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システムの安定稼働に必要なデータベース監視方法とは?多角的な監視方法を解説
近年、大規模なシステム障害のニュースが増えています。障害にはさまざまな原因がありますが、データベースの障害はシステムの停止に直結するため非常に大きな問題となります。想定外のデータベース障害に備え、未然防止策や障害発生時の対策を十分に行う上で、データベース監視は非常に重要です。
本記事では、データベース監視の概要や目的、必要性、データベース監視の具体的な監視項目や代表的なデータベース監視ツールについて解説します。
1.データベース監視とは
システムの安定稼働のためにデータベース監視は重要ですが、データベース監視とは具体的にどのようなものでしょうか。まず、データベース監視の概要、目的、必要性、監視対象と監視方法について解説します。
データベース監視の概要

データベース監視とは、システムの中にあるデータベースが正常に機能していることを確認するために、データベースに格納されているテーブルやインデックスの使用状況、 SQL のパフォーマンス、データベースそのものの死活確認などの各種チェックを定期的に行うことを指します。
チェックの結果、稼働状況やパフォーマンスなどに異常がある場合は、速やかに検知し、管理者へ通知を行うことで、迅速な障害対応を支援し、データベースのサービス提供レベルを担保し、システム全体の安定稼働につなげることができます。
データベース監視の目的と必要性

データベースは、システムを構成するサーバーや機器の中でも、システムが扱う業務データの保存と管理を行う重要な機能です。データベースに障害が発生すると、システム・サービス全体の利用不可や、パフォーマンス低下、データの不整合や破壊につながる可能性があります。
システムは障害が発生しにくいよう、サーバーの冗長化や負荷分散を行うなどして可用性を確保しますが、データベースは、データ量の増加やデータの偏り、インデックスの設計ミス、非効率な SQL によりパフォーマンス低下が引き起こされる可能性があり、これらは冗長化では防ぐことができません。
データベース監視はこうした障害やトラブル発生時に迅速に対応し、ユーザーに約束したサービス提供レベルを担保するために重要な仕組みと言えます。
データベース監視の監視対象
一般的に、データベース監視の監視対象は下記の通りです。
- 状態監視(プロセス存在、ポート応答)
- サービス正常性確認(ログイン、データ読み書き等)
- ログ監視(ログファイル)
- 領域監視(メモリ領域、表領域などの使用状況)
- パフォーマンス監視(キャッシュヒット率、SQLの解析内容、リソース使用率等)
データベースは、 OS 上で動作するプロセスの集まりです。そのため、プロセスの状態や接続確認が必要です。加えて、データベースのサービスが正しく動作しているかどうかを、ログの内容、各種領域の状態、パフォーマンスなどさまざまな視点で多角的に監視する必要があります。
データベース監視の監視方法
データベース監視の具体的な方法は下記の通りです。一般的に、シェルスクリプト・ SQL 、監視ツールを使用して監視を行います。
- 状態監視
- ログ監視
- 領域監視
- パフォーマンス監視
状態監視・サービス正常性確認
状態監視・サービス正常性確認は、データベースを構成する各種プロセスやサービスの状態を監視します。プロセスが停止した場合や、プロセスの数が不足している場合、ポートの応答がない場合は速やかに検知し、管理者に通知します。また、データベースに対するログインやデータの読み書きなどを行い、サービスが正常に動作していることを確認します。
ログ監視
ログ監視は、データベースが出力するシステムログを監視します。ログに書き込まれる異常メッセージを検知し、管理者に対してリアルタイムに通知します。
領域監視
領域監視は、データを格納するための表領域や、データの更新や削除などを行うためのキャッシュ(メモリ)領域の使用状況を監視します。領域不足の場合はアラートを通知します。
パフォーマンス監視
パフォーマンス監視は、データベースの読み込み、書き込みの処理性能を監視します。処理性能をチェックするために、キャッシュ(メモリ)ヒット率や、 SQL が効率的に解析できるかどうか、リソース使用率などさまざまな観点でチェックを行います。
2.データベース監視のメリット・デメリット
データベース監視は重要な仕組みですが、デメリットもあります。ここでは、データベース監視を導入するメリットとデメリットについて解説します。
データベース監視のメリット
データベース監視のメリットは下記の通りです。
- 障害の防止
- 障害発生時の復旧速度向上
障害の防止
データベース監視を行うことで、データベース障害の前兆を検知し、停止などの重大障害を抑止することができます。また、データベースの不具合や、データやメモリ領域の逼迫、パフォーマンス低下などを速やかに検知することで、障害の拡大を防ぎ、被害を最小限に抑えることができます。
障害発生時の復旧速度向上
データベース障害が発生してしまった場合でも、監視により被疑箇所を絞り込むことで、復旧までの時間を短縮することができます。データベース監視を行わないと、障害の被疑箇所の特定や調査、復旧に時間を要することになります。
データベース監視のデメリット
データベース監視のデメリットは下記の通りです。
- 監視ツールのコストがかかる
- 専門知識と工数が必要
監視ツールのコストがかかる
データベース監視を行うには、監視を行うためのツールが必要です。監視ツールはライセンスと導入コスト、及び導入後の運用保守コストが必要です。
専門知識と工数が必要
データベース監視を導入するためには、必要な要件定義、設計、設定・テストなどが必要です。データベースと、監視ツールの専門知識が必要です。また、有識者の工数も必要となります。
3.代表的なデータベース監視ツール
多くの製品ベンダが、データベース監視のためのツールを提供しています。ここでは、代表的なデータベース監視ツールの概要と特徴について解説します。
ZABBIX
Zabbix は、 Zabbix 社が提供しているオープンソースの統合監視ミドルウェアです。20 年以上の歴史を持ち、オープンソースの監視ツールとしてはデファクト・スタンダードとなっています。
システム全体を監視するため非常に多機能で、導入には専門知識が必要ですが、主要なデータベース製品の稼働状況を監視・把握することができ、問題が発生した場合はすぐに対策を取ることが可能です。
Hinemos
Hinemosは、 NTT データが提供している OSS ベースの統合監視ツールです。大規模システムの監視に必要な幅広い機能を備えた製品で、データベース監視も可能です。
データベースを構成するプロセスやポートの監視、 SQL のレスポンスの内容からデータベースのパフォーマンス状態を監視することが可能です。
Pandora FMS
Pandora FMS は、 OSS ベースの統合監視ツールです。監視・通知・グラフ表示・インシデント管理など運用監視に必要な機能をオールインワンパッケージで提供しています。
データベースだけでなく、システム全体を統合的に監視するためのツールですが、 Oracle 、 DB2 、 SQL Server など主要なデータベース製品をサポートしており、統合的にデータベース監視を行うことが可能です。
4.まとめ
本記事では、データベース監視の概要とメリット・デメリット、監視方法や代表的なデータベース監視ツールについて解説しました。データベースは、業務で使用するデータや顧客情報などの重要データを格納する大事な機能です。さまざまな観点で多角的に監視を行うことで、システムやサービス全体の安定稼働を実現することが可能になります。ぜひ専門家の支援を受けながら、導入を検討してみてください。

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Tag: Hinemos Pandora FMS Zabbix
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