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クラウド移行の効果的な方法とは?状況に合わせた柔軟なデータ移行方法を解説
従来のオンプレミスからクラウドへ移行する企業が増えています。クラウド移行の大きな課題のひとつがデータ移行です。業務への影響をなるべく抑えながら大量のデータ移行を行うには、事前の十分な検証や検討、移行のためのサービス・ツール、ネットワークなどを用意する必要があります。
本記事では、Azure を例に、データ移行の概要と移行のための検討ステップ、移行方法と代表的な移行サービス・ツールについて解説します。
1. データ移行とは
クラウドへシステムを移行するクラウド・リフトやクラウド・シフトを検討する企業にとって、データ移行は大きな課題となります。まず、データ移行の概要とステップについて解説します。
データ移行とは

データ移行とは、名前の通り、システムからシステムへ、業務データ(ファイル、データベース)やシステムが稼働するために必要なシステムデータ、バックアップデータなどを移設することを指します。
オンプレミスからクラウドへ移行するためには、主に二つの方法があります。オンプレミスのサーバーに保存されているデータを、ネットワーク接続を介して移行する方法と、物理的な搬送手段を用いてクラウドへ移行する方法があります。
データ移行のステップ
データ移行行うための一般的な実施ステップは下記の通りです。
- 検出
- 評価
- 移行
検出
検出フェーズでは、まず現状把握として、オンプレミスの移行対象のサーバーと、移行対象データの洗い出しを実施します。移行対象データについては、データの種類とデータ量の算出も行います。
また、ネットワークの有無や業務停止可否など、データ移行に関する制限・制約事項、移行を実施するスケジュールや期間などの要件確認もこのフェーズで実施します。
評価
検出フェーズで作成した移行要件をもとに、データ移行のための移行検証を実施し、移行方式の決定と移行時間の見積もりを行います。この検証結果をもとに、移行要件の見直しと、移行方式や手順などを定める移行設計を行います。
また、データ移行のための環境準備を行い、移行のためのサービス・ツールの設定と動作検証、移行用回線・ネットワーク等の準備もこのフェーズで実施します。
移行
評価フェーズで検証・設計した作業手順に従ってデータ移行を実施します。移行後は正しくデータ移行が実施されていることの確認を行います。
2. Azureへのデータ移行の種類
次に、オンプレミスからクラウドへのデータ移行の種類について解説します。ここでは、マイクロソフトのクラウド、Azure を例に取って、下記2種類のデータ移行方法について解説します。
- オフライン転送
- オンライン転送
オフライン転送
オフライン転送とは、オンプレミスから Azure へネットワークを介さずにデータを移行する方式です。物理的に配送可能な物理デバイスを使用して、オンプレミスのデータをデバイスへ保存し、Azure のデータセンターへ配送します。
配送されたデータを Azure へ接続し、データのアップロードを行います。配送・移行作業中はデータの更新ができないため、システム停止を行うか、差分データを事後でアップロードが必要となる点については事前に考慮が必要です。
オンライン転送
オンライン転送とは、オンプレミスから Azure へネットワーク経由でデータを移行する方式です。データの数やデータ量に応じてさまざまな方法が用意されています。
- Azure Migrate
- Azure Database Migration Service
- Data Box Gateway
- Azure Data Factory
- スクリプトまたはプログラムによる転送
3. Azureへのデータ移行方法と注意事項

図版出典:Microsoft 公式サイト
Azure へのデータ移行はたくさんの方法がありますが、どのような方法が最適なのでしょうか。ここでは、Azure へのデータ移行方法と注意事項について解説します。
オフライン転送
オフライン転送のためのサービスは下記の通りです。
- バックアップ・リストア
- Azure Data Box
バックアップ・リストア
バックアップ・リストアとは、本来はシステムの復旧や過去データの保存に使用されますが、データ移行にも使用することができます。バックアップされた過去データを、移行先でリストアすることで簡単なデータ移行が可能です。
Azure では Azure Backup などのバックアップソリューションが用意されています。
Azure Data Box
Azure Data Box とは、 Azure 向けのデータ物理配送サービスです。頑丈なケースに内蔵したハードディスクに大量のデータを保存し、オンプレミスからクラウドへ物理配送することができます。
Azure Data Box には、移行対象のデータ量に応じて下記のラインナップが用意されています。
Azure Data Box Disk
少量のデータ向け。 8TB の SSD で最大 5 台( 40TB )のパックで提供。
Azure Data Box
中~大規模データ向け。 100TB の容量で提供。
Azure Data Box Heavy
大規模データ向け。最大1PBものデータを格納できる。
オンライン転送
オンライン転送のためのサービスは下記の通りです。
- Azure Migrate
- Azure Database Migration Service
- Data Box Gateway
- Azure Data Factory
- スクリプトまたはプログラムによる転送( rsync , robocopy , AzCopy )
Azure Migrate
Azure Migrate は、オンプレミスや、Azure以外のクラウドで稼働している仮想マシンをAzureへ移行するためのサービスです。ネットワークを経由して移行元の仮想マシンの検出・評価を行い、エージェントレスで簡単に Azure へ移行することが可能です。
Azure Database Migration Service
Azure Database Migration Service は、オンプレミスや Azure 以外のクラウドで稼働するデータベースを Azure へ移行するためのサービスです。複数のデータベースを Azure へ最小限のダウンタイムで移行することができます。同じマイクロソフト製品である SQL Server だけでなく、 Oracle 、 MySQL なども移行することができます。
Data Box Gateway
Data Box Gateway は、オフライン転送で使用できる Azure Data Box のラインナップのひとつですが、物理的なデバイスではなく、仮想アプライアンスとなっています。 Hyper-V や VMware などの仮想化プラットフォームから、 Azure に対してネットワーク経由で移行することができます。
Azure Data Factory
Azure Data Factory は、データベースやデータウェアハウスなど、さまざまなデータを収集して連携できるデータ統合管理サービスです。いわゆる ETL 、 ELT ツールとも呼ばれ、データの抽出、加工、格納までをシームレスに実行できます。 Azure Data Factory により、オンプレミスや他のクラウドにあるシステムからデータを抽出し、 Azure へ移行させることも可能です。
スクリプトまたはプログラムによる転送
Azure へのデータ移行は、 Azure のサービスだけでなく、スクリプト・プログラムによる移行も可能です。 AzCopy 、 Azure PowerShell 、および Azure CLI といったツールを利用してコマンドやスクリプトを実行するか、 REST API/SDK を使用してプログラムを作成することも可能です。
4. まとめ
本記事では、 Azure へのデータ移行の概要と、移行方法について解説しました。クラウド移行を行うにあたり、データ移行は大きな課題となります。データ移行に関しても要件定義や設計、テストなどが必要となりますので、ぜひ専門家の支援を受けながら、クラウドへの移行を検討してみてください。
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Tag: Azure移行
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