Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Managed Lustreとは?高性能ファイルシステムを解説

Category: 入門編

2023.07.06

Azureで実現するクラウドベースの高性能ストレージソリューション、Azure Managed Lustreの概要と導入するメリットについて解説

ハイパフォーマンスコンピューティング ( HPC ) および AI ワークロードには、大容量で高速なファイルシステムが必要不可欠です。 Azure Managed Lustre は、これらに対応するクラウドベースの高性能ストレージソリューションを指します。

本記事では、 2023 年 3 月に Microsoft からパブリックプレビューとして公開された Azure Managed Lustre の概要やメリット、利用方法について詳しく解説します。

1. Azure Managed Lustreとは

Azure Managed Lustre は、 Azure 上で Lustre を作成・管理できるサービスです。 まず、 Lustre と Azure Managed Lustre の概要について解説します。

Lustre とは

Lustre とは、ハイパフォーマンスコンピューティング( HPC )向けに設計された大規模なストレージサイズにスケーリングできるオープンソースの並列ファイルシステムです。Lustre は世界最速のスーパーコンピュータや、さまざまな業界のデータ中心のワークフローで使用されており、ハイパフォーマンスなファイルシステムを提供しています。

並列ファイルシステムとは

並列ファイルシステムとは、複数のストレージデバイスやサーバーでデータを分散保存し、同時にアクセス・処理を行うファイルシステムの一種です。

通常のファイルシステムは単一のデバイスやサーバーによって制御され、データの読み書きはそのデバイスやサーバーによって直列的に行われます。

しかし、この通常のファイルシステムでは大規模なデータセットや高負荷なワークロードを処理する場合、処理能力やストレージ容量が不足することがあります。このようなケースでは、処理を並列化することで高い性能を実現する並列ファイルシステムが適しています。

Azure Managed Lustreとは

Azure Managed Lustre は、ハイパフォーマンスコンピューティング( HPC )と AI ワークロード用に構築された、従量課金制のマネージドファイルシステムです。 Azure 上で Lustre を作成・管理することが可能で、クラウドの制御と一貫性を備えた高性能ストレージを提供します。

Lustre をマネージドサービスとして利用できるため、ユーザーは高度な並列ファイルシステムを管理する手間が必要ありません。 HPC および AI アプリケーションの構築と実行に集中することができます。

Azure Managed Lustre は現在プレビュー期間中で、料金は発生しません。サービスの一般提供が開始されると、従量課金モデルに移行されます。

2. Azure Managed Lustreのメリット

では、 Azure Managed Lustre の具体的なメリットについて、以下に解説します。

運用の簡略化

Azure Managed Lustre はマネージドサービスのため、ユーザーはインフラの設定や管理に費やす時間とリソースを削減することができます。また Azure Portal や Azure CLI を使用して、高度な知識がなくても簡単に Lustre ファイルシステムをプロビジョニング、セットアップ、監視することが可能です。

コストの削減

Azure Managed Lustre は、必要なストレージ容量やパフォーマンスレベルに応じて柔軟にスケーリングできます。これにより、過剰なリソースの購入や未使用の容量の無駄な支払いを避けることが可能です。

また Azure Managed Lustre と Azure Blob の間でデータをインポートおよびエクスポートできます。そのため、よく使用するデータは Azure Managed Lustre クラスターにインポートし、残りを Azure Blob にアーカイブすることで実行時のコストを低く抑えられます。

複雑なメンテナンスが不要

Azure Managed Lustre には、 Microsoft の包括的なセキュリティとコンプライアンスが組み込まれているため、要件を満たすための計画やメンテナンスが不要、もしくは大幅に軽減できます。

さらにバージョンアップやパッチ適用など、管理タスクの多くを Azure が請け負うため、ユーザーのメンテナンス負荷も軽減することが可能です。

3. Azure Managed Lustreの利用方法

Azure Managed Lustre 利用方法について解説します。

Azure portalでファイルシステムを作成する

Azure portal にサインインし、ファイルシステムを作成します。

1. Azure portal にサインインします。

2. 「 Azure Managed Lustre 」と検索し、 [ Azure Managed Lustre ] ブレードで[ + Create] を選択します。

3. 作成ウィザードで必要な情報を入力します。

  • プロジェクトの詳細
  • ファイルシステムの詳細
  • ネットワーク
  • 詳細設定

<プロジェクト詳細設定画面>

プロジェクト詳細設定画面

図版出典:Microsoft公式サイト

4. [ディスク暗号化キー] のタブで、Azure Key Vaultの情報を設定すると、暗号化キーを管理できます。オプションのため、不要な場合はこのステップを省略します。

<ディスク暗号化キー設定画面>

ディスク暗号化キー設定画面

図版出典:Microsoft公式サイト

5. [確認と作成]タブで設定を確認して検証を行います。検証に成功したメッセージが表示されたら、[作成] を選択するとファイルシステムの作成が開始されます。

4. まとめ

Azure Managed Lustre は、 Azure 上で HPC 向けの高性能な並列ファイルシステム Lustre を作成・管理できるサービスです。 運用の簡素化やコストの軽減など、さまざまなメリットを得ながら HPC や AI ワークロード向けの高性能ストレージソリューションを利用できます。

今後さらに活発になってくるであろう HPC および AI アプリケーションの構築と実行に向けて、プレビュー期間中の今、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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Tag: Azure Managed Lustre

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