目次
ハイブリッドクラウドの市場予測、主要ベンダーの動向、最新技術、活用事例について解説
ハイブリッドクラウドの新たな技術の進化によって、導入から運用までがより簡便になり、様々な業界の企業でハイブリッドクラウドの採用が進むと予想されます。
本記事ではハイブリッドクラウド市場の規模予測、ハイブリッドクラウドの技術進化、ハイブリッドクラウドを活用した企業戦略の事例について紹介します。
1. ハイブリッドクラウド市場の規模予測
ハイブリッドクラウド市場は 2023 年時点で、数十億ドル規模と推定され、今後も引き続き成長すると予測されています。調査会社である mordorintelligence 社によればハイブリッドクラウド市場規模は 2028 年には 3,485 億 3,000 万米ドルに達し、予測期間中の年平均成長率は 21.91 %と予測されています。

図版出典:mordorintelligence社ハイブリッドクラウドの市場規模と市場規模株式分析 – 成長傾向と成長傾向予測 (2024 ~ 2029 年)
ハイブリッドクラウドの成長要因
ハイブリッドクラウドの急速な成長は、主に DX の推進、クラウドコンピューティング技術の進化、リモートワークなどの働き方改革、ビッグデータ、 AI の活用などのトレンドが影響しています。
将来的には、 5G 、エッジコンピューティング、 IoT の普及がハイブリッドクラウド市場をさらに成長させると考えられており、多くの業界でハイブリッドクラウドが標準的なITインフラ環境となる可能性が高いと言われています。
主要クラウドベンダーのマーケットシェアや動向

図版出典:Amazon Maintains Cloud Lead as Microsoft Edges Closer
ハイブリッドクラウド環境では複数のクラウドサービスプロバイダーを利用し、一つのプロバイダーに依存することなく、最適なサービスを選択することができます。ハイブリッドクラウドにおいて動向が注目される主要クラウドベンダーについて解説します。
Amazon Web Services (AWS)
AWS は、長年にわたりパブリッククラウド市場のリーダーとしての地位を保持しています。最大のマーケットシェアを持ち、幅広いサービスと成熟したエコシステムを提供していることが特徴です。
Microsoft Azure(Azure)
Azure は、特にエンタープライズセグメントで強い成長を見せており、 Microsoft の既存の顧客基盤と連携する製品ポートフォリオを通じて市場シェアを拡大しています。
Google Cloud Platform (GCP)
GCP は、データアナリティクスと機械学習サービスの強みを生かし、特に技術志向の企業やスタートアップ企業に人気があります。市場シェアは小さいものの、近年急速に成長しています。
Alibaba Cloud
中国市場において特に強い存在感を持ったクラウドベンダーです。近年では海外市場への拡大も積極的に行っています。
IBM Cloud
ハイブリッドクラウドとエンタープライズクラウドソリューションに焦点を当てており、レガシーシステムとの統合で優位と言われています。
Oracle Cloud
データベースとエンタープライズソフトウェアの長い歴史を持ち、パフォーマンスやセキュリティに優れたクラウドサービスを提供しています。
2. ハイブリッドクラウドの技術進化
近年、クラウドコンピューティングの技術進化に伴い、ハイブリッドクラウドでも様々な機能が実装されています。本章では特に注目される技術トレンドについて解説します。
コンテナ化とオーケストレーション
コンテナ技術は、アプリケーションをパッケージ化し、異なる環境間での移植性と一貫性を提供する技術です。 Kubernetes のようなオーケストレーションツールの進化により、コンテナのデプロイ、管理、スケーリングを容易に自動化することができるようになり、ハイブリッドクラウド環境を導入した際のアプリケーション管理や運用の大幅な簡易化が進んでいます。
マルチクラウド管理(Cloud Management Platforms:CMP)
企業はそれぞれのクラウドベンダーが持つ強みを組み合わせることができるマルチクラウド戦略を採用することが出来るようになったことで、マルチクラウドを運用するための管理プラットフォームである CMP の機能が注目されています。異なるクラウド環境を一元的に管理し、リソースの可視化、効率化、コスト削減、自動化、セキュリティ強化を実現します。
AIと機械学習の統合
AI と機械学習アルゴリズムを統合することで、ハイブリッドクラウド内でのデータ分析と意思決定プロセスが自動化され、ビジネスインテリジェンスが向上し、より良い顧客体験を提供することができるようになりました。
エッジコンピューティングの統合
エッジコンピューティングとは、データを生成するデバイスの近くでデータ処理を行う技術です。データの生成元に近い場所でデータを処理することで、必要な情報のみをクラウドに送ることで、レイテンシを削減し、帯域幅の使用を最適化することができるようになります。
3. ハイブリッドクラウドのトレンドを活用した企業戦略の事例
ここまで紹介したハイブリッドクラウドの技術を活用した事例を紹介します。
リモートワーク・DX化の推進
従来では社内アクセスに限定していたシステムも、クラウド環境にポータル機能を持たせることで、アクセスの利便性を向上させながら、重要なデータのみをオンプレミス環境に保管するといった、データの重要度に応じた使い分けが可能になりました。
このようにアプリケーションの柔軟性が向上することで、業務プロセスも最適化され、結果としてリモートワークや DX 化の推進に寄与しています。
高いトラフィック処理を優先しながら必要な災害復旧計画の構築
コンテンツのストリーミング配信では、高いトラフィックを処理するためにパブリッククラウドのリソースが活用されています。特にパブリッククラウドでは容易に世界中の CDN ( Contents Delivery Network )を利用することができます。
一方、オンプレミスではオリジナルデータのバックアップ先に活用するなど、使い分けることで、ピーク時の需要に迅速に対応しながら、災害復旧のための冗長性の確保を実現しています。
セキュリティを担保しながらコスト効率と運用の最適化
金融やヘルスケアなどの規制が厳しい業界では、オンプレミスのデータセンターを維持して、顧客のプライバシーや資産を守り、高度なセキュリティと規制遵守に活用されています。
同時に柔軟なクラウドサービスを活用することで、必要に応じてリソースを迅速にスケールアップ・ダウンしながら、コストの最適化を図っています。
大量データの収集におけるエッジコンピューティングの活用
自動車業界では、車載データの収集と分析に、エッジコンピューティングとハイブリッドクラウドを組み合わせて使用しています。エッジでのデータ処理と中央のクラウドでのデータ分析を組み合わせることで、レイテンシーの低減、データの効率利用を実現しています。
データ管理と分析の強化
ハイブリッドクラウド環境を活用することで、オンプレミスの業務データを、クラウド上のビッグデータ分析ツールに統合し効果的に管理・分析が可能となりました。 これにより、 BI (ビジネスインテリジェンス)ツールのプラットフォームとして活用することが可能となりました。
4. まとめ
ハイブリッドクラウドは、今後も企業の IT 戦略において重要な役割を果たし続けるでしょう。将来的には、柔軟でスケーラブル、かつセキュアなプラットフォームとして、ハイブリッドクラウドが必要不可欠な基盤となることが見込まれます。
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Tag: ハイブリッドクラウド
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