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AVDのコスト最適化とは?適切なライセンスとリソースの選択方法について解説!
現代のビジネス環境は、これまでとは従業員の働き方が大きく変わっています。リモートワークの普及やグローバルなチームワークの重要性が高まる中、企業はいかにして効率的にチームを運営し、生産性を高めるかが重要な課題となっています。
このような背景のもと、 Microsoft の Azure Virtual Desktop ( AVD )は、場所を選ばずにセキュアなデスクトップ環境を提供することで、企業の働き方を支援する有力なソリューションとして注目されています。しかし、 AVD を最大限に活用するためには、適切なライセンスの選択と管理が不可欠です。
本記事では、 AVD に必要なライセンスの種類とその料金モデル、さらには企業がビジネスを行う上で意識すべきライセンス選択のベストプラクティスと管理ポイントについて解説します。
1. AVDのライセンスとは
Azure Virtual Desktop ( AVD )を導入するには、まず AVD のライセンスについて知る必要があります。ここでは、 AVD のライセンス体系と付随する Azure リソースについて解説します。
ライセンスと料金の詳細については、 Azure の公式サイト(※1)を参照してください。
AVDの基本ライセンス

図版出典:Joshisu Man(情シスマン)
AVD を使用するためには、 AVD そのもののライセンスが必要です。これは AVD サービスの基盤(コントロールプレーン)を利用するために最低限必要となるライセンスです。
Windows10/11 Enterpriseの場合(マルチセッション含む)
下記に示すユーザーあたりのライセンスのいずれかを保持している場合、 AVD を利用することができます。 Microsoft 365のライセンスだけでなく、下記に示す Windows 標準ライセンスでも利用可能です。
- Microsoft 365 E3/E5
- Microsoft 365 A3/A5/Student Use Benefits
- Microsoft 365 F3
- Microsoft 365 Business Premium
- Windows 11 および Windows 10 Enterprise E3/E5
- Windows 11 および Windows 10 Education A3/A5
- Windows 11 および Windows 10 VDA Per User
Windows Server 2016/2019/2022の場合
下記に示すライセンスのいずれかを保持している場合、 AVD を利用することができます。
- ソフトウェア アシュアランス( SA )付き RDS CALライセンス
- RDS ユーザーサブスクリプションライセンス
AVDに必要なAzureリソース

図版出典:Joshisu Man(情シスマン)
AVD を使用するには、 AVD が動作するために、下記に示す Azure インフラリソースが必要です。 AVD を構築する際にこれらのインフラリソースを準備しておく必要があります。
- 仮想マシン
- ストレージ( OSイメージ、データ、ユーザープロファイル等の格納)
- ネットワーク
必要に応じて購入するライセンス
AVD に機能を追加したい場合、 Azure 上で別の製品のライセンスを組み合わせて使用することが可能です。
AVD上でOfficeを利用する場合
AVD の仮想マシン上で Office を利用する場合は、 AVD に加え Office の利用ライセンスが必要です。下記に示す Microsoft 365ライセンスは、 AVD と Office の両方が利用可能です。
また、 Microsoft 365 Apps for Enterprise を購入することで、 Office のサブスクリプション版を利用することができます。
- Microsoft 365 E3 / E5
- Microsoft 365 A3 / A5 / Student Use Benefits
- Microsoft 365 F3( Web 版、モバイル版のアプリのみ)
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 Apps for Enterprise
AVDのセキュリティ強化を行う場合
条件付きアクセスなど、 Microsoft Entra ID による高度なセキュリティ機能を利用する場合は下記のライセンスが必要です。
- Microsoft Entra ID P1/P
- ※1 参考記事:
- Azure Virtual Desktop の価格
2. AVDのライセンスと料金モデル
ここまで解説した通り、 AVD を利用するには必要なライセンスと Azure インフラが必要です。ここでは、 AVD のライセンスおよび Azure リソースの料金モデルについて解説します。
AVDのライセンスコスト
AVD を利用する際にかかるコストは大きく分けて、 AVD のライセンスコストと Azure リソースの消費コストの 2 つから成り立っています。 AVD のライセンスコストは、前述した Microsoft 365 または Windows 標準ライセンスに含まれます。したがって、これらのライセンスを購入する場合は、 AVD を追加購入することなくそのまま利用することができます。
Azureリソース消費コスト
Azure リソース消費コストとは、 AVD を提供するために必要な Azure のインフラサービス(仮想マシン、ストレージ、ネットワークなど)の使用に基づく料金です。これらは使用量に応じて課金され、一般的には、 AVD (セッションホスト)が使用する仮想マシンコストが主要部分を占めることになります。
仮想マシンコストは、仮想マシンの種類や使用するストレージ、ネットワーク帯域幅によって変動します。仮想マシンの料金体系には下記のようなものがあります。
従量課金
従量課金とは、 Azure の最も一般的な料金体系で、 Azure Virtual Machineを利用した(=起動している時間)分だけ料金を支払う仕組みです。分単位(秒切り捨て)の課金となり、停止している間は課金されません。
事前予約インスタンス(Azure Reserved Virtual Machine Instances)
事前予約インスタンスとは、予めまとまった期間を利用することを宣言した場合に割引が適用される仕組みです。 1 年間または 3 年間予約して利用する場合、従量課金制の価格と比べて最大 72% の割引が適用(※2)されます。
節約プラン(Azure Saving Plan)
節約プランとは、事前予約インスタンスと同様、利用に対して 1 年間または 3 年間のコミットメントをすることで割引を受けることができるプランです。
ただし、事前予約インスタンスは特定の仮想マシンインスタンスを対象としていることに対して、節約プランはより広範な Azure サービスを対象としています。使用するコンピューティングリソースの量に基づいて割引を行うことで、最大 65% の割引が適用(※3)されます。
- ※3 参考記事:
- コンピューティングのための Azure節約プラン
3. AVDライセンス選択のベストプラクティスと管理ポイント
AVD ライセンスを選択する際は、 AVD のライセンスが含まれる Microsoft 365 のライセンスと、 Azure リソース消費コストの両面で検討する必要があります。最後に、 AVD ライセンス選択のベストプラクティスと管理ポイントについて解説します。
AVDライセンス選択のベストプラクティス
AVD ライセンスを選択する際は下記に示す観点を総合的に考慮して決定することが大事です。
利用人数を基に選ぶ
企業、組織で AVD を利用するユーザー数に応じて適切なプランを選択します。小規模なら個人向けや一般法人(中小企業)向け、大規模なら大企業向けや現場担当者向けのライセンスを選択します。
デスクトップアプリの必要性
Office などのアプリケーションについては、アプリケーションに応じたライセンスが必要です。フル機能が必要な場合は Office のデスクトップアプリを含むプランを、基本機能のみで問題なければ、 Web 版の Office のみ使用可能なプランも提供されています。
セキュリティレベルの考慮
AVD を安全に利用するには、セキュリティの確保が必要不可欠です。セキュリティを重視するなら、セキュリティ脅威からの保護やデバイス管理機能が充実している Microsoft 365 の上位プランが適しています。
4. まとめ
本記事では、 AVD に必要なライセンスの種類とその料金モデル、さらには企業がビジネスを行う上で意識すべきライセンス選択のベストプラクティスと管理ポイントについて解説しました。
AVD はライセンス体系が複雑でどれを選択すればよいか悩まれる企業も多いかもしれません。適切なライセンスや Azure インフラを選択することで、 AVD のコスト最適化を図ることができます。ぜひ専門家の支援を受けながら使用を検討してみてください。
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