Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

ハイブリッドクラウドのメリット・デメリットとは?連携方法の例を紹介

Category: 入門編

2024.09.03

クラウド活用が普及している昨今において、注目を集めているのがハイブリッドクラウドと呼ばれる形態です。ハイブリッドクラウドでは複数の IT 環境を組み合わせて利用できるため、様々なメリットを享受できます。企業でハイブリッドクラウドを導入・活用するためには、事前にどのようなメリット・デメリットがあるのかを理解することが重要です。

本記事では、ハイブリッドクラウドのメリット・デメリット、Azureが提供しているハイブリッドクラウドプラットフォームについて詳しく解説します。

1. ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、オンプレミスやプライベートクラウド、パブリッククラウドなど、異なる IT 環境を組み合わせて運用する環境を指します。それぞれの環境におけるメリットを活かしながらデメリットを補う環境を構築できる点が特徴です。下記でそれぞれの環境のメリット・デメリットを解説します。

オンプレミスのメリット・デメリット

オンプレミスとは、ソフトウェアやサーバーなどの情報システムを企業内に設置し、運用する方式を指します。システムを自社内で運用するため、セキュリティを高めやすく、自社システムやサービスと連携し、カスタマイズしやすい点がメリットです。一方で、維持・運用のコストが高いこと、導入期間が長くなるなどのデメリットが挙げられます。

プライベートクラウドのメリット・デメリット

プライベートクラウドとは、自社専用のクラウド環境を構築し、リソースを占有して利用するクラウド環境です。プライベートクラウドのメリットは、セキュリティの高さやカスタマイズの自由度が高い点などが挙げられます。デメリットは、専用の環境を構築する分導入までに時間がかかる点です。

パブリッククラウドのメリット・デメリット

パブリッククラウドとは、サービス提供事業者が構築した環境を他のユーザーと共同利用するクラウド環境です。サービス提供事業者がインフラの保守管理を担うため、運用の手間がかからない利点がある一方で、セキュリティ面や構成の自由度などがプライベートクラウドよりも低くなることがデメリットです。

ハイブリッドクラウドの活用例

ハイブリッドクラウドは様々な目的で利用できます。

BCP対策

ハイブリッドクラウドを採用すれば、BCP対策を実現することが可能です。オンプレミスのシステムやデータをパブリッククラウドへバックアップすることで、災害時など自社のデータセンターに障害が発生した際に迅速な復旧ができます。

データ変動への柔軟な対応

顧客が利用する注文システムは、季節に応じて需要が激しく変化するケースが多く見られます。注文システムは容易にリソースの拡張が可能なパブリッククラウドに置くことで、急増した需要にも柔軟に対応することが可能です。一方で企業の顧客情報などをプライベートクラウドに置くことで、データ管理の効率化とセキュリティを両立させることができます。

マルチクラウドとの違い

マルチクラウドとの違い

ハイブリッドクラウドと混同しやすいのがマルチクラウドです。マルチクラウドとは、複数の異なるクラウドサービスを利用することを指します。マルチクラウドの場合、パブリッククラウド同士を組み合わせるケースが多いです。たとえば、 AWS 、 Azure 、 Google Cloud などの異なるサービスを組み合わせて利用します。

一方、ハイブリッドクラウドは、先述した通り異なる IT 環境を組み合わせて運用する環境のことを指します。

2. ハイブリッドクラウドを導入するメリット

ハイブリッドクラウドを導入することで、下記のメリットを享受できます。

柔軟性・拡張性の高いIT環境を構築できる

ハイブリッドクラウド環境を構築すれば、柔軟性・拡張性の高い IT 環境を構築することが可能です。たとえば、オンプレミスのリソースが不足した際にパブリッククラウドのリソースを利用してスムーズにスケールアップさせることができます。不要になったリソースを減らすことも容易に実施できます。

コスト効率を改善できる

ハイブリッドクラウドの導入はコスト効率の改善にもつながります。社内のシステムをオンプレミスで運用する場合、機器の調達・保守運用コストが必要です。パブリッククラウドとオンプレミスを適切に使い分けることで、設備投資や運用コストを大幅に削減できます。

セキュリティとコンプライアンスを強化できる

ハイブリッドクラウドを導入することで、セキュリティとコンプライアンスを強化できます。たとえばパブリッククラウドは基本的にインターネットを介して利用するため、機密データを取り扱う際にリスクがあります。

ハイブリッドクラウドの環境を構築し、機密データをオンプレミス環境やプライベートクラウドで管理することで情報漏えいのリスクを軽減できます。コンプライアンスを遵守しながら、ビジネス要件に合わせてカスタマイズできるのがメリットです。

イノベーションと競争力を強化できる

ハイブリッドクラウドの導入は、イノベーションと競争力の強化にもつながります。たとえばパブリッククラウドにてテスト環境を構築し、製品やサービスのプロトタイプを短期間で作成することが可能です。より早く市場投入ができるため、競争力の強化につながります。

3. ハイブリッドクラウドのデメリット

ハイブリッドクラウドは多くのメリットがある一方で下記のデメリットもあります。

構成が複雑になり、管理負担が大きくなる

ハイブリッドクラウドは複数の環境を運用する形になります。そのため、単一の環境を運用するよりも構成が複雑になります。管理項目が多くなる分、管理者の負担が大きくなるため注意が必要です。

コスト計算が複雑になる

構成の複雑化に伴い、コスト計算が複雑になる点もハイブリッドクラウドのデメリットです。それぞれの環境にかかるコストを正確に把握し、最適化することは非常に難しくなります。

4. Azureが提供しているハイブリッドクラウドプラットフォーム

近年、多くの企業がハイブリッドクラウドを実現するプラットフォームを提供しています。ここでは、 Azure が提供しているハイブリッドクラウドプラットフォームを 2 つ紹介します。

Azure Arcの特徴

Azure Arc とは、ハイブリッドクラウドの環境を構築できるサービスです。Azure Arc を利用すれば、 オンプレミスやマルチクラウド、エッジなどあらゆるプラットフォームを一元管理できます。Azure Arc には、 Azure Arc 対応サーバーや Azure Arc 対応 Kubernetes 、 Azure Arc 対応データサービスなどの機能が搭載されています。

Azure Stackの特徴

Azure Stack とは、Azure のサービスと機能を自社内のオンプレミス環境へ導入できるサービスです。データセンターやリモート オフィスなど、任意の場所に導入できます。Azure Stack を利用すれば、オンプレミス環境のインフラやアプリケーションを Azure に適合した形へ移行することが可能です。

5. まとめ

ハイブリッドクラウドは、オンプレミスやプライベートクラウド、パブリッククラウドなどのメリットを組み合わせつつ、それぞれの環境のデメリットを補う環境を構築できます。

柔軟性・拡張性の高い IT 環境を構築できるだけでなく、コストを削減したり、セキュリティを強化したりなど、多くのメリットを享受できます。ハイブリッドクラウドの環境を構築する際は、 Azure Arc や Azure Stack などを活用するのがおすすめです。

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Tag: Azure Arc Azure Stack ハイブリッドクラウド

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