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3大クラウドが提供するマネージドKubernetesサービスを紹介
近年、多くの企業がクラウド環境における Kubernetes 導入を進めています。 Kubernetes はコンテナオーケストレーションの標準技術として広く採用されていますが、クラウドとの親和性が高いことから、マネージドサービスの活用が主流となりつつあります。
特に、 Azure の AKS ( Azure Kubernetes Service )や AWS の EKS ( Amazon Elastic Kubernetes Service )、 Google Cloud の GKE ( Google Kubernetes Engine )といった3大クラウドのマネージド Kubernetes サービスを活用すれば、より効率的な運用ができます。
本記事では、クラウド環境で Kubernetes を導入する理由を解説した上で、 AKS での導入手順や運用のポイントも紹介します。
1. 企業がクラウド環境でKubernetesを導入する理由
Kubernetes は、コンテナ化されたアプリケーションを自動で管理・運用するためのプラットフォームです。オンプレミス環境での運用もできますが、クラウド環境で運用することが主流となっています。
特にクラウドベンダーが提供するマネージドサービスを利用するケースが多く、その理由としては以下のようなものがあります。
運用負担の軽減
マネージド Kubernetes サービスを活用すれば、クラスタのセットアップやセキュリティパッチの適用、スケーリングはクラウドベンダーが担うため、運用負担を大幅に軽減できます。一方でオンプレミス環境では自社で管理する必要があるため、運用コストが高くなります。
スケーラビリティと可用性の向上
マネージド Kubernetes サービスでは、仮想マシンの自動プロビジョニングにより、スケーリングの管理が容易にできます。また、複数のリージョンにクラスターを分散させることで、障害発生時のリカバリーや高可用性を確保しやすいです。
リソース最適化とコスト削減
クラウド環境では、必要な時に必要なリソースを確保し、不要になれば縮小できるため、無駄なリソースやコストが発生しにくいこともメリットです。一方でオンプレミス環境では物理サーバーの増設や管理が必要になるため、リソースの最適化が難しくなります。
2. 3大クラウドが提供するマネージドKubernetesサービス
Azure 、 AWS 、 Google Cloud の主要クラウドベンダーはマネージド Kubernetes サービスを提供しており、それぞれ次のような特徴があります。
Microsoft Azure | Amazon Web Services(AWS) | Google Cloud | |
---|---|---|---|
サービス名 | Azure Kubernetes Service ( AKS ) | Amazon Elastic Kubernetes Service ( EKS ) | Google Kubernetes Engine ( GKE ) |
特徴 |
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|
|
特に AKS は、エンタープライズ向けのセキュリティ管理や Microsoft Entra ID との統合が強みです。セキュリティ管理を強化したい、既存の Microsoft 環境と統合したい、という場合は AKS の導入が適しています。
3. AKSを導入する手順
実際に Azure portal を使用して AKS クラスターをデプロイする手順を解説します。
(1) Azureアカウントとサブスクリプションの確認
AKS を利用するには、 Azure の有効なサブスクリプションが必要です。持っていない場合は、 Azure 公式サイトでアカウントを作成しましょう。
(2) AKSクラスターの作成
Azure portal にサインインし、 [ リソースの作成 ] > [ コンテナー ] > [Azure Kubernetes Service ( AKS ) ]を選択します。
[ 基本 ] タブでは以下を設定します。
サブスクリプション
リソース グループ
クラスター プリセット構成
Kubernetes クラスター名
リージョン
可用性ゾーン
AKS 価格レベル
[ ノード プール ] タブでは以下を設定します。
モード
OS SKU
可用性ゾーン
[ 確認と作成 ] を選択し、検証が完了したら [ 作成 ] を選択します。
(3)AKSクラスターへの接続
kubectl ( Kubernetes クラスターを操作するためのコマンドラインツール)を使用し、 AKS クラスターへ接続します。
Azure Cloud Shell は、 Azure 上で提供されるクラウドベースのターミナル(コマンドライン)環境で、 kubectl が最初からインストールされています。 Azure Cloud Shell を開いて Azure CLI を選択し、以下のコマンドを実行しましょう。
1. クラスターに接続するよう kubectl を構成する

2. クラスターへの接続を確認する

3. 出力例:ノードの状態が [Ready] であることを確認する
![3.出力例:ノードの状態が [Ready] であることを確認する](/wp-content/uploads/2025/04/2504_1_4_kubnernetes_Cloud_No566.png)
詳しい手順については以下をご覧ください。
4. AKSを導入する際のポイント
AKS での Kubernetes 運用を安全かつ効率的に行うためのポイントを紹介します。
CI/CDの仕組みを整えて自動化する
CI/CD(継続的デリバリー) とは、アプリケーションの開発からデプロイまでのプロセスを自動化する手法です。 Kubernetes にアプリをデプロイする際、手動ではなく、 CI/CD の仕組みを構築して自動化することで、開発・運用の負担を軽減できます。
AKS とシームレスに連携できる Azure DevOps を活用すれば、 AKS クラスターへの自動デプロイが可能です。
下記で Azure DevOps やKubernetes ネイティブな CI/CD について解説していますので参考にしてください。
※参考:Azure DevOpsとは?クラウドネイティブ開発実現のための方法とベストプラクティスを解説
※参考:KubernetesネイティブなCI/CDとは?適したツールも紹介
セキュリティ機能を活用する
Kubernetes クラスターを安全に運用するためには、適切なアクセス管理やデータ保護の仕組みを導入することが重要です。先に紹介した Microsoft Entra ID でのアクセス制御のほか、 Microsoft Defender for Containers の活用も推奨されます。
Microsoft Defender for Containers は、 Kubernetes クラスターやコンテナ化された環境のセキュリティを強化するためのソリューションです。脆弱性評価や構成ミス・脅威の検出など、多面的な保護機能を提供します。
5. まとめ
Kubernetes をクラウド環境で運用することで、さまざまなメリットを得られます。特に 3 大クラウドが提供するマネージド Kubernetes サービスを利用することで、運用負担を大幅に軽減できます。Microsoft製品との連携やセキュリティ強化を重視する企業には、AzureのAKSが最適です。まずはPoC(概念実証)から始めて、自社のユースケースに合ったKubernetes活用を検討してみてはいかがでしょうか。
Kubernetes の運用に不安がある場合は、専門家のノウハウを活用することもおすすめです。当社では、 Kubernetes 運用サポートサービスのご利用をご検討ください。
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