で SAN をフルマネージドで提供する Azure Elastic SAN をプレビューリリースしました。オンプレミスでは、エンタープライズ向けアプリケーションのストレージとしてSANを用いたストレージが利用されるケースは珍しくありません。

従来、クラウドにおけるストレージサービスは DAS ( Direct Attached Storage )や NFS 、あるいはオブジェクトストレージであり、 SAN を前提としたミッションクリティカルな要件への対応に課題がありました。

Azure Elastic SAN はオンプレミスの SAN と同様に iSCSI でアクセスすることが可能です。最大で200万 IOPS 、3万2000 MB /秒のスループットを提供します。

さらにリージョン内の3つのゾーンで同期レプリケーションを行い、データの高可用性と耐久性を向上する構成が可能です。

Azure Elastic SANとは?

図版出典:クラウド Watchpublickey『マイクロソフト、「Azure Elastic SAN」プレビューリリース。iSCSIでアクセス可能なSAN(Storage Area Network)をマネージドサービスで提供』

用語解説

Azure Elastic SAN サービスの詳細、機能、メリットを解説する前にストレージに関連する用語を解説します。

SAN(Storage Area Network)

改めてですが、 SAN とは、ストレージと呼ばれるデータ記憶装置とコンピュータ間でデータをやり取りするための、高速伝送が可能な専用のネットワークです。ストレージエリアネットワーク( Storage Area Network )の頭文字から「 SAN 」と呼ばれています。

次にSANを構築する代表的な接続方式についての用語を解説します。

FC-SAN(Fibre Channel)

Fibre Channel は高速なデータ転送を実現する接続方式です。専用の機器やケーブルが必要で、比較的高価な接続方式です。

iSCSI(Internet Small Computer System Interface)

iSCSI とは、 IP ネットワークを利用して SAN を構築するプロトコル規格です。 Fibre Channel よりも低価格に SAN を構築できます。

次にストレージへ接続形態として代表的な用語を解説します。

DAS(Direct Attached Storage)

DAS とは、ダイレクトアタッチドストレージ( Direct Attached Storage )の頭文字の略語です。 SCSI などの接続方式により、サーバとストレージを 1 対 1 で接続した接続形態です。ネットワークを介さないため、スキルや知識がなくても簡単に導入・構築することが可能です。

NAS(Network Attached Storage)

NAS とは、ネットワーク上に接続することができるハードディスクです。ネットワークアタッチドストレージ( Network Attached Storage )の頭文字の略語です。 NAS はネットワーク( LAN )に接続され、1対多の接続が可能となり、複数のパソコンから同時に接続することが可能です。

次にストレージサービスの代表的なパフォーマンス指標を解説します。

IOPS (Input/Output Per Second)

IOPS とは、ストレージの性能指標の一つで、ある条件の元で 1 秒間に読み込み・書き込みできる回数のことであり、IOPS の値が高いほど高速にデータの読み書きができることを表します。

スループット

単位時間あたりの処理能力(データ転送量)であり、一定時間内にどれだけの量のデータを転送できるかということを表します。

2. Azure Elastic SANの機能について

ここまで説明した概要と用語を踏まえ、機能について解説します。

アクセス方式

Azure Elastic SAN は、フルマネージドの SAN をクラウドで提供するサービスであり、オンプレミスの SAN とクラウドサービスのメリットを組み合わせたサービスです。 Azure Elastic SAN ボリュームは、 iSCSI を使用してアクセスできるため、 IP ネットワーク経由での利用を実現しています。

広義ではインターネットを通じた NAS 形態のネットワーク構成となるが、以下の図のようにオンプレミスの SAN と連携し、データをボリューム間で共有し、スケーラブルで高い費用対効果、パフォーマンス、信頼性を実現するストレージソリューションです。

高いスループットを必要とするワークロードがある場合、仮想マシンのディスクスループットの限界がネックになります。例えば、仮想マシンの Standard E104is v5 は120,000 IOPS と 4,000 MBp /秒 に制限されています。 Azure Elastic SAN を使用すると、 IOPS に制限されない仮想ネットワーク帯域幅でスループットを向上させることができます。

Azure Elastic SANの機能について

図版出典:Microsoft 公式サイト

プロビジョニングについて

Azure Elastic SAN のストレージは基本容量または追加容量としてプロビジョニングすることが可能です。

Azure Elastic SAN は基本容量を TiB 単位で設定しプロビジョニングします。この基本容量を増やすと、 SAN の IOPS とスループット ( MB /秒) も向上しますが、追加容量としてプロビジョニングするよりもコストがかかります。そのためプロビジョニングにおいては、必要なストレージの量と必要なパフォーマンスのレベルを検討する必要があります。

基本容量と追加容量の組み合わせを使用して、該当する要件を満たすことで、コストを最適化することができます。例として、必要なストレージは100 TiB ですが、パフォーマンスとして250,000 IOPS および4,000 MB /秒だけでよい場合、基本容量を100 TiBとするのではなく、50 TiB の基本容量として、追加容量を50 TiB をプロビジョニングするなどの対応が可能です。

ボリュームについて

Azure Elastic SAN はプロビジョニングしたストレージからボリュームを作成します。ボリュームとはストレージの管理単位の一つで、オペレーティングシステムによって区切られた、ひとつながりの連続した記憶領域のことです。

ボリュームの最大パフォーマンスは、それぞれに割り当てられるストレージの量によって決まります。個々のボリュームの IOPS およびスループットは、すべてのボリュームの合計 IOPS およびスループットを超えることはできません。

暗号化について

Azure Elastic SAN に格納されるデータはすべて、 Azure Storage Service Encryption ( SSE )を使用して保存時にファイルシステムレベルで暗号化されます。 Microsoft マネージドキーを使用すると、 Microsoft によってデータの暗号化および暗号化解除のためのキーが保持され、定期的にローテーションが行われます。

Azure Elastic SAN 内のデータは、強固なブロック暗号の 1 つである 256 ビット AES 暗号化を使用し、 FIPS 140-2 にも準拠しています。暗号化はすべての Azure Elastic SAN に対して有効になっており、無効にすることはできません。データは既定で保護されているので、 SSE について追加コストは不要です。

Azure Storage 機能のサポート

図版出典:Microsoft 公式サイト

3. Azure Elastic SANの価格について

Azure Elastic SAN リソースは、時間単位で従量制課金です。また Azure Elastic SAN は基本容量(ベースユニット)または追加容量(スケールユニット)によって料金が異なります。少なくとも 1 TiB の 1 つのベースユニットでプロビジョニングする必要があります。

ベース ユニットの容量は 5000 IOP で、スループットは TiB あたり 80 MB /秒です。性能についてはベースユニットで設定します。一方、スケールユニットを使用すると、パフォーマンスをプロビジョニングせずに、容量のみがプロビジョニングできます。料金について詳しくは公式サイトにてご確認ください。

4.まとめ

本記事では Azure Elastic SAN の概要、機能、価格について解説しました。従来ミッションクリティカルなワークロードを実行しているオンプレミスの SAN アプライアンスをクラウドに移行するには多くの課題がありました。

Azure Elastic SAN はフルマネージド SAN をクラウドで提供するサービスです。オンプレミスの SAN の機能とクラウドサービスの利点を組み合わせたスケーラブルで高い費用対効果、パフォーマンス、信頼性を実現するストレージソリューションです。自社で設定・運用が難しい場合、詳細の導入に当たっては専門家への相談をお勧めします。

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Tag: Azure Elastic SAN

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