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リアルタイム通信はビジネスの成長に貢献する?Azureでの実現方法を解説
近年、 IT ・クラウド技術の進展によって、ビジネス環境は大きく変化しています。クラウドサービスが普及し、企業はコスト削減や効率化を図ることが容易になってきました。また、リアルタイム通信技術の発展により、迅速な情報共有が可能になったことがビジネス競争力の向上に寄与しています。
本記事では、リアルタイム通信の概要と、マイクロソフトが提供するクラウド、 Azure 上でリアルタイム通信を実現する Azure Web PubSub の概要、料金体系、および具体的な利用シーンについて解説します。
1. リアルタイム通信とは
リアルタイム通信により、インターネット上のサービスは大きく発展してきました。リアルタイム技術とはどのようなものでしょうか。まず、リアルタイム通信の概要について解説します。
リアルタイム通信技術とは

図版出典:Fresh Voice「WebSocketとは?WebSocketについて詳しく解説します」
リアルタイム通信技術は、インターネット上で情報を即時(リアルタイム)にやり取りする技術のことを指します。この技術の基盤となるのが「 WebSocket 」というプロトコルです。 WebSocket は、 HTTP とは異なるプロトコルで、サーバーとクライアント間で双方向通信を可能にします。 WebSocket により、リアルタイムでのデータの送受信が可能となります。
WebSocketとHTTPの違い
WebSocket と HTTP は、インターネット上でデータ通信を行うためのプロトコルです。しかし、その特性や目的には大きな違いがあります。 HTTP は、クライアント(通常は Web ブラウザ)がサーバーにリソースを要求し、サーバーがそのリソースを返すという一方向の通信を行います。このため、クライアント側からの要求がない限り、サーバーからの通信は発生しません。
一方、 WebSocket は、サーバーとクライアント間で双方向通信を実現するプロトコルです。WebSocket は、最初に HTTP 接続を確立し、その後、 WebSocket プロトコルによりサーバーとクライアントがリアルタイムで双方向にデータをやり取りできるようになります。
リアルタイム通信の利用シーン
リアルタイム通信技術の利用シーンは多岐にわたりますが、主な利用シーンは下記の通りです。
- チャットアプリケーション
- ダッシュボード
- 金融取引システム
チャットアプリケーション
チャットではユーザー同士でリアルタイムでのメッセージのやり取りが必要です。ユーザー間の双方向通信の実現のために WebSocket が利用されます。
ダッシュボード
ダッシュボードとは、複数の情報源からのデータを一覧表示し、ユーザーが重要な情報を簡単に把握できるよう作られたツールやインターフェースです。ダッシュボードでは、企業の管理画面やモニタリング画面で、リアルタイムでデータを更新・表示することが求められます。
金融取引システム
オンライントレードなどの金融取引システムにおいては、株価や為替レートなど、リアルタイムで変動するデータを取り扱う際にリアルタイム通信技術が活用されます。2. Azure Web PubSubとは
マイクロソフトでは、リアルタイム通信アプリケーションを簡単に開発できるよう、Azure Web PubSub というサービスを提供しています。ここでは、 Azure Web PubSub の概要について解説します。
Azure Web PubSubの概要

図版出典:MSpoweruser.com
Azure Web PubSub は、マイクロソフトが提供するクラウド、 Microsoft Azure のサービスのひとつで、 WebSocket を用いたリアルタイム通信を実現するためのサービスです。開発者が WebSocket API を簡単に利用できるように設計されており、短時間で WebSocket を利用したリアルタイム通信アプリケーションを実装することができます。
Azure Web PubSubの特徴
Azure Web PubSub の主な特徴は下記の通りです。
- 多様なクライアントとプログラミング言語をサポート
- 大規模なクライアント接続と高可用性アーキテクチャをサポート
- 他のAzureサービスとのシームレスな連携
多様なクライアントとプログラミング言語をサポート
Azure Web PubSub は、 Web ブラウザー、デスクトップアプリ、モバイルアプリ、サーバープロセス、 IoT デバイスなど、多様なクライアントに対応しています。また、標準の WebSocket 接続をサポートしているため、 WebSocket クライアントをさまざまな言語で容易に使用することができます。
大規模なクライアント接続と高可用性アーキテクチャをサポート
Azure Web PubSub は、大規模なリアルタイム通信アプリケーション向けに設計されています。複数のインスタンスが連携して動作でき、負荷に応じて自動的にスケールするスケーラブルで堅牢なインフラを提供しているため、数百万レベルの大規模なクライアント接続を行うアプリケーションにも対応できます。
他のAzureサービスとのシームレスな連携
Azure Web PubSub はマイクロソフトが提供する他のクラウドサービスとの連携も容易です。統合開発環境である Visual Studio や、 Azure Functions や Azure Logic Apps 、 Azure Cosmos DB など、他の Azure サービスとシームレスに連携することができます。これにより、より柔軟なアプリケーション開発が可能になります。
Azure Web PubSubの料金体系
Azure Web PubSub の料金体系は、無料( Free )と有料( Standard )プランが提供されており、それぞれのプランは、接続数、メッセージ数、データ転送量などのリソースに応じて異なります。
無料プランは最大接続数やメッセージ数が制限されており、小規模なプロジェクトや試用目的に向いています。有料( Standard )プランは、最大接続数やメッセージ数がかなり拡張された月額制となっており、中規模から大規模なプロジェクトに向いています。有料プランではメッセージを個別に購入することも可能です。
料金体系の詳細については下記 URL を参照してください。
- ※1 参考記事:
- Azure Web PubSub の価格
3. Azure Web PubSubの適切な利用シーン
Azure Web PubSub は、サーバーとクライアント間、またはクライアント同士で、リアルタイムな通信を必要とするシナリオに適しています。 Azure Web PubSub の適切な利用シーンについて下記の通り解説します。
- 頻繁にデータが更新されるシーン
- リアルタイムなダッシュボードと監視が求められるシーン
- ライブチャットが必要なシーン
頻繁にデータが更新されるシーン
Azure Web PubSub は、オンラインゲーム、投票やアンケート、オークションなど、リアルタイムに情報が変化・更新され、ユーザーに最新の状況を表示する必要があるケースに適しています。オンラインゲームのスムーズな進行や、投票やアンケート、オークションはリアルタイムに状況確認できることで、サービスの活性化につながります。
リアルタイムなダッシュボードと監視が求められるシーン
企業の経営状況や金融市場の動向、売上のリアルタイム表示などでは、情報がリアルタイムで更新されることが求められます。 Azure Web PubSub により、リアルタイムに経営状況や金融市場の情報を把握することが可能になるため、企業の経営層やマネージャー層の迅速な意思決定をサポートします。
ライブチャットが必要なシーン
チャット、チャットボット、オンラインカスタマーサポートなどでは、ユーザー間やユーザーとサポート担当者間でリアルタイムにコミュニケーションが行われます。 Azure Web PubSub により、スムーズなコミュニケーションと、それによる顧客満足度向上や購入意欲の向上が期待できます。
4. まとめ
本記事では、リアルタイム通信技術の概要と、 Azure Web PubSub の概要と特徴、主な利用シーンについて解説しました。 Azure Web PubSub を活用することで、サービスの向上と、それに伴うビジネスの成長を狙うことが可能です。ぜひ専門家の支援を受けながら、 Azure Web PubSub の導入を検討してみてください。
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Tag: Azure Web PubSub
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