Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Stack Edgeとは?エッジコンピューティングの基礎とAzureにおける実現方法を解説

Category: 入門編

2023.09.01

リアルタイムに近い、高パフォーマンスを出す方法とは?Azureでの実現方法を解説

デジタル化が進む現代のビジネスシーンでは、リアルタイムのコラボレーションとセキュリティの課題を抱えています。この課題の解決策として、マイクロソフトでは Azure Stack Edge というサービスを提供しています。

Azure Stack Edge は、エッジコンピューティングの技術を活用して、データの処理をネットワークの末端で行うことが可能なサービスです。レイテンシーの削減からセキュリティリスクの低減、さらには災害リスクの軽減など、多岐にわたるメリットを提供しており、企業のオンプレミス環境におけるクラウドサービスの効果的な管理を実現します。

本記事では、エッジコンピューティングの考え方と、 Azure Stack Edge の概要と料金体系、代表的な利用シーンまでを解説します。

1. エッジコンピューティングとは

最近、さまざまな場面でエッジコンピューティングという言葉を耳にするようになりましたが、エッジコンピューティングとはどのようなものでしょうか。まず、エッジコンピューティングの概要とメリットについて解説します。

エッジコンピューティングの概要

エッジコンピューティングの概要

図版出典:NECソリューションイノベータ ビジネスコラム

エッジコンピューティングとは、コンピューターネットワークの「エッジ」、つまりネットワークの外部や末端部でデータの処理を行う技術のことを指します。

従来、データは中央にあるデータセンターやクラウドの中で処理されることが一般的でした。例えば、スマートフォンのアプリからリクエストが送られると、そのリクエストは遠く離れたデータセンターやクラウドにあるサーバーで処理され、結果がスマートフォンに返される流れが普通でした。

エッジコンピューティングでは、この処理をデータが生成される場所、またはそれに近い場所で行います。そのため、リアルタイムに近い形の処理が可能となります。エッジコンピューティングは、クラウドコンピューティングと組み合わせて利用されることも多く、効率的かつ高パフォーマンスなシステム構築を可能にしています。

エッジコンピューティングのメリット

エッジコンピューティングによるメリットは下記の通りです。

  • レイテンシー(遅延)の削減
  • 帯域幅の節約
  • セキュリティリスクの低減
  • 災害リスクの低減

レイテンシー(遅延)の削減

エッジコンピューティングは、データをエッジ(ネットワークの外部・末端部)で処理します。そのため、中央のデータセンターやクラウドへのデータ送受信にかかる時間が減少し、リアルタイムに近い速度でデータの処理が可能になります。

帯域幅の節約

エッジコンピューティングでは、大量のデータをエッジで処理します。そのため、不要なデータの転送が減少し、ネットワーク全体の帯域幅の消費が抑制されます。

セキュリティリスクの低減

エッジコンピューティングはセキュリティ強化にも寄与します。エッジで処理を行うことにより、機密データがネットワークを通過することなくローカルで処理されるため、セキュリティが強化されます。

災害リスクの低減

重要なデータをエッジで処理することで、中央のデータセンターやクラウドで大規模な災害が発生してシステムが停止しても、最低限の業務継続ができる可能性があります。

2. Azure Stack Edgeとは

クラウドでエッジコンピューティングを実現するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、 Azure でエッジコンピューティングを実現するためのサービス、 Azure Stack Edge の概要と料金体系について解説します。

Azure Stack Edgeの概要

Azure Stack Edgeの概要

図版出典:Microsoft公式サイト

Azure Stack は、 Azure のクラウドプラットフォームを企業のオンプレミス環境で利用できるようにするためのサービスです。Azure が提供するハードウェアを自社のデータセンター内へ持ち込むことで、社内で Azure のサービスを利用・運用できるようになります。

これにより、クラウドとオンプレミスのハイブリッドな環境を効果的に管理することができます。

Azure Stack Edge は、 Azure Stack の一部として、エッジコンピューティングのニーズに対応する製品です。 Azure Stack Edge を社内に設置することで、データの生成元に近い場所での処理が可能となり、リアルタイム分析、 AI 処理など、高いパフォーマンスが要求される処理をエッジ上で行うことができます。

これにより、レイテンシーの削減、帯域幅の最適化、データのセキュリティ向上など、エッジコンピューティングのメリットを享受することができます。

Azure Stack Edgeの料金体系

Azure Stack Edge の料金体系は、月単位のサブスクリプション料金を基本としています。

Azure Stack Edge は、 Pro と Mini の 2 シリーズ展開されており、 Pro シリーズはさらに Pro 、 Pro2 、 Pro R に分かれています。それぞれのシリーズと、採用するリソース量に応じてサブスクリプション料が変わってきます。

Azure Stack Edge の料金体系の詳細は公式サイト(※1)を参照してください。

3. Azure Stack Edgeの主な利用シーン

Azure Stack Edge は処理をエッジで行うことでリアルタイムに近い形で高パフォーマンスの処理を実現します。ここでは、 Azure Stack Edge の具体的な利用シーンについて解説します。

機械学習とリアルタイム分析

Azure Stack Edge を使用することで、エッジ上での機械学習モデルの実現が可能になります。データをクラウドへ送信することなく現地で処理するため、分析処理にかかる遅延が大幅に削減され、帯域幅も節約されます。

さらに、現場の条件に応じた機械学習モデルの調整や最適化が素早く行えるため、非常に相性が良いと言えます。工場の製造ラインなどでの欠陥検出が一例として挙げられます。

IoTデバイスの集中管理

IoT デバイスは増加の一途を辿っており、大量のデバイスの管理とセキュリティ確保が大きな課題となっています。 Azure Stack Edge を使用することで、 IoT デバイスの設定、監視、更新などを一元的に管理し、エッジレベルでのセキュリティポリシーの適用と監視によりデバイスの保護が強化されます。

さらに、 IoT デバイスから生成される大量のデータをエッジで処理し、重要な情報だけをクラウドへ送信することで処理や運用の効率化とセキュリティの向上の両方が実現できます。

エッジとリモートサイトでのコンピューティング

リモートサイトやエッジでのコンピューティングとは、データ処理が中央データセンターやクラウドではなく、エッジデバイスや遠隔地域で実行される方式で、エッジコンピューティングの代表的な利用シーンと言えます。

例えば、船舶や鉱山といった遠隔地や、油田、軍事基地、災害現場など、通信の遅延や、頻繁な通信断が問題となりうる場所で特に有効です。Azure Stack Edge はインターネット接続が不安定な場所でもエッジデバイス上でのデータ処理が可能で、オフラインコンピューティングが実現できます。

さらに、リモートサイトでのデータ処理によりクラウドとの通信遅延を減らし、オフライン作業後にクラウドとデータを同期することが可能です。

4. まとめ

本記事では、 エッジコンピューティングの概要と、 Azure Stack Edge の概要と利用シーンについて解説しました。 Azure Stack Edge により、クラウドでエッジコンピューティングを簡単かつ迅速に実現できます。ぜひ専門家の支援を受けながら導入を検討してみてください。

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Tag: Azure Stack Edge

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