Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Power BIをアプリケーションに組み込むPower BI Embeddedについて解説します!

Category: 入門編

2023.08.10

Power BI Embeddedの概要、基本機能、Power BIや他ライセンスとの機能の違い、導入について解説

近年、企業は大量のデータを意思決定に活用しています。そこで注目されているのが Power BI です。 Power BI は、リアルタイムデータストリームの受信やデータの自動更新などリアルタイムなデータ分析を可能にするツールです。

さらに Power BI には Power BI Embedded という、自社のアプリケーションやウェブサイトに Power BI を組み込むためのプラットフォームソリューションが用意されています。

本記事では、この Power BI Embedded に注目し、概要、基本機能、 Power BI や他ライセンスとの機能の違い、導入について解説します。

1. Power BI Embeddedの概要

Power BI Embedded は、 Power BI の機能を自社のアプリケーションやウェブサイトに組み込むための柔軟なプラットフォームです。 Power BI のパワフルなデータ可視化と分析機能を利用し、独自のアプリケーション内でデータを視覚化し、ユーザーにインサイトソリューションを提供することで、ユーザーエクスペリエンス向上に役立つ機能です。

また Power BI の機能を埋め込んで利用することから、 Power BI が持つデータの独立性を担保でき、適切な設定によってセキュリティ向上も期待できます。

Power BI Embedded は、特にアプリケーションをコーディングしている開発者やソフトウェア企業、独立系ソフトウェアベンダー ( ISV )にとって大変有用なツールと言えるでしょう。

前提となるPower BIについて

Power BI は、 Microsoft によって開発されたビジネスインテリジェンス( BI )ツールです。 Power BI は、データの可視化、分析、および共有を容易にするための包括的なソリューションを提供します。

Power BI は、データベース、 Excel ファイル、クラウドサービス、オンプレミスデータソースなどさまざまなデータソースからデータを取り込むことができます。データを取り込んだ後、データを変換、モデル化し、視覚的に魅力的なレポートやダッシュボードを作成するためのツールを提供します。

Power BI Embedded を利用することで、アプリケーションに対し、この Power BI を埋め込むことができるようになるのです。

Power BI Embeddedの位置づけ(ライセンスについて)

まず前提として Power BI はユーザー単位、容量単位のライセンスが存在します。

Power BI Pro

組織全体でインサイトを共有し、共有・共同作業を目的とした企業組織向けライセンスです。

Power BI Premium Per User

企業組織内の各ユーザーにライセンスを付与して、高度な AI によるインサイト取得の促進、ビッグ データのセルフサービス データ準備の導入、エンタープライズ規模のデータ管理とアクセスの簡素化を実現可能なライセンスです。

Power BI Premium Per Capacity

企業組織単位でライセンスを付与する Power BI Premium ライセンスです。

ここまで紹介した Power BI ライセンスは Microsoft 365 管理センターで購入できるライセンスであるのに対し、 Power BI Embedded は Azure ポータルで作成する Azure リソースであることから、 Azure サブスクリプションの購入が必要となります。

また Power BI Embedded を利用するためには Power BI Pro アカウントが必要です。つまり、 Power BI Pro アカウントを保有する組織ユーザーが Azure のセットアップを行う必要があることから、Power BI Embedded は利用要件上、個人向けのアカウントには対応していません。

Power BI の埋め込み機能にフォーカスして比較するとライセンスごとに以下のような違いがあります。

Power BI Embeddedの概要

図版出典:slideshare「Power BI をアプリに埋め込みたい? ならば Power BI Embedded だ!」

Power BI Embedded の立ち位置としては、企業組織向けのサービスであり、Azure サブスクリプションが必要であることから従量制課金、そしてアプリケーションへの埋め込みに特化していることがわかります。料金体系については公式サイトをご参照ください。

2.Power BI Embeddedのメリット

BI の領域は専門的な知識が求められますが、 Power BI Embedded を利用することによって BI の部分を開発者は考慮することなく、アプリ本体の開発に注力することが可能となります。その逆もあり、 BI 担当者が開発環境を考慮することなく BI に注力することができるようになります。

