Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

ハイブリッドクラウドの導入事例とは?導入時のポイントと注意点も併せて解説

Category: 入門編

2024.09.04

ハイブリッドクラウドの導入事例を理解することで、自社の要件に最適なインフラ環境を整えることができる

ハイブリッドクラウドを導入しようと思っているが、導入のイメージが掴みきれない方もいると思われます。しかし、導入事例や導入時のポイントを理解することで、ハイブリッドクラウドの導入のイメージは把握することができます。

本記事では、ハイブリッドクラウドの導入事例や業界別の導入事例について解説しますので、読者は自社の要件や環境に合わせた導入方法を理解できるでしょう。また、特定のニーズに対応する導入事例を解説し、導入時のポイントと注意点について解説しますので、ハイブリッドクラウドの導入時に必要な要点も理解できます。

1. ハイブリッドクラウドの導入事例

ここでは、ハイブリッドクラウドを導入した具体的な例を紹介します。まずは、ハイブリッドクラウドがどのように活用されているのかを理解してください。

可用性とセキュリティを両立させたデータの配置

顧客データや市場の状況を基に商品分析をするなど長期的なマーケティング調査をするためのデータや、その時のニーズに合った価格を決定する場合のようにリアルタイム性のあるデータが求められる際はパブリッククラウド上のデータセンターを活用します。

その一方で、開発段階の商品情報のような機密性の高いデータは、オンプレミスないしはプライベートクラウドで管理することで情報漏洩を防ぐことができます。

災害復旧とデータバックアップ

24時間365日の間サービスを提供する場合、その間通信が休まず発生します。このような場合、災害が起きた際に迅速に通信データを復旧することが求められます。

災害時の迅速な復旧のためにパブリッククラウドを活用し、整然としたデータバックアップを行うことが重要です。その一方で、日常的な通信データはオンプレミスで処理し、煩雑な処理にも応えられるようにします。

ソフトウェア開発環境の構築

ソフトウェア開発において、試作的な状態のリリースや多様なテストは拡張性の高いパブリッククラウドを活用することで柔軟な開発を行うことができます。パブリッククラウドでは、負荷を変更することも可能なため、運用時に想定される高負荷な状況の検証も可能となります。

ソースコードや、開発に用いる機密データはオンプレミスないしはプライベートクラウドで管理することで、秘匿性の高い開発に関する情報を厳重に管理できます。また、特にオンプレミスの場合、ソフトウェア開発に必要なツールの使用も制限なく行うことができます。

2. 業界別の導入事例

ここでは業界ごとに、ハイブリッドクラウドを導入した具体的な例を紹介します。自分が所属する業種でハイブリッドクラウドを活用するヒントとしてください。

医療業界(患者データの管理方法の改良)

従来のオンプレミス環境のみで患者データを管理する場合、リモートからのアクセスに制限があり、柔軟なアクセスが難しいという課題がありました。しかし、全ての患者データをパブリッククラウドに保存すると、セキュリティが低くなる恐れがあります。

このため、機密性の高い、患者の診療記録や検査結果はオンプレミスないしはプライベートクラウドで管理し、予約システムのようなアクセス性の良さを求める患者データはパブリッククラウドに配置します。ハイブリッドクラウドを活用することで、患者データの管理方法がより効率的かつ安全になりました。

ハイブリッドクラウドとは?

金融業界(セキュアな取引と効率的な顧客データの管理)

金融業界では、機密性の高い金融取引に関するデータを管理する必要がある反面、窓口では効率的なデータ処理を行うことが求められます。

このため、秘匿性の高い金融取引に関するデータはオンプレミスないしはプライベートクラウドで管理し、効率的な処理にはパブリッククラウド上のトランザクション処理を導入することで、業務運用を総合的に改善させることができました。

製造業界(データ分析を可能とし生産プロセスを最適化)

従来のオンプレミス環境で製造データを運用する場合、生産プロセスに必要なデータを使った高度な分析や予測が難しいという課題がありました。

そこで、パブリッククラウドを活用して蓄積されたデータを分析し、必要な在庫の管理や製品の品質の向上を図りつつ、製品に関する詳細な情報はプライベートクラウドで管理することで、生産プロセスを最適化させることができました。

3. 特定のニーズに対応する導入事例

ハイブリッドクラウドは、汎用的な活用の仕方だけではなく、特定のニーズにも応えることができます。ここでは特定のニーズに応じた導入の例を紹介しますので、参考にしてみてください。

季節的な需要の変動に対応

ハイブリッドクラウドは、季節によって需要が変動する商品を扱う企業にとって適しています。たとえば、春用の食材、夏用の冷房製品、秋用の衣類、冬用の暖房製品のように季節に合わせて需要が変動する商品が存在します。

このような商品は特定の季節に売り上げのピークを迎えるため、ピークの際はクラウドを活用して大量のトラフィックにも耐えられるようにするべきです。この場合、パブリッククラウドのリソースを追加して負荷に耐えうるようにする必要があります。

これに対して、ピークでない時は、オンプレミスにより一定量のトラフィックに対処します。オンプレミスのシステムは、安定したパフォーマンスとセキュリティを提供し、日常的な業務に対応する基盤を提供します。

グローバルなビジネス拡大とデータ管理

世界各国に拠点を持つようなグローバルな企業は、各国の規制を遵守しつつ、利便性を確保する必要があります。全社的に共有するデータはパブリッククラウドにて共有することで、各国の拠点から容易にアクセスできる基盤を構築します。

一方で、拠点ごとの管理が必要なデータは、各地域のデータセンターにデータを保管してローカル規制に対応することが望ましいです。プライベートクラウドを活用することで、独自のポリシー設定ができ、拠点単位のルールに基づいた運用が可能となります。

4. 導入時のポイントと注意点

ここでは、実際にハイブリッドクラウドを導入する前に、知っておくべきポイントと注意点を解説します。ここでの内容について、ハイブリッドクラウドを導入する際の参考にしてください。

従量課金のためコストを試算する

ハイブリッドクラウドで活用されるパブリッククラウドとプライベートクラウドは、クラウドを使えば使うほどコストも上がる従量課金制です。

このため、運用後に思わぬ高額請求があるような事態を避けるため、ハイブリッドクラウドの導入前にクラウドの使用量とコストを試算した上で導入する必要があります。

従量課金のためコストを試算する

適切な運用体制を整える

ハイブリッドクラウドを導入する際は、運用に携わるメンバーが特にパブリッククラウドを使う上でのセキュリティリスクについて把握し、セキュリティ問題が生じた場合の運用ルールについて明確にしておく必要があります。

このような場合に、 Azure のサービスが提供する Azure Security Center を活用して、セキュリティを一元的に監視・管理することも有効的です。

また、オンプレミスの運用に際して、安全な場所の確保や適度な室温を保つことも必要となります。このように、適切な運用体制を整えた上で、ハイブリッドクラウドを導入するべきです。

5. まとめ

ハイブリッドクラウドの導入を成功させるためには、まずはハイブリッドクラウドの導入事例を理解することが前提となります。

その上で、ハイブリッドクラウドの導入時のポイントや、ハイブリッドクラウドの特定のニーズにも応えるための情報を理解することで、ハイブリッドクラウドを活用できる可能性を高めることができます。ぜひこの記事を参考にして、ハイブリッドクラウドを導入することで、業務の改善につなげてください。

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