Kubernetes Managed Service Column <Kubernetes運用コラム>

Kubernetes ConfigMapとは?基本的な概念と役割、メリット、使用方法を解説

Category: 入門編

2024.02.06

移植性の高いアプリケーションを開発する方法とは?Kubernetesの基礎を解説

クラウドネイティブな開発が広まっていく中、アプリケーションの開発と運用において、柔軟かつ効率的な構成管理が求められています。

このニーズに応える重要なツールが、 Kubernetes ConfigMap です。 ConfigMap は、アプリケーションの設定や構成データを効果的に管理するために設計されており、アプリケーションコードと構成データを分離することで、環境に応じた設定の迅速な適用と更新を可能にします。

ConfigMap により、開発者は環境ごとに異なる設定を容易に適用し、アプリケーションのデプロイメントをスムーズに行うことができます。本記事では、 Kubernetes ConfigMap の基本的な概念と役割、メリット、そして使用方法までを詳しく解説します。

1. Kubernetes ConfigMapとは

ConfigMap の概要と役割、基本的な仕組みについて解説します。

Kubernetes ConfigMapの概要と役割

Kubernetes ConfigMap は、アプリケーションの設定データを管理することを目的として、Kubernetes が提供するキーバリューストア(データをキーと値のペアで保存するオブジェクト)の一種です。

onfigMap を使用することにより、設定データや環境変数などの機密性のない構成設定データをアプリケーションコードから分離し、 Kubernetes クラスタ内で容易に管理することができます。

また、アプリケーションの設定が環境により異なる場合でも、環境固有の設定をコンテナイメージから分離でき、これによりアプリケーションを異なる環境に簡単に移植できるようになります。

Kubernetes ConfigMapの基本的な仕組み

Kubernetes ConfigMapの基本的な仕組み

図版出典:Qiita

ConfigMap の基本的な仕組みについて解説します。

データの格納

ConfigMap は、キーと値のペアで構成情報を格納します。これには、設定ファイル、コマンドラインパラメータ、環境変数など、アプリケーションの実行に必要な様々な種類のデータが含まれます。

データへのアクセス

ConfigMap に格納されたデータは、 Pod ( Kubernetes アプリケーションの最小単位)内の一つ以上のコンテナに対して提供されます。これにより、アプリケーション実行時に ConfigMap に保存された設定情報を使用することができます。

データの形式

ConfigMap に保存されるデータは、プレーンテキストの形式であり、 YAML や JSON 形式でファイルとして定義されることが一般的です。テキストであるため、設定データの読み取りや更新が容易です。

2. Kubernetes ConfigMapのメリット

ConfigMap は環境固有の設定をコンテナイメージから分離するためのものですが、 ConfigMap のメリットは下記の通りです。

構成データの分離と集中管理

ConfigMap により、アプリケーションコードから構成データを分離し、 Kubernetes クラスタ内で一元的に管理することが可能になります。一元管理することにより、設定変更が容易になり、開発と運用の効率性が向上します。

環境固有の設定の容易な適用

ConfigMap を使用することで、異なる環境(開発環境、テスト環境、本番環境など)に対して、環境固有の構成データを簡単に適用することができます。これにより、環境間での設定の一貫性を保ちつつ、個々の環境のニーズに合わせた構成データを柔軟に提供することができます。

アプリケーションの可搬性・移植性向上

ConfigMap を使用することで、アプリケーションのデプロイメントプロセスが簡素化されます。設定データを外部化することで、同じアプリケーションを異なる環境に簡単に適用できるため、アプリケーションのデプロイメントの複雑性が下がり、可搬性・移植性の向上にもつながります。

設定の更新の容易さ

ConfigMap に格納されたデータは、アプリケーションが実行されている間に更新することができ、アプリケーションを再デプロイすることなく設定の変更が可能です。運用中のサービスに影響を与えることなく迅速に設定を更新することができます。

アプリケーションのデバッグとトラブルシューティングの容易さ

ConfigMap を使用することで、アプリケーションの設定値が分離・外部化されます。分離されることにより、デバッグやトラブルシューティングを行う際に、設定値の不備を特定しやすくなります。

特に、複雑なマイクロサービスアーキテクチャを採用している場合、異なるサービス間で共通の設定を使用することが多いため、 ConfigMap はこれらの設定を一箇所で管理し、原因の特定と修正を効率化します。

設定変更が必要な場合、 ConfigMap を更新することで迅速に対応できます。運用中のシステムの安定性を維持しながら、必要な調整を行うことができます。

3. Kubernetes ConfigMapの使用方法と注意事項

ConfigMap の基本的な使用方法と使用上の制約事項について解説します。

Kubernetes ConfigMapの使用方法

Kubernetes ConfigMapの使用方法

図版出典:クリエーションライン Tech Blog

ConfigMap の基本的な使用方法は下記の通りです。

Kubernetes ConfigMapの作成

ConfigMap を作成する一般的な方法は、 YAML または JSON 形式でのアプリケーションの構成や設定を定義するマニフェストファイルを用意することです。

マニフェストファイルには、 ConfigMap の名前と、保存したいキーと値のペアを記述します。マニフェストファイルを用意したら、 kubectl create というコマンドを使用することで、 ConfigMap をクラスタ内に作成することができます。

Kubernetes ConfigMapの使用

ConfigMap は、 Pod 内のコンテナに環境変数として設定することができます。アプリケーションは ConfigMap のデータを、環境変数を通じて参照することが可能です。

また、 ConfigMap を Pod のボリュームとしてマウントし、コンテナ内で直接参照させることもできます。この場合、環境変数ではなく、設定ファイルとして直接アプリケーションに読み込ませることができます。

Kubernetes ConfigMapの更新

ConfigMap は更新後に自動的に Pod に反映されない場合があるため、 ConfigMap を更新した後は関連する Pod を再起動する必要があります。

Kubernetes ConfigMapの注意事項

Kubernetes ConfigMap を使用する上での制約と注意事項について解説します。

非機密データのみを格納する

ConfigMap は、データの暗号化機能などを提供しておらず、パスワードや鍵情報などの機密データを保存するためのものではありません。機密データを保存する場合は、 ConfigMap の代わりに Secret を使用する、データが漏えいしないように追加の(サードパーティー)ツールを使用する必要があります。

データサイズの制限

ConfigMap は比較的小規模なデータ用としての使用が推奨されています。一つのConfigMap に保存できるデータの合計サイズには制限があることに留意が必要です。

4. まとめ

本記事では、 Kubernetes ConfigMap の概要と基本的な仕組み、メリット、そして使用方法と注意事項について解説しました。 Kubernetes ConfigMap を使用することで、移植性の高いアプリケーションを開発することが可能になります。ぜひ専門家の支援を受けながら使用を検討してみてください。

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