目次
あらゆるデバイスで高品質なグラフィックとリアルタイムのMixed Realityを実現
Azure Remote Rendering は、高品質な 3D コンテンツをクライアントデバイスへリアルタイムでストリーミングするサービスです。この革新的なテクノロジーは建築・製造業界やゲーム業界をはじめ、あらゆる場で活用されています。
この記事では、 Azure Remote Rendering の概要からメリット、活用方法、料金体系まで詳しく解説します。
1. Azure Remote Rendering とは
Azure Remote Rendering とは、高密度・高解像度の 3D コンテンツをクライアントデバイスに短時間でストリーミングできるサービスです。
Azure 上の仮想マシンで 3D モデルをレンダリングして、 HoloLens 2 などの Mixed Reality (複合現実)デバイスにビデオストリーミングします。そのためクライアントデバイスに高い性能がない場合でも、ユーザーに高品質なグラフィックや視覚体験を提供することが可能です。
リモートレンダリングとは
そもそもレンダリングとは、何らかの抽象的なデータに対して処理や演算を行って画像や映像、音声などを生成する技術のことです。特にデータ量の多い 3D モデルのレンダリングには膨大な計算コストを要します。
リモートレンダリングは、ユーザーが視聴に使用するデバイス内ではなく、クラウドサーバー上でレンダリングを行い、その結果をデバイスへ転送する仕組みです。この仕組みから、リモートレンダリングには 3D モデルのデータ量に依存せずにさまざまなデバイスで表示できるメリットがあります。

図版出典:アジア航測株式会社 技術紹介資料
Mixed Reality (複合現実)とは
Mixed Reality (複合現実)とは、現実世界の中に 3D やホログラムなどの仮想世界を複合・融合させてリアルタイムで相互にシンクロさせる技術のことです。特殊なカメラやセンサーが搭載されたヘッドセットなどを装着することで、現実と仮想の空間を重ね合わせて同時に体験することができます。
このMRデバイスの代表的な製品として Microsoft 社が提供する HoloLens 2 があります。 Azure Remote Rendering は、この HoloLens 2 にもストリーミングでき、新たな体験を提供します。

図版出典:Microsoft公式サイト
2. Azure Remote Rendering のメリット
Azure Remote Rendering の具体的なメリットについて解説します。
高品質なグラフィックとリアルタイムの視覚体験
Azure Remote Rendering は、データ量の多い 3D モデルでもクラウド上でレンダリングを行うため、デシメーション(データの間引き処理)を行ったり品質を犠牲にしたりすることなく最高品質の 3D モデルをリアルタイムで表示・操作できます。
デバイスの性能に制限されない
HoloLens 2 などのデバイスによっては、複雑な 3D モデルをレンダリングするための計算能力が搭載されていないことも多いです。 Azure Remote Rendering はリモートレンダリングの仕組みによって、エンコードしてターゲットデバイスへストリーミングするため、数百万ポリゴンの 3D モデルでもデバイスの性能に関係なく短時間で表示できます。
ハイブリッドレンダリング
多くのアプリケーションではユーザーに機能を提供するために複雑なモデルをレンダリングするだけでは不十分で、カスタム UI が必要になります。しかし、 Azure Remote Rendering では専用の UI フレームワークの使用が必須ではなく、 SDK (ソフトウェア開発キット)を使用することで Mixed Reality アプリを簡単に拡張することが可能です。
3. Azure Remote Rendering の活用
Azure Remote Rendering を実際に活用するためのポイントについて解説します。
対応デバイス
現在は Microsoft が提供する HoloLens 2 と Windows 10 の PC がサポートされています。また、 2023 年 6 月 22 日から Meta 社による VR ヘッドセット「 Meta Quest 2 」と「 Meta Quest Pro 」でも利用可能になりました。
対象となるユーザー
高品質な 3D コンテンツを利用する機会のある方なら誰でも Azure Remote Rendering を活用することで大きなメリットを得られます。建築・製造業界の設計やレビュー、医療業界での手術計画など、詳細情報が求められるあらゆる場面で活用することが可能です。
Azure Remote Rendering の活用事例
ある企業では、 Azure Remote Rendering を活用して、ポリゴン数の多い 3D CAD データの可視化と共有を実施しています。これまでの建設データは容量が大きく、一度に 1 フロアしか表示できませんでした。 Azure Remote Rendering を導入した現在では、 HoloLens 2 で建物全体を一度に表示できるようになっています。
4. Azure Remote Rendering の料金体系
Azure Remote Rendering の料金は提供される性能によって変動するため、利用シーンに合わせて選択します。東日本リージョンでの料金は以下のとおりです。
操作 | 料金 | 詳細 |
---|---|---|
Standard Remote Rendering | ¥937.102/時間 | 8 テラフロップのグラフィックス コンピューティング能力を提供。小〜中規模なシーン向け。最大 2,000 万ポリゴンまでのシーンをレンダリング可能。 |
Premium Remote Rendering | ¥4,889.227/時間 | 42 テラフロップのグラフィックス コンピューティング能力を提供。大規模なシーン向け。数百以上のポリゴンのシーンをレンダリング可能。 |
アセット変換 | 100 無料トランザクション/月 ¥105.372/アセット |
ソース FBX または GLTF ファイルを、リモートレンダリングに最適な形式に変換。レンダリングする各 3D モデルにつき 1 回必要。 |
5. まとめ
Azure Remote Rendering は、高品質な 3D コンテンツをクライアントデバイスに短時間でストリーミングして表示できるサービスです。リモートレンダリングによって、クライアントデバイスに高い性能がない場合でも、品質を犠牲にせずに高解像度の視覚体験を提供できます。
この画期的なテクノロジーはあらゆる場面で活用され始めています。より迅速でスマートな意思決定や、設計・レビューの効率化、新たな価値の創造などが期待できるでしょう。ビジネスを加速させるため、 Azure Remote Rendering を導入されてみてはいかがでしょうか。
Azure の導入を相談したい


資料ダウンロード
課題解決に役立つ詳しいサービス資料はこちら

-
-
Azure導入支援・構築・運用サービス総合カタログ
Microsoft Azure サービスの導入検討・PoC、設計、構築、運用までを一貫してご支援いたします。
Azure導入・運用時のよくあるお悩み、お悩みを解決するためのアールワークスのご支援内容・方法、ご支援例などをご確認いただけます。
-
Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

よく読まれる記事
- 1 Microsoft Entra IDとは? オンプレAD、Azure ADとの違いや機能、エディション、移行方法をわかりやすく解説2024.04.05
- 2 Microsoft Purviewとは?概要や主な機能、導入するメリットを解説2023.09.11
- 3 Azure Bastionとは?踏み台による仮想マシンへのセキュアな接続方法について解説2022.05.12
- 4 Azureネットワークセキュリティグループ(NSG)とは?特徴や設定時の注意点を解説2021.04.28
- 5 VDIに必要なWindows VDAライセンスとは?費用感、ライセンスの考え方について解説します!2022.08.10
Category
Contactお問い合わせ
お見積もり・ご相談など、お気軽にお問い合わせください。