さらにアプリケーションに BI を埋め込むことによって、ライセンスを保有していない利用者にも BI サービスを閲覧することができ、アプリとの API 連携も可能であることから、アプリの UI として操作ボタンを配置することで Power BI を操作することもできるようになります。

Power BI Embeddedのメリット

図版出典:DataSavvy

3. Power BI Embeddedの利用開始手順

ここからは Power BI Embedded を利用開始するまでの導入手順について重要なポイントに絞って解説します。

手順1:組み込みソリューションの認証方法を選択する

Power BI Embedded のような埋め込みソリューションは、サービスプリンシパルか、マスターユーザーかによって必要な情報が異なります。そのため、まずは認証方法を方針として決める必要があります。それぞれの違いは以下の通りです。

サービスプリンシパル方式

Azure AD で Power BI に対して、事前に登録したアプリケーション ID などの情報を使い、 Power BI への認証を行う方法です。

マスターユーザー方式

Power BI ユーザーの資格情報(ユーザー名とパスワード)を使用して、 Power BI に対して認証を行う方法です。

手順2: Azure AD にアプリケーションを登録する

Azure AD はセキュリティの観点から登録したアプリケーションに対し認証やアクセス管理を行っています。サービスプリンシパル方式で利用するために設定は必須です。

Azure AD にアプリケーションを登録することで、一意のアプリケーションID が取得できます。アプリケーション ID は証明書もしくはクライアントシークレットによって認証され、 Power BI REST API にアクセスできるようになります。

Power BI Embeddedの利用開始手順-手順2: Azure AD にアプリケーションを登録する

図版出典:Microsoft公式サイト

手順3:Power BI Service でアプリ用ワークスペースを作成する

Power BI により作成されたレポート、ダッシュボードなどの情報をアイテムとして埋め込むことになりますので、これらアイテムを保持するためのワークスペースを作成します。

手順4:レポートを作成して発行する

Power BI Desktop を使用して独自レポートを作成し、ワークスペースに発行します。ワークスペースにはほかにもGitHubから入手したサンプルレポートをアップロードすることも可能です。Power BI Service画面でレポートが表示されたら次の手順を行います。

Power BI Embeddedの利用開始手順-手順4:レポートを作成して発行する

図版出典:Microsoft公式サイト

手順5:埋め込みパラメーターを取得する

コンテンツを埋め込むために、以下の特定のパラメーター値を取得する必要があります。サービスプリンシパル認証方法、マスターユーザー認証方法、それぞれ使用する認証方法によって必要な値は異なります。

パラメーター サービス プリンシパル マスター ユーザー
×
Node JS の場合のみ必要
×
×

手順6:ワークスペースへのアクセスを有効化する

利用しているワークスペースに対しサービスプリンシパル認証方式、またはマスターユーザー認証方式を追加する必要があります。 Power BI へログインしアクセスの設定を行います。

Power BI Embeddedの利用開始手順-手順6:ワークスペースへのアクセスを有効化する

図版出典:Microsoft公式サイト

手順7:コンテンツを埋め込む

Power BI の埋め込みサンプルアプリケーションなどを使用し Power BI 埋め込みアプリを作成します。 GitHub からサンプルを入手することができます。 Power BI Embeddedの利用開始手順-手順7:コンテンツを埋め込む

図版出典:GitHub – microsoft / PowerBI-Developer-Samples

以上、 Power BI Embedded を利用開始するまでの導入手順です。重要なポイントに絞って紹介しました。細かい部分については公式サイトのチュートリアルをご参照下さい。

4.まとめ

Power BI Embedded は、Power BI の機能をアプリケーションやウェブサイトに埋め込むためのプラットフォームであり、将来的にはさらなる機能の拡張が期待されています。

Power BI のパワフルなデータ可視化と分析機能を利用し、独自のアプリケーション内でデータを視覚化し、ユーザーにインサイトソリューションを提供することができることから、特にアプリケーションをコーディングしている開発者やソフトウェア企業、独立系 ISV にとって大変有用なツールと言えるでしょう。

また今後も AI との統合が進み、データの洞察を深めるための高度な機能が追加されることが期待されています。

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Tag: Power BI Embedded

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