Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞Azure Resource Moverとは？リージョン跨ぎのリソース移動をシームレスに行う方法を解説

リージョン間のリソース移動は災害復旧以外にもメリットがある？Azureでの方法を解説

近年、クラウドの普及により、多くの企業は、データの処理や保存、管理のために従来のオンプレミスからクラウドへとシフトしています。クラウドへ移行することにより、システムの柔軟性と効率性、コストメリットは大幅に向上していますが、クラウド移行は簡単ではありません。特に、複数の地域やリージョンにまたがるリソースの移動は複雑であり、スキルと時間を必要とします。

マイクロソフトが提供する Azure Resource Mover は、この課題を解決する方法のひとつです。本記事では、 Azure Resource Mover の概要、主な機能、メリット、利用シーンについて解説します。

1. Azure Resource Moverとは

システムをクラウドへ移行した後も、リソースの移動が必要となる場合があります。リソース移動を支援するサービスである Azure Resource Mover の概要について解説します。

Azure Resource Moverの概要

図版出典：imgur

Azure Resource Mover は、 Microsoft Azure のサービスの一つで、企業がクラウドリソースを一つの Azure リージョンから別のリージョンへ効率的に移動できるツールです。企業がビジネスの拡大や災害復旧など、様々なシチュエーションに対応するためにリソースを迅速かつ簡単に移動できるようにするために開発されました。

また、 Azure Resource Mover は、 Azure の全てのリージョンで利用可能で、グローバルにビジネスを展開する企業にとっては重要度の高いサービスとなっています。

Azure Resource Moverの主な機能

Azure Resource Mover の主な機能は下記の通りです。

• リソースの移動
• 移動の計画とトラッキング
• 一貫性のある操作体験

リソースの移動

Azure Resource Mover は、仮想マシン、データベース、ストレージアカウントなど、多種多様な Azure リソースを一つのリージョンから別のリージョンへ移動する機能を持っています。この機能により、企業はビジネスの需要に応じてリソースの配置を柔軟に変更できるようになります。

リソース移動を行う前に、テストを実行することも可能です。テストの結果に問題がある場合は移動を取りやめることも可能です。

移動の計画とトラッキング

図版出典：Microsoft公式サイト

Azure Resource Mover は、リソース移動計画の立案から進捗のトラッキングまで、移動プロセス全体を一元的に管理する機能を持っています。この機能により、リソースの選択と検証、準備、および移動と移動後のコミット、ソースの削除といったプロセスを一元的に管理し、スムーズにリソース移動が行われることを保証します。

一貫性のある操作体験

Azure Resource Mover は、リージョン間でのリソース移動を一元的に管理することが可能です。つまり、ユーザーは異なるリージョン間でリソースを移動させる際に、一つ一つのリージョンで個別に設定を行うような煩雑な操作をする必要がありません。全てのリージョンでのリソース移動を一つの管理画面から行うことができるため、効率的であり、ミスの発生を防ぐことが期待できます。

Azure Resource Moverの料金体系

Azure Resource Mover 自体の利用は無料です。ただし、移動に伴う費用が発生する場合があります。移動に伴う費用は、移動するリソースの種類や送信データ量などによって異なります。詳細な料金体系については、 Microsoft Azure の公式サイトを参照してください。

2. Azure Resource Moverのメリット

Azure Resource Mover の使用により、ユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、 Azure Resource Mover を導入するメリットについて解説します。

• クロスリージョンのリソース移動の効率化
• ダウンタイムの最小化
• セキュリティの維持
• コスト効率の向上

クロスリージョンのリソース移動の効率化

Azure Resource Mover を使用することで、リージョンを跨ったリソース移動が一元的に管理でき、シンプルかつ効率的に移動を実行することが可能になります。これにより、企業はビジネスの拡大や契約上の要求に応じてリソースの配置を柔軟に変更できるようになります。

ダウンタイムの最小化

Azure Resource Mover を利用すると、リソースの移動が効率的かつ迅速に行うことができるため、サービスのダウンタイムを最小限に抑えることができます。これは特に災害からの復旧や緊急のリソース再配置が必要な場合に有効です。

セキュリティの維持

Azure Resource Mover を利用すると、移動中のリソースも Azure のセキュリティ管理下にあるため、リソースのセキュリティを維持しながら移動を行うことが可能です。従来の手法ではリソース移動中にセキュリティが一時的に弱まる可能性がありましたが、 Azure Resource Mover ではその心配がなく、安全にリソースを移動することができます。

コスト効率の向上

Azure Resource Mover は無料で利用することができます。移動するリソースの種類や送信データ量などによって移動に伴うコストは発生しますが、従来の方法に比べて、 Azure Resource Mover を使用することで大幅なコスト削減が期待できます。

3. Azure Resource Moverの利用シーン

Azure Resource Mover は、リージョン間のリソース移動を簡単に実現するサービスですが、具体的にどのような利用シーンが想定できるのでしょうか。ここでは、 Azure Resource Mover の代表的な利用シーンについて解説します。

• 災害復旧
• ビジネス展開への対応
• データ所在地要件の充足
• リージョン利用停止時の対応
• パフォーマンスの最適化

災害復旧

大規模な災害が発生した際、 Azure Resource Mover を使用することで、リソースを被災地から安全なリージョンへ迅速に移動させることが可能です。これにより、災害復旧を迅速に行うことができ、ビジネスのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

ビジネス展開への対応

新たな市場へビジネスを展開する際、 Azure Resource Mover を使用することで、必要なリソースを新たなリージョンへ効率的に移動することができます。これにより、新規ビジネスの展開を迅速かつスムーズに行うことが可能となります。

データ所在地要件の充足

特定の国や地域でビジネスを行う際、データをその地域内に保持することが法律で要求されることがあります。 Azure Resource Mover を使用すれば、データを指定のリージョンに容易に移動させることができ、法的な要件を満たすことができます。

リージョン利用停止時の対応

特定のリージョンが何らかの理由で利用できなくなった場合、 Azure Resource Mover を使用して他のリージョンへリソースを迅速に移動させることが可能です。これにより、リージョン利用停止時でもサービスの継続性を保つことができます。

パフォーマンスの最適化

Azure Resource Mover を使用すれば、リソースをユーザーやクライアントに近いリージョンへ移動させることが可能です。これにより、データの送受信時間が短縮され、アプリケーションのパフォーマンスを最適化することができます。

4. まとめ

本記事では、 Azure Resource Mover の概要とメリット、主な利用シーンについて解説しました。 Azure Resource Mover を活用することで、災害復旧だけでなく、今後のビジネス展開や、データ主権などに対する法的要件を満たすことにも役立ちます。ぜひ専門家の支援を受けながら、 Azure Resource Mover の利用を検討してみてください。

Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

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