Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

マルチクラウドのセキュリティ課題とは?適切な解決策を詳しく解説

Category: 入門編

2024.09.12

適切な対策を実施してマルチクラウドのメリットを最大限に活用しよう

マルチクラウドは、複数のパブリッククラウドサービスを併用する環境のことを指します。異なるプロバイダの強みを活用でき、バックアップなどのリスク分散も行いやすいなど、さまざまなメリットがあるため導入が広がっています。

一方で、マルチクラウドにはセキュリティやコンプライアンス上の課題も存在します。本記事では安全にマルチクラウド環境を運用するために、マルチクラウド環境の課題と解決策について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. マルチクラウドにおけるセキュリティの重要性

マルチクラウドは複数のパブリッククラウドサービスを利用する形態を指し、主に次のようなメリットがあります。

  • 各クラウドサービスプロバイダの得意分野を組み合わせて利用できる
  • 複数のサービスにバックアップを取得することで、障害発生時のリスクヘッジになる
  • 特定のベンダーに依存する「ベンダーロックイン」を回避できる

上記のような理由から、ビジネスニーズの変化に伴い、一つのクラウドサービスだけですべて完結させるシングルクラウドからマルチクラウドへ移行する企業が増加しています。

マルチクラウドのセキュリティが重要な理由

マルチクラウドを導入するメリットは大きいものの、複数の環境にデータが分散されることで、逆に不正アクセスやデータ漏えいなどのリスクが高まる可能性があります。またプロバイダごとにデータ保護規制への対応やデータの所在地、取得している認証などが異なるため、コンプライアンスの維持が難しくなる場合もあります。

これらのリスクを回避するためには、それぞれの環境で一貫したセキュリティレベルを維持する対策が重要です。

2. マルチクラウドのセキュリティ課題

では、具体的にマルチクラウド環境で想定されるセキュリティ課題について見ていきましょう。

攻撃対象が増加する

マルチクラウド環境では、企業のデータやアプリケーションが複数のクラウドプロバイダに分散されます。これにより、シングルクラウド環境よりも外部からの攻撃対象となる範囲が広がり、サイバー攻撃のリスクが増加するのです。また、プロバイダごとにセキュリティレベルや脆弱性が異なるため、セキュリティホールが生まれる可能性も増加します。

包括的な監視が難しい

各クラウドプロバイダはそれぞれ監視ツールやログ管理システムを提供していますが、マルチクラウド環境全体を包括的に監視することは難しいです。セキュリティイベントが発生した際の追跡や、障害発生時の原因調査に時間がかかる場合があります。

コンプライアンス管理が難しい

前章でも言及したとおり、プロバイダごとにデータ保護規制への対応や暗号化の方法は異なるため、コンプライアンス管理が難しいことも課題です。

たとえば暗号鍵の管理に Amazon Web Services (以下、 AWS )では AWS Key Management Service を使用し、 Microsoft Azure (以下、 Azure )では Azure Key Vault を使用します。これらのサービスを統合することは難しいため、統一した暗号化ポリシーを一貫して適用するには複雑な作業が必要です。

ヒューマンエラーが発生しやすい

複数のクラウド環境を管理するため、管理負荷が増加しやすい傾向があります。管理者が複数のタスクを同時に処理しなければならず、ヒューマンエラーが発生する可能性も高まるでしょう。

それぞれのプロバイダのセキュリティアップデートやパッチを管理する必要がありますが、十分なリソースを確保できない場合は適用漏れによる脆弱性につながりかねません。

3. マルチクラウドのセキュリティ対策

前章で挙げたような、マルチクラウドにおけるセキュリティ課題を解決するための対策について解説します。

自動化ツールを導入する

自動化ツールを導入することで、セキュリティアップデートやパッチの適用、ログ管理などのタスクを自動化できます。これにより管理負荷やヒューマンエラーの発生を軽減させることが可能です。

たとえば、 Azure Automation や AWS Systems Manager Patch Manager など、各プロバイダで自動化ツールが提供されています。

統合監視ツールを導入する

さまざまなセキュリティツールからのログやデータを一元的に管理する SIEM ( Security Information and Event Management )などの統合監視ツールを導入することで、複数のクラウド環境からのログデータを一元管理できます。

これにより相関分析が可能になり、マルチクラウド環境全体の異常や予兆を迅速に発見することが可能です。

マルチクラウドセキュリティツールを導入する

マルチクラウドを包括的に保護するセキュリティ管理ツールを導入することも有効です。たとえば Microsoft Defender for Cloud は、 Azure だけでなく AWS や Google Cloud などのセキュリティ体制を統合して可視化し、リスクに優先順位をつけることができます。

Microsoft Defender for Cloud

図版出典:Microsoft公式サイト

ゼロトラストアプローチを採用する

ゼロトラストとは、「何も信頼しない」ことを前提にセキュリティ対策を実施する考え方のことです。

従来のオンプレミス環境では、社内外の境界で防御する境界型防御が主流でした。しかし、クラウド環境では社内外問わずすべてのアクセスを検証するゼロトラストモデルが適しています。たとえば多要素認証や、シングルサインオンなどを実装することが効果的です。

4. まとめ

マルチクラウドはビジネスニーズに対応するためのさまざまなメリットがある一方で、セキュリティやコンプライアンス上の課題も存在します。また、運用管理業務も複雑になりやすいです。しかし、適切な対策を実施することで、安全かつ効率的な運用を実現できます。まずは課題を正確に洗い出したうえで、ツール導入の検討やセキュリティポリシーの見直しを始めてみてはいかがでしょうか。

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Tag: セキュリティ マルチクラウド

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