Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

マルチクラウドの導入事例を紹介!成功要因も詳しく解説

Category: 入門編

2024.09.13

実際の導入事例を参考にマルチクラウドを効果的に活用しよう

マルチクラウドは、複数のパブリッククラウドプロバイダが提供するクラウドサービスを組み合わせる利用形態です。特定のプロバイダに依存せず、それぞれの強みを活用できるため、さまざまなビジネスニーズに対応できます。

近年マルチクラウドの導入を検討する企業は多いですが、具体的なイメージがしにくい場合も多いでしょう。本記事では、実際にマルチクラウドを導入した企業の事例と、想定できる活用シーン、導入を成功させる要因や注意点まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. マルチクラウドの導入事例

マルチクラウドの導入に成功した企業の事例を 3 つ紹介します。

小売業界

ある大手ファッション EC サイト運営企業は、サービス成長に伴うシステム基盤刷新のためにマルチクラウドを導入しました。

課題

急速なサービス成長によりデータ量が増加し、既存のオンプレミスのシステム基盤がスケーラビリティとパフォーマンスの面で限界に達していました。また、セール期間中のピークトラフィックに対応するためのコスト増大と運用効率の低下が課題となっていました。

解決策

運営サイトと相性の良いデータべースマネージドサービスが存在する Microsoft Azure (以下、 Azure )にシステムをリプレースすることを決定。さらに単一障害点を回避して安定的にサービス提供するため、 Amazon Web Services (以下、 AWS )を組み合わせるマルチクラウド構成を採用しました。

効果

クラウドのメリットである柔軟なスケーラビリティによりピークトラフィックに対応できるようになり、システムのレスポンス時間が大幅に短縮しました。また、マルチクラウド構成によりシステムが冗長化され、障害発生時にも安定したサービス提供を実現しています。

建設業界

ある建設業の大手企業は、業務最適化と運用コスト削減を目指してマルチクラウドを導入しました。

課題

従来のオンプレミス環境では、運用管理やコストの負担が大きいという課題を抱えていました。また、 AI やデータ分析など、最新の技術を取り入れて業務を最適化したいというニーズも生まれていました。

解決策

AWS 、 Azure 、 Google Cloud の複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド戦略を採用。各クラウドの特性を活かしてワークロードを適切に配置しました。

効果

データ分析は高性能なサービスを提供するプロバイダ、ストレージはコスト効率の良いプロバイダ、などと各プロバイダの強みを活用することで、業務効率を向上させつつコストの最適化に成功しました。また、機能のアップデートが速いクラウド環境により、最新の技術を柔軟に業務に取り入れられるようになっています。

自治体

ある自治体では、区民サービスの向上と業務効率化を目的にマルチクラウドを導入しました。

課題

従来のシステムは、老朽化とともにメンテナンスコストが増大していることや、災害時のデータ保護や迅速な復旧が難しいことが課題となっていました。また IT 技術を効果的に活用することで区民とのコミュニケーションの充実を図ることを目指していました。

解決策

クラウドを単に利用するだけでなく、コスト効率、セキュリティ、パフォーマンスのバランスをとる「クラウドスマート」を実現するため、システムの構成要素やニーズに対して最適なクラウドサービスを選択するマルチクラウドを採用しました。

効果

すべてのシステムをクラウド移行することはコスト面で難しいため、オンプレミスの基幹業務システムと親和性の高い VMware を採用することでコスト削減に成功。また、従来の Microsoft 系のサーバーは Azure を選択することにより互換性を確保しました。

さらにクラウド移行により職員のシステム運用負荷を軽減でき、 AI などの最新技術を活用した区民とのコミュニケーションの検討など、自治体 DX 推進業務への注力につながっています。

2. マルチクラウドの活用シーン

前章で紹介したケース以外に、マルチクラウドを活用できる一般的なシーンについて解説します。

顧客向け・社内向けでサービスを使い分ける

顧客向けのシステムと社内向けのシステムではニーズが異なるため、マルチクラウド環境を構築してサービスを使い分けることも有効です。

たとえばユーザー数の変動が大きい顧客向けサービスはスケーラビリティやパフォーマンスに優れたクラウドサービス、機密情報を扱う社内システムはデータに対するセキュリティと既存システムとの互換性に優れたクラウドサービスを選択するなどの方法があります。

拠点の国ごとにサービスを使い分ける

一部の国では、データが自国内に保存されることを求める規制があります。複数の国に拠点を持つ企業では、拠点ごとに最適なクラウドサービスを選択することで規制遵守やパフォーマンスの最適化を図ることが可能です。

拠点の国ごとにサービスを使い分ける

3. マルチクラウド導入の成功要因と注意点

マルチクラウドの導入を成功させるには、次のようなポイントを意識しましょう。

明確に目標設定をする

マルチクラウド導入を成功させるには、まず明確な目標設定が必要不可欠です。現状の課題を洗い出したうえで、なぜマルチクラウドを導入するのか、何を達成したいのかを具体的に設定しましょう。

これによりクラウド戦略全体の方向性が定まり、各クラウドサービスの特性を踏まえた最適な選択が可能になります。

コストの比較検討を行う

マルチクラウドは複数のクラウドサービスを利用するため、コスト計算が複雑になります。無駄な支出を抑えるためにも、導入前にしっかりと運用コストの試算を行い、十分に比較検討することが重要です。各プロバイダではコスト試算ツールが提供されているため、活用するとよいでしょう。

セキュリティ対策を行う

複数のクラウド環境を利用するため、セキュリティ対策は一層重要になります。各プロバイダのセキュリティ機能を活用しつつ、統一されたセキュリティポリシーを策定・適用することが重要です。

4. まとめ

マルチクラウドの導入にはさまざまなメリットがありますが、目的が明確でなければ思うような効果が出せず、コストや労力が無駄になってしまう可能性があります。今回紹介した事例や活用シーンを参考に、ポイントを押さえて実施することが大切です。マルチクラウドの導入を検討されている方は、ぜひ成功要因や注意点などを参考にしてください。

